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未知なる森は

何処かで黄土色のギョロ目のギャーギャーと喚く鳥の声がする。1m超えの鳥型モンスターギャーダルスだろう。


グルルっと茂みから赤い目をちらつかす猛犬、犬型モンスターグルダルスの呻き声も聞こえる。


キシャーっ

うわぁ、猛毒を持つ殺人蛇キシャダルスの威嚇までっ


テイマーの証を刻みし者なら従えてみせろと、無責任な人ならいうだろう。無理です。相性がありますゆえ。


名前にダルスが付いてる魔物はlv.5からで産まれてくる。あっ僕昨日5才になったばかりで、教会にステータス確認してきてない!恐らくlv.1だ…殺されるこの柔らかい肉は魔物好みすぎる…僕は魔力量が自慢だけど多いから餌食にされてしまう…!魔物好きだよね!魔力っ


あぁ、太郎の口車とギルド会員OKになったり教会で能力値査定受けれる5才の壁を乗り越えて浮かれすぎてたみたいだ。反省せねば…生きて帰れたら。


太郎と森に入って1時間したぐらいで逸れてしまった。逸れた?いや違うな太郎が馬鹿をやらかしたんだ。2年前の事件以来、能力を使いこなしてなくても立派に森を徘徊し出した太郎。大人顔負けで、獲物も狩ってくるから両親や村の大人はほぼ放置だった。ダルス付きの魔物だって持ち帰って来てて、モモくんが微妙な顔してた。だから安心してこの魔物蠢く危険な森を1時間も歩いていたんだ。そしたら崖が見えてきた。直径50mくらい丸く開けていて、風が心地よくふいてて爽快だった。


5才の線持ちの僕は証がまだの5才に比べれば体力はある。証込みで体と魂がはじめて安定するからね。だけどはじめての山道に苦戦したり、魔物に警戒しながらの道中で緊張して疲れてたみたいだ。深呼吸して落ち着こう…すーはー、すーはーと2回目のはーの終わり頃に視界の端っこの端っこで爆走してゆく太郎を捉えた。えっ?!敵?いやでも、ろろんが全く警戒してないし、体急に鍛えだしたの?元気過ぎない?と疑問に思った。



「お前何者だー!オレの縄張りで何こそこそしてやがるー!!」


叫びながら黒い液体が集まったような空を駆ける魔物を追って共に太郎は崖を飛んだ。

ゆっくり歩いてゆき、崖下を除く。100mはある。高所恐怖症ではないけれど、背筋がゾクッとする高さである。太郎達の姿は目に見える限りは確認できない。木が密集しているばかりで、あの生い茂る葉が太郎のクッションになってくれてますようにと無理矢理パニックを抑え込んだ頭で思った。


ひとまず、5才児がこの開けた場所にいるのは危ない。何処かに身を隠そうと森に入る。奇声を聞きながら、なんとなく来た道を辿る。10分ほど歩けば、大人二人が手を回して囲めるぐらいの木に辿りついた。木の窪みに座る。草でしゃがんだ体を隠す。よし、落ち着け。状況を整理しろ、まず森の事が分からない、そしてダルス付きの魔物が距離を保ちながらだがこちらの存在を探してる、安全そうな隠れ家とやらにはまだ着いてない、太郎が…太郎と逸れてしまった…スイちゃん譲りのウルっとした桃色の瞳が徐々にもっとウルウルし出す。一番考えたくないあの高さで太郎が生きてるのかを考えはじめてしまった。


絶句した。

太郎がここまでバカだったなんて、僕の読みもまだまだだったんだ。


「太郎ーーー!何処だバカやろー!!」


生い茂る山々の中で半泣きになりながらパニック中。

ヤバい、死ぬかもしんない。


「れ〜ん、叫んだら隠れても意味なくなるーしーっ」


はっ!そうだ余りの事に一瞬で危険な魔物の事忘れてた。


「もっかい深呼吸する?」


僕の一番に出逢ってはじめて使徒モンスターになってくれた、ろろんが落ち着かせようと影から出てくる。地球のラブラドールの仔犬に似た舌以外お目々も真っ黒なオリジナルモンスターだ。

オリジナルはテイマーの証を刻んだ者がごく稀に自分の魔力で産み出せるモンスターとかだ。

この世界は未知で可能性に溢れてるので線引きをかっちりできないが…まぁ共通点は唯一無二な所だ。この愛らしい仔犬のようなモンスターは他に存在しない。しかも珍しいオリジナルモンスターの中でも産まれ方がまた新しすぎるので、まだ調べてないけどレア度は高いと思う。


