奴と俺ら
「俺の事は構わず先にいけ!」
「いけるわけないよ! 僕もここに残って戦う」
「いやお前じゃ無理だ! この場を乗り切るには俺しかいねぇんだ!」
先輩はそう言って巨大な奴の手に攻撃をした。
奴は一瞬怯んだ。その隙に先輩は奴の手から離れてまた僕の所に戻ってきた。
「奴を俺が止められるという事が分かったろ! だから俺の事を心配するな。早く行け!」
先輩はそう言っていたが、体力は余り残っていないようだった。足がガクガク震えていた。
「…………分かりました。先輩行きます!」
「あぁはやくい…………っておい! どこへ行く!? まさか……危険だ! 戻ってこい」
先輩は後ろの方から声を出して止めるよう言ってきたが、僕は止めない。
あいつのせいど僕たちの村はメチャクチャなんだ!
お父さん、お母さんはあいつに潰されて、お兄ちゃんはあいつを倒そうと村の皆と立ち上がって戦いに行ったけど、帰っては来なかった。おそらく死んでしまったのだろう。
だから僕だけが逃げるわけにはいかないんだ。家族の皆のためにも……
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
僕は叫びながら奴の元へと走った。そして奴の手に近づくと、先輩が先ほどやっていたような命がけの攻撃をした………………が、奴は今度は怯みもしなかった。それどころかもう一つの手が僕の頭の上に浮いていた。
僕は死を感じた。これで僕は死んでしまうんだと。
悔いはあった。家族の仇を討てなかったし、村も守る事はできなかった。
あぁ…………皆ごめん…
僕がその事を思ったと同じタイミングで、あいつの手が僕の元に落ちてきた。
……そして僕の意識は消えた
「くそっ!………………バカやろうが」
後輩は俺たちの為に命をなげうったのだ。あんな弱虫だったあいつが…
ここで俺が逃げる?
そんなことは絶対にしない!
あいつの意志のためにも、村のためにも!
俺は行く!
「うぅおぉぉぉぉぉりゃーーーーーー」
叫んだ。とにかく叫びながら走った。
怖くないはずがない。今から死ぬのだから。
だが後ろから俺を支えてくれる後輩がいる感じがする。
(待ってろ……後輩。すぐお前のとこにいく。そしたらまた二人で……バカしようぜ)
俺は奴に攻撃をした……だが、一瞬で俺は意識が消えた…………
*注意、この話は【蟻】の話です。
はい!どうもとろです。
どうでしたか? 騙されてくれた人はいますかね。
「襲撃」という題でこれと似たような作品を書いたんで、そちらも興味があったらどうぞ。
こういう感じの作品好きなんすよね。なのでまた違うもので書いていきたいと思ってます。
では以上!(∩´∀`∩)
蟻でした……騙された方は結構素直な方かもしれません。なんかおかしいな、と感じた方は……エスパーな可能性もありますよ(笑)では以上!