お光さまとの最後の思い出
「召喚士になりたいんですが、なれますか?」
「努力次第。」
「…………了解です。」
***
僕は必ず満5才で死んでしまう。
まぁ、毎回5才で死んでしまってから気付くのだがそろそろ100回目ぐらいになる。
初めは、なんとも言えない白い空間なのだろうか、いや…黒にも見えるな。はっきり言えないけど不思議な所にいらっしゃるお光さまに喋り掛ける事なんて出来なかった。
それもこれも10回目ぐらいで、あれ繰り返してる?って疑問に思い出しお光さまを見つめている間にまた、さらっと転生してた。
20回目、挨拶してみた。スルーされた。
30回目、喋り掛け続けていた29回目までを改め、黙ってみた。程なく転生させられた。
40回目、お光さまは無口なんだろうと割り切って最近恒例の今回の5年間の転生生活報告してた。5分しか聞いてくれない。問答無用で転生。
50回目、段々お光さまの気持ちが薄っすら読み取れてきた。喋り掛け過ぎだったからかな?哀れそうに見られてる。転生。
60回目、転生。
70回目、転生。
80回目、転生。
90回目、転生。
99回目、転生。
…したけど、少し今回ばかりは違ったよ。
毎回毎回5才で死んでこれからもまた5才で死ぬのかと、お光さまに嫌がられた。
気の長いお方だけど、5才以上生きられない僕を哀れに思ったのだろう。うん、鬱陶しがられてはないと思う。そう信じてる。
「え?ていうか、初めて喋り掛けてくれましたね!」
僕はテンションが上がった。
さっき車にすっ飛ばされたばかりだけどね。
ずっと解けないほそーい細い糸がふわっと崩れた気分になった。挑み続けた甲斐があるってもんよ。
「…次またきたら、もう地球には君はいない方がいい。ラノベでも見て生きたいと思う何か好きな事をみつけなさい。」
ん?あの従兄弟の兄ちゃんが常時厨二病を患ったお話のやつかな。あれ面白いよね!特にあのしょくぎ/転生。
(もう5分経ってたのねー!でもちょっと待って疑問が湧いてくるのですがー!?)
と初めてのお光さまとの交流と助言を頂いた。
転生したら死ぬまで何も覚えてないけれど、お光さまの助言は僕の中で生き、よく父にラノベ読んでとせがむ夢いっぱい少年へと着々と成長した。5才まで。それ以上は生きない、生きた試しもない。もはや、これが僕の当たり前である。
いよいよ次が僕の運命である100回目だ。
ワクワクするね。やっとだね!
やっとって僕は何を待ち続けたんだろう?
不意に疑問に思いながら僕はお光さまに会い、話が終わった後異世界へ転生した。
もう地球に来る事はないし、あちらのルールの輪廻を回ると教えられた。さようなら小さき地球よ。