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0話 プロローグ

 とある町はずれにある研究所。

 その研究所付近の近くに存在する平原で、数名の人物が話をしていた。


 とはいっても、その光景は傍からみれば異常な光景である。

 何故ならその光景というのは、女性1人が男性3人を倒している光景である。


 男性3人のうち、2人は仰向けになって倒されており、もう1人は膝を地面について相対したとされる女性を睨み付けていた。

 その女性は、膝をついている男性に黒い槌を向けながら見下ろしていた。……いや、実際には蔑んだ目を向けていたのだ。



「残念やけど、おにーさんらの話は聞けんわ」

「この……調子に乗りやがって!!」

「調子に乗っとるんはどっちやねん……。魔道具(マジックアイテム)を無料で渡せとか、世の中甘くみたらあかんよ?

 それに、ウチを見かけで判断したらあかんで?こう見えてもウチ……残忍やからねぇ」

「や……やめてくれ。た、頼むから……!!」

「……もう、手遅れやで。おにーさん?」



 女性は、不敵な笑みを浮かべながら膝をついている男性に対して、片手で持っていた黒い槌を大きく振り上げた。そして―――



「バイバイ、おにーさん。今度はちゃんと交渉しよな?」



 相手の命乞いにも応じず、無慈悲に振り上げた黒い槌を思い切り男性に向かって、降り下げた。



――――――――――――――



「はあぁ……作り損もええとこやなぁ。

……まぁ、おにーさんたちからお金回収したから製作費は大丈夫やけどね」



 溜息を吐いた女性は、自分が製作した魔道具フェイドソードを片手に持って振り回していた。

 周囲に人がいれば、その行為は危ないのだがこの平原には人っ子一人もいないのだ。だから刃物を振り回していてもだいじょーぶやよ!!


「にしても、この魔道具どないしよか……解体、は勿体ないし……やっぱ改造という方向で考えよかね」


 つい数分前に倒した相手に渡すつもりだった魔道具だが、やはり改造方面で考えることにした。

 製作した魔道具は、相変わらずの出来栄えでいつものことながら商品化する予定であるが、その前にもう少し改良したいと考えていたのだ。

 性能としては悪うないんやけど、威力としてはまだまだ不十分な部分が多い。それを補う為に、特殊な性能にしたんやけど……まぁ、買い手ゆうか使い手がおらんねんやったら話にならんしな。

これを市場に売ろう思うても、目立つわけやなさそうやし、威力重視に改良した方が売りやすいやろ。


 あ、因みにウチの名前はミハル・グランディア。まぁウチは名前が長いから知らん相手にはミハルいう名前で覚えてもらっとるんやけどね。んで、製作した魔道具にはグランディアの名前で売ってるんやけどねー。


「なんにしても、後で町によりに行かなあかんね。改造の材料も切れてるやろうし」


 そう言いながらもウチは、自分の研究所へと足を運んでいた。

 まぁ、今後の予定といては町に材料を買いに行くんやけども、材料が何切れてるか分からんのやし、そこはちゃんと確認しとかな余計な買い物してまうからねぇ。

 そのついでにウチが製作した魔道具フェイドソードも保管しとかなあかんしな。


 これからのことを考えながら、少々楽し気に自分の研究所へと帰るウチはとある異変に気付いた。

 ……異変というより、異常と言えばいいだろうか?

 いつもの自分の研究所へと続く道中に、何やら見知らぬ何か。いや、見知らぬ生物。いやいや、見知っている生物ではあるのだが、知らない人物。つまりウチには全く面識がない相手である。


「……おにーさん、こないなとこで寝たら風邪ひくでー」


 道端で倒れている人物のそばにしゃがみこんで、一応話しかけてはみたものの。全くもって反応しない行き倒れているおにーさん。

 これは、あれやね。野たれ死ぬいうやつやね。くわばらくわばら。

 ……あ、でもこのおにーさん、息してはる。まだ死んでへんのんや。いや、でもこのままやったらこのおにーさん死んでまうんやろうなぁ。


「んー……まぁ、こないな近くで野たれ死なれても寝覚め悪いし。……仕方ないかな」



 ウチはとりあえず、おにーさんの腕をもって引き摺りながら自分の研究所へと運んだのだった。

 今後、このおにーさんを拾ったせいで、この世界の問題に巻き込まれるとも知らずに。



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