3 ようこそワコクへ
「いい加減ここでうだうだするのは飽きた!」
リィは地団駄を踏みながら武器を振り回したがっている。
「つってもカリヤスとクツソどっちが悪人かなんて聞かれても知らねーよ」
仕方がないので騎士団の後を追いかけることにした。
「ベタな物語なら前回怪しかったクツソは実は味方で怪しくないほうのカリヤスが実は犯人という筋書きよね」
そういいながらリィは門を開く。すると騎士団達が見知らぬワコク男をとらえていた。
「さあ観念しろカリヤス」
どうやらクツソではなくカリヤスが件の犯人で、はじめはクツソを捕まえる筈の騎士団がそれに気がつき事が済んだようだ。
「先越されてるじゃん!!」
「もう色々片付いたみたいだし、帰りましょ」
リィのいうように首謀者が捕まったなら、シュカが狙われることはないのだろう。
「あ、シュカ姫にお別れの挨拶していこ!」
「ああ」
シュカを捕らえていたであろうカリヤスが捕まったのだから、彼女は保護されているに違いない。
「あのさエンペラーキングダムの隊長さん」
「なんだ?」
「お前さっきの奴か協力感謝する」
全然役に立てなかったようだが、向こうは喜んでいるのでまあいい。
「この国で和服を着た銀髪童女が悪人に捕られていたんだけどー保護してないっすか?」
「私は見ていないが、他の者はどうだ?」
「それにしてもワコクにも年若くして銀の髪の者がいるとは珍しいな」
ヨウコクには処刑される前にショックで白髪になった人がいるらしい。
「さて、カリヤスがワコクを統治できなくなったわけだが、以下がいたそう?」
エンペラーキングダム隊長が声をかけた相手がスライドドアから現れた。
「これはこれはエンペラーキングダムの隊長殿。此度の件、家老である私もなかなかどうしたもので……」
クツソは髭を撫でながら捕えられたカリヤスの頭を踏みつける。日頃の恨み辛みでいっぱいなんだろう。
「なあ、ワコクのやつってハゲちょんまげじゃないのか?」
「それを言ったら色々と成り立たないわよ。ダリンダさんの髪型もどっちかというとエードエリアとかセンゴークじゃなくてヘイアンヌだし」
リィはケラケラ笑いだした。
「ああああああ!」
黒髪に紅い着物の女が屋根から落下してくる。
「あ、噂をすればダリンダじゃないか」
「いたた……なぜカリヤス様が!?」
なにかと忙しいやつだな。
「カリヤスはインダと手を組み、シュカ姫を利用した」
「え?」