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18・飴玉

「これは?」


 それは小さな丸い宝石のようであった。

 袋の中に丸い宝石のようなものがたくさん。


「これはアメというものです。舐めるだけで甘さを味わうことが出来るのですわよ」


 その中の赤い宝石……いやアメを口に含む。


「ほいひい!」


 アメを舌の上で転がす。

 不思議だ。ただの小さな宝石のように見えるのに、舐めれば舐めるだけ味が出てくる。

 まるで豊潤なジュースを飲んでいるかのような味わい。


「ほいひいへふわね(おいしいですわね)」

「ほほへほんふはーはへへもほふへはふはへまふね(これでモンスターが出ても両手が使えますわね)」


 アメを舐めながらダンジョン内を探索していく。

 気分はピクニックのようである。

 もちろんその最中にも……、


「スライムですわ! ここはわたしに任せてください!」

「ゴブリンなら先ほど倒しましたから大丈夫です。わたくしの魔法をとくとご覧あれ!」


 なんて私達の前にはモンスターが立ち塞がったが、全て内密に処理させてもらった。

 いや、さっきと同じような方法だけどね。


「やっぱり……わたくし達って強い?」

「そりゃそうでしょう。クレテール冒険者ジムに通っているんですよ? この調子だったらAランク冒険者も夢ではありません」

「わたくし、帰ってお父様に自慢しますわ」


 だけどみんなは自分が倒したと思ってどんどん鼻を高くしている。

 もう勝手にしてよ……。

 なんて思ってたら今度はホーンラビットが。


「はあ!」


 フローラが空振りしたタイミングで割って入り、ホーンラビットのお腹に剣を突き刺す。


「ふふふ。やりましたわ」


 倒れているホーンラビットを見てフローラはご満悦顔。


「あら……これは?」


 ホーンラビットが倒れている場所になにかが落ちている。

 フローラは不思議そうにそれを拾い上げた。


「それは『ラビットの一角いっかく』と呼ばれるアイテムだね」


 私が解説を入れる。


「ラビットの一角?」

「はい。それをギルドに持っていけば報酬が貰えるよ」

「す、すごい……まるで冒険者みたいですわ!」


 冒険者と呼ばれる人種はそうやって生計を立てていく。

 もちろん、ギルドからの依頼クエストを成功させて報酬金を得ることも出来るんだけど。

 魔王がいなくなった世界では大した依頼がなく、報酬金はどんどん下がっていっている。


「これでわたくし達! 大金持ちですわ!」

「それは二億セルビくらいで売れるのかしら?」


 せいぜい一万セルビくらいです。

 二億セルビなんて豪邸が建っちゃうよ。


 ――歩いていても誰も地図なんか書かないし、罠の存在を警戒する人もいない。

 フローラは「冒険者みたい!」と言ったけど、とてもそういう風には見えないだろう。


 そんな感じで彷徨っていると、私達はとあるものを見つけたのであった。



「ここは?」


 洞窟の中でありながら、部屋のような空間。

 一番奥に祭壇らしきものが置かれていた。


「うわあ……キレイ」


 そこに水晶のような石が置かれている。


「エクレア。これはなんだと思いますか?」


 フローラがそれをひょいっと拾い上げる。


「ってちょっと!」


 罠とかがあったら大変と慌てるが、特になにも起こる気配はない。


「さあ……なにかな?」


 フローラからその水晶のような石を受け取る。

 鏡のような透明度。


「きっと! このダンジョンのお宝に違いないですわ!」


 誰かが興奮気味にそう叫んだ。


 確かに――なんだかんだでダンジョンの結構奥まで進んでしまった。

 途中、スライムやゴブリンだけじゃなく、少し強めのホーンラビットなんか出現してきたし。


 でもそれは『少し強め』なだけだ。ちょっと腕のなる冒険者なら倒すことが出来るだろう。


「……なんでそんなお宝がダンジョンに残されているのかな?」


 ――だからこそ。

 隠し部屋でもなんでもない場所なのに、こんなお宝が残されていることは不自然であった。

 普通、冒険者達が頂いているはずなのに。


「きっとクレテールの冒険者では辿り着けないような場所なんですわ!」


 フローラの顔がパアッと明るくなる。


「わたくし達は……ジムで鍛えている内に強くなりすぎたんですわ」

「どの冒険者も辿り着いていない場所にわたくし達が?」

「ふふふ。わたくし、帰ったら冒険者になってみようかしら」


 ああ……。

 またみんなが勘違いしているよ。


「まあきっと大したことないものだよね……」


 低ランク冒険者でもこれくらいなら到達出来るだろう。

 なのにお宝が残されている?

 答えは一つ。きっとこの水晶のような石は大したことがないのである。


「持ち帰りましょう。これはダンジョン制覇の記念にしましょうよ!」

「「「「賛成!」」」」


 みんなの声が洞窟内でこだまする。


「じゃあ……やっと帰れるんだね!」

「あら、エクレア。嬉しそうじゃないですか」

「そりゃそうだよ。バレないようにモンスターを倒すの疲……じゃなくて、やっぱりモンスターは怖いからね!」

「一人だけモンスターを倒していないですもんね。無理もありません。まだエクレアには早かったんです」


 私一人しかモンスターを倒していないことはもちろん伏せておく。

 こうして私達は謎の石をゲットして、ダンジョンを出た。

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