魔法学院に行くことにしました
今日も魔女っ子ミランダのしごきは続く。
カタリナママのお腹がずいぶんでっかくなってきた。
予定日はもうすぐだとか。
お産はラウおばちゃんが行う。
俺の時もそうだったらしい。
助産婦さんも務めるとは出来るメイドさんだ。
ミランダのしごきのおかげか、俺も少しは女の子らしい立ち振舞いができるようになってきたと思う。
ま、ミランダも後一月ほどでいなくなる。
そしたらまた魔法の練習と読書の日々に戻る気満々なんだけど。
なんだかんだいってうちの家族はメイドさんも含め俺に甘い。
鬼教官さえいなくなれば、俺の邪魔をする者はいなくなる。
リターンされたら大変なので一応暴れ過ぎには注意か。
「ミランダお姉ちゃんは魔法できるの?」
昼下がりの庭で散歩しながら聞いてみた。
前から気になってたんだけど、なかなか聞くタイミングがなかったのだ。なんたって魔女っ子だし、魔法使えそうだけど、使っているのは見たことがない。
「もちろん使えますわよ。だからカレント魔法学院に行くのですもの」
へ?
何それ?
ビックリし過ぎてフリーズした俺に、「あら、知りませんでしたの?」と首を傾げるミランダ。
俺たちは休憩中だ。
近頃少しは女の子らしい所作を身に付けた俺は休憩というものを与えられるようになった。
ってか休憩なしとかどんだけスパルタなんだよって話だけど。
それだけ俺が劣等生だったということか。
仕方ないじゃん!
中身は17才男子なんだから。
女の子らしさとかある方が怖い。
休憩中は庭を散歩するのが定番。
家の中ばっかりだと運動不足になるしね。
で、今日は珍しくミランダがついてきたので、件の疑問を聞いてみたのだが・・・。
カレント魔法学院って何?
ミランダそこに通うの?
超うらやましい。
魔法学校なるものが実在することは知ってたけど、カレントってそんな近くにあったのか?
カタリナママに聞いた時は確かタルカーナとかいうずっと南の大陸にあるって言われたんだけど?
ウソついてたのかカタリナママ?
いや多分こっちにもあるって言わなかっただけだな。
言ったら面倒なことになるって思ったんだろう。
もともと魔法狂いの娘が絶対通いたがるって。
これ以上狂われても困るってか。
うん、なるね。
俺んなかではもう確定です。
ダンジョンの前にまず魔法学院で修行だ。
はい、決定。