禁煙する女~その後~
禁煙する女の続編です。エッセイです。
おはよう…ふーっ。
え、何をしているかって?一服だよ。
朝一番のタバコ。
禁煙禁煙あれだけ前作で偉そうに書いていたのにもかかわらず、神無月さなえは禁煙に失敗してしまったのである。
何度だって挑戦した。前作で「してはいけない事」として書いた、タバコを水没させてしまったり、父親に預けたりもした。預けては、返してもらいの繰り返し…。
銘柄を変えてみてもダメ。
私はタバコとずっと付き合っていかなくちゃいけないの?
吸わないでいられる人が羨ましい。
タバコなんて誰が生み出したの?
これを書いている今はお風呂上がりの寝る前の時間。
髪や身体に着いたタバコのニオイは今のところは消えている。
この状態がいつまでも続いて、タバコを吸う習慣から抜け出せたら良いのに!
負のスパイラルから、ようやく抜け出す事が出来始めた私。
喫煙者を見ても、もはやなんとも思わなくなっていた。
時々、禁煙カウンターをチェックする程度だ。
「やっと3日…はぁ…長いな」
スマホに入れた単純に吸わないでいられた時間と日数を記録してくれる、無料のカウンターアプリを見る私。
ちょうど最後の一箱が終わって、金欠だったところだった。
もしかして、これはチャンス!?
私は再び禁煙に挑戦する事に決めた。
―女は男によって喫煙する。
これは前回私が見出だした法則だ。
では現在交際中の男性はどうだろう?
神様が味方をしてくれていたのか、彼はタバコを吸わない人だった。
「禁煙して100日経ったら財布を買ってあげるよ」
彼はそうやって、私を焚き付けた。
憧れのブランドの新しい財布が欲しかった私は、俄然やる気が出てきた。
「うん!頑張ってみる!!」
こうして何回目か分からない私の禁煙はスタートした。
まず、どうすれば吸いたい気持ちを抑えられるのかを考え色々試してみることにした。原点に立ち返って―。
そこで発見したのは、炭酸飲料を飲むことだった。
シュワッとした刺激によって、吸いたい気持ちが消えるのである。
あとは文章を書いてみる事だ。
火事が怖い私は、何かをしながらタバコを吸うのが苦手だった。
詩でも小説でも何でも構わない。とにかく文章を書くことでストレスも発散出来るし、タバコの事を忘れられた。
そして、カラオケで高めのキーの歌を歌うことだ。
高音を意識して出すことで、タバコを吸うと出しづらくなる事を実感出来た。
こうしてあっという間に100日が経ち、私は禁煙と、彼に財布を買ってもらうことに成功した。
今ではあまり思い出せなくなっている。喫煙所の前を通っても何も感じない。
禁煙した今だって、タバコを吸うのは個人の自由だから吸いたい人は吸えば良いと思うし、吸いたくない人は吸わなければ良いと思う。
その為に「分煙」というものがあるのだから―。
それに、私には似合わない。私の感性じゃ美味しさが理解出来ない。まだ気持ちが幼いからかな?と思ったりする。
今日もうちの喫茶店には吸う場所を求めて、寛ぎを探してお客様が足を運んでくれる。
そんな彼らの紫煙を私は決して否定しない。
筆者は今現在煙草を吸ってません。
読んで頂き、ありがとうございました。