第4話 歓迎会と着せ替え人形?
お待たせいたしました。4話でございます。自分の体の脆さと文章力の無さを思い知らされました。本当に。
それでもなんとかお書きいたしました。後で修正入れると思いますが、どうぞお楽しみくださいませ。
「なんでボクがこんな格好しなきゃいけないんだよ!」
全身がフリルとレースに覆われたような格好のミーシャが真っ赤な顔で叫びをあげる。
そんな彼女の前にたつ2人。シャムルとリカ。
「うん、とっても可愛いねぇ。中身が男の子だなんて信じられないよねぇ」
「本当にそれだよ。あ、もうちょっとクール系のほうが似合うかな? せっかく綺麗な髪してるんだからそれに合う感じでさ!!」
リカはできる限り可愛い服を選び出し、シャムルは普段の戦士としての表情はどこへやら、普通に年頃の女の子として着せ替えを楽しんでいた。どちらかというと人形を貰った幼い子供のようではあるが。
「これでも男だったんだからな! 結構恥ずかしいんだぞ!」
なぜこんな状況になっているかと言えば、魔導の特訓中、ミーシャが調子に乗って跳びすぎてしまった時、思いっきり「見えていた」せいである。
「じゃあ、探そうかぁ」
「私達のを貸すも良いし、みんなからお古を貰うでもいいし、合わなければ仕立屋さんに頼んでなんとかしてもらおうか」
シャムルとリカは必要以上に張り切って、村中の家を回ってから仕立屋さんに到着、そこで色々な服を試着できると気づいてしまった。
「なぁ、目的を忘れてないか?」
などという、ミーシャの声は完全に無視。見えないどころか、逆に露出を高くしてみたり、冒頭のように、俗にいうロリィタ系のファッションを嗜んでみたり、挙げ句の果てにはシャムルとリカまで軽くファッションショーのようなものを始めてみたりと、止まる様子はなかった。
「次はドレスとか、あるかな?」
「お、いいねぇ!」
ノリノリの2人にストップをかけるように、店の奥から声が。
「おーい! 注文の品、出来上がったよ!」
それは、この店の女店主の声だった。
「え? 注文の品って?」
した覚えのない注文に、疑問を覚えたミーシャ。
「あれ? 言ってなかったっけ? 注文はもう済ませてあるって」
と、ミーシャには軽く衝撃の事実を伝えた。
「え?」
ぽかーんとした表情のミーシャ。
「あ、忘れてたかも。私が今着てるこれ、ブリオーっていうんだけど、これにブレっていう穿き物までつけて、すでに注文済み。出来上がるまでの時間でミーシャの可能性を探求してたの」
そこに加わるリカ。
「だからねぇ、何も気にせず着せ替えられてれば良いんだよぉ〜」
それから仕立て上がるまでの間、再びプチファッションショーは始まった。強化魔導で押さえつけられては2人には勝てず、ほぼ下着姿なので逃げようにも逃げられないミーシャは、抵抗することも諦めて、ほぼ2人のおもちゃと化していた。
そして、しばらくすると奥から店主が現れた。
「お待たせー! お、随分と可愛らしい格好になってるじゃないの」
快活そうな女店主は、ミーシャを見るなりそう言った。
「ほら、できたよ。着替えておいで」
そう言ってミーシャに服を渡す。
「良かった……もう着せ替え人形みたいなことは終わりだ……」
そう言いながら更衣室へ。ミーシャが着替えて出てくるところを、わくわくしながら待っている3人。
そして……
「すごいな、採寸してないのにサイズぴったりだ」
感服した様子のミーシャが現れた。
「でしょ? あたしくらいになると、一目見ればわかっちまうのさ」
女店主は自慢気に語る。
「良かったねミーシャ。よく似合ってるよ」
「さっきのコーデも中々可愛かったんだけどねぇ……」
シャムルとリカも(先ほどの服装に名残惜しさがありつつも)満足気だ。
そこにミーシャ。
「ところで、お会計は?」
と、水を差すように言った。しかし女店主、
「それなら気にしないでおくれよ、この村に来たあんたへの、あたしからの歓迎ってことで受け取りな」
と、気にしない方向性だ。
「あ、ありがとうございます」
ミーシャは素直に受け取ることにした。
「じゃあ、帰ろうかぁ」