「大丈夫ありがとう、ろろん落ち着くようにするよ」


構わないさーと僕に体をさすり付けてくる。可愛い、そこら辺の魔物の事なんて忘れてしまう。

癒されながら、より落ち着くとろろんが居るなら大丈夫かもしれないと思ってきた。

魔力をもたない動物と違って確かに魔物は危険だから非力な僕には脅威だけど、ダルス付きはlv.5以上の下から2番目のEランクだ。ろろんは今はこんなに可愛いけど影能力は高く、強い。まだ僕と一緒に戦った事はないけれど…


太郎もダルスを素手でいつもボコってるんだから、落ちたぐらいじゃ死なないだろう。自分でもそう思って飛んだのだろう。そう思いたい。


ガサガサ、ふみ、ふみ、


少し遠くから何かがこちらに向かってきてる気がする…二足歩行の身長は低めっぽいな…もしかしてあのかの有名な緑色の醜悪な顔面のなんとかリンじゃないだろうか?


ろろんがまったり腹を見せてぼけっとしてる。


間違いない、Eランクモンスターのあの弱い奴だ。1体の危険度はスライムと並びFランクだが、群れるとやっかいなのでワンランクUPしてるあやつだ。

向かってきてる気配は1体っぽいから、ろろんも警戒してないんだ。


ドキドキする。どんな感じかな?ヤバい、テンション上がってきた…初めての腕試しに倒したいの?と思われそうだがそうじゃない。

この気持ちは僕の使徒してるモンスター2体の内2番目に友達になった子にあった時と同じ高揚だ。


かの有名人に会うみたいでなんか気恥ずかしく、ソワソワしてたらバッと草むらから意気揚々と出てきた。




幼児が。

人間の。



「「……」」




はっきり言ってがっかりだ。僕の楽しみが奪われた。正確にいうと、勝手に兄の事も忘れて盛り上がってたのそっちでしょ?って話なのだが何処か納得がいかない。返して欲しい、僕の期待を。



目の前に、金髪青目の小さい顔に整ってはいるが神経質そうで泥が付いたりはしてるが品の良さが少し漂う同い年ぐらいの子供がいる。


こんな森でなにしてんだよ、とお互いに探り目でじっと見る。先に口を開いたのはもちろん、ろろんのおかげで平静を取り戻した…僕ではなかった。


「ウホホッ」


金髪青目でもなかった。一瞬えっ?君原始人だったの…と疑いの目を向けてしまったが、どうやら違う。僕の頭上から所々人間の様な肌を見せながらも毛むくじゃらにこんがらがってるモンスターからだった。



もしろろんが居なければ、殺されてたかもしれない。上から攻撃されたら死んでた。ろろんがいびきかいてるほど、無警戒だから大丈夫だろうけど。


なんで意味が分からない事が2件同時にくるんだ。

気配か?僕のこの膨大な魔力はやっぱり隠しきれなかったんだ。くそっ才能が仇に/



「叫び声が聞こえたんだが、大丈夫か?」


僕が存在発信警報だったみたいだ。心配してきてくれるなんて、見た目の冷たい雰囲気と違っていい子だ。悪態吐いてごめん。


「ウーホっ?」

「うわっびっくりした!いつの間に横にっ」

「落ち着け、また叫ぶと魔物がくるぞ…そいつは魔物か?」


3人で顔をそれぞれ見渡す。よし、話し合おう。毛むくじゃらは2文字しか言わないっぽいけど…





ーー30分程経過



話し合った結果3人共迷子だった。村には自力で帰るか太郎を探すしかない。現状は変わらなかったけど、3人よれば文殊の知恵いくらかマシになっていくだろう。一人じゃないって安心する。ろろんは休ませれる時に休ませている。オリジナルモンスターは主人の魔力が一番好きなので、遭難中に普段のようにあげて自分の魔力を減らすのは得策ではないと思った。


金髪青目はグレン、5才。魔法主義者の証の線が左手首に一周してた。僕の自慢の魔力量に近いくらい、グレンからは波動を感じる。びっくりした、自慢が揺らぐ。


ホウカも聞いた受け答えによると5才。見た事ない魔物なのでどんな存在なのかが分からない。僕の知識もまだまだだな…あっ名前はグレンと二人で20分位かけて考えた。ウホウホいうので、聞こえる印象で二人でいくつか出し本人が構わないと頷いたホウカを名前にした。


「取り敢えず、行ってみるか」


とグレンの締め括りで僕らは歩く事にした。グレンがここに来る前に古い屋敷を見つけていたらしい。襲われた時に古くても室内の方がいいだろうと、一旦向かう事にしたのだ。人の気配はないし、古びて所々朽ちていたらしいので救助はあてにはできないがここに居るより良さそうだ。


ろろんは僕の頭の上でデロンと帽子の様になりながら寝ている。可愛いでしょ?僕は癒されてる。


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