31・祝福
「エクレア!」
どうやら、フローラ達もクレテールに到着したらしい。
フローラ……ダイエットコースのみんな……レイラさんがこちらに駆け寄ってくる。
「エクレア! 怪我をなさっていませんか!」
「ちょ、だから苦しいってフローラ!」
またもいきなり抱きついてくるフローラ。
フローラにバレないように、こっそりフェニックス・ブレイズは鞘に収めておいた。
「あらあ、古代種はどうなったのかしらあ」
レイラさんが頬に手を当てて、質問してくる。
「ああ、古代種なら……」
フローラに抱きつかれながら、右手で指差す。
「あらあ」
真っ二つに切断されている古代種を見て、レイラさんが一言。
「……あなたがこれを?」
「わ、私なわけないじゃないですかー。あんな強いモンスターなんて倒せませんよー」
「ふーん、まあそういうことにしてあげましょう。あなたはこの街の英雄なんだしねえ」
「レイラさんはまた訳の分からないことを言ってるな、ハ、ハハハ!」
誤魔化すようにして笑う。
幸い古代種から逃げていってくれたおかげで、私が古代種を倒すところの目撃者はいないだろう。
……いや、いないよねっ?
まだ、私ギリギリのところで普通の女の子ライフを終わらせていないよね!
「それにしても建物がぐちゃぐちゃですわね」
フローラが私から離れ、街を眺める。
確かに倒壊している建物は多いし、これからの復旧作業は大変だろう。
見たところ、冒険者が頑張ってくれたおかげで、死人は出ていないと思うけど……。
「でもさ! それはこれから頑張っていけばいいんだよ。みんなが協力して、街を元通りにすればいいんだよ!」
「それもそうですわね」
フローラが笑う。
……ふう、今回ばかりは疲れたな。
やっぱりよく分からないダンジョンに行くのは止めておこう。
変な封印を解いちゃうかもしれないし。
元はといえば私達が悪いんだし、復旧作業は出来る限り協力しおう。
「これから忙しくなりそうだなー」
とぼそりと呟く。
「……では! ボスモンスターを倒した記念でお茶会をしましょう!」
フローラがアイテムボックスからシートを取り出し、それを地面に広げる。
こんなところでお茶会っ?
ぐちゃぐちゃになってしまった街並みの中、シートを広げそこに座るのはなかなかシュールだ。
「元々、今日はクレイグさんとエクレアの勝負だったわけじゃないですか」
「そうだね」
「エクレアの祝勝会……負けても残念会のために、家からケーキを持ってきていたのですわ! これを食べましょう!」
アイテムボックスの中から、次から次へとケーキを取り出していくフローラ。
ケーキが載せられた皿がシートを埋め尽くさんばかりに並べられていく。
「あら、美味しそうですわね」
「一仕事終えた後のケーキは格別ですわね」
ダイエットコースのみんなが目を輝かせる。
「うん! 食べよ食べよ!」
それはもちろん、私も同じだ。
そんなことしている場合じゃない、なんて非難されそうだけど甘いものを前にしたら冷静さを失ってしまう。
「レイラさんも食べましょうよ!」
「え、アタシ? ……まあ美味しそうだしねえ。いただくわあ」
レイラさんも含めて、シートの上にみんな座って楽しいお茶会。
いつまでもこんな日々が続いていけばいいのに。
ケーキを美味しく食べながら、私は切にそう願った。
新連載【魔力ゼロの魔法使い〜俺の超能力は異世界でもチートでした〜】というのをはじめさせていただきました。
もしよかったら、お読みいただければ幸いです。