そう言って、一足早く店を出ようとするリカ。さらに、
「店主さんもこの後、来てくださいねぇ」
と付け加えた。それに店主も、
「おう、派手にやろうか!」
と応えた。この会話からシャムルは『あ、これパーティーやる流れかな』と直感したので、
「さ、行こうミーシャ!」
と言って手を引き、リカに続いて店を出る。すると
「ようこそ!パトリオートへぇ!」
リカの声が飛び出してくると、それに呼応するように、村の人々も
「ようこそ!パトリオートへ!」
と叫んだ。そしてあたりはすっかりパーティ会場となっていた。さらにシャムルも
「ようこそパトリオートへ!」
と乗った。さらに、
「リカが村長に頼んで、そこから村の人たちを集めて、急いでこしらえた感じの歓迎パーティーだよ。ね、リカ!」
と、全てを見抜いたような説明口調でリカに話しかける。
「さすがシャムルちゃん、よくわかってるねぇ」
「伊達に幼馴染やってないっての」
パーティーの主役が置いていかれ気味なところに、村の青年たちが歩いてくる。
「君がミーシャか、可愛いね。そんなところに突っ立ってないで、あっちで一緒に肉食わないかい?」
「悪いね、こいつ酔ってるんだよ。でも、言ってることは正しいな! いきなりだったからそんなに用意できてないが、好きなだけ食いなよ」
「シャムルちゃんとリカ嬢も一緒にどうだい?」
誘われたので、とりあえず、料理がある方まで行ってみることにした。
「みんな、久しぶりに新顔が入ったから生き生きしてるねぇ」
リカは感慨深そうに言った。彼女のいうとおり、寂れていた村は活気で溢れていた。
「みんな、騎士団として活動してたころは、こうやってよく騒いでたみたいだよ」
そんな村を見たシャムルが呟いた。
「騎士団?」
聞きなれない単語についてミーシャが聞く。
「この村は、昔この島にあった王国に住んでた人たちが作った村なんだ。中でも、王国を守るために選ばれた騎士団とか、王を支えた魔導師だとか、そういう人たちがここにはいっぱいいるんだ」
シャムルはどこか、遠くのほうを見つめて語る。
「私とか、リカの両親もそうだったんだよ。特に父様は、騎士団の中でも特に強かったんだって……」
父はもういないような口ぶりのシャムルに、疑問を持ったミーシャは、
「ここにはいないのか?」
と思わず聞いてしまう。シャムルはゆっくり口を開く。
「……父様も、母様も、どこかに行っちゃったんだ。でもきっと生きてはいるって、信じてる」
普段気楽そうなリカも、この雰囲気ではさすがに口を出せない。しかし、
「じゃあ、探しに行けばいいじゃん」
というミーシャ。
「え?」
いつもはミーシャが浮かべる疑問符が、シャムルに浮かぶ。
「だって、ここは島なんだろ。だったら、隅から隅まで探せば、会えるかもしれないだろ?」
そんな突拍子もないことをいうミーシャが、今のシャムルには、なんだかとてもかっこよく、男らしく見えて、
「そうだね。じゃあ、探しに行ってみようかな。……一緒に行く?」
とまで、言ってしまった。と、ここでなんとなく気まずい空気が流れ出したことを危惧してか、それとも別の感情があったのか、リカは煽るように、
「早く食べないと、なくなっちゃうよぉ?」
と、声をかけた。
「そうだね、今日はミーシャのために体力使っちゃったし、いっぱい食べられそうだよ」
「太らないくらいでねぇ?」
それから、村長からの挨拶やら、元騎士団のみんなの大合唱やら、色々あって、ミーシャもすっかり村の空気に馴染んでいた。
「リカ、大成功だね」
シャムルはリカに笑いかける。
「そうだねぇ、これも、面白そうな子を連れて来てくれたおかげだよぉ」
リカも同じように笑う。
「あ、ところでさぁ」
そこで何かを思い出した様子。シャムルはなんとなく嫌な予感に身構える。
「ミーシャちゃん、お風呂どうしようかなぁ?」
「あっ」
第4話、いかがでしたか?
このあとのお風呂シーンについて悩み中の作者でございます。割愛……としてしまうと皆様がどこかへ行ってしまいそうな気がしてならない私は、精一杯努力したい所存でございます。
何はともあれ、次回もよろしくお願いします。