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2 つらい毎日

 ――現代。和孝の家。

 俺はいつも通りに修羅場を体験している。そして、華音と水奈は少し怒っている。今は、俺の何かがあったせいで、自分の部屋に隠れている。その何かは何分か前のこと。


 俺がリビングに来て、テレビを見ているときのことだった。

「この子、かわいいな。おれもこんな妹や姉とかの親戚がほしいなぁ~」

 次の瞬間だった。

「和孝、なんか言ったかな。テレビを見て、かわいいだって。ふ~ん、そんなにもいい子がいたんだ」

「そうらしいよ。お姉ちゃん。お兄ちゃんは、私たちみたいな親戚や姉や妹はいらないんだって。ひどくない?」

「そうね。私たちの出番かな?」

 華音の手にはあるものがとがって輝いていた。それに、水奈はとてもいけないようなことをしている。おれの参考書を水の中に入れようとしている。

「さすがに、参考書はやめようよ」

 俺は抵抗するが、そんなのお構いなし。俺の参考書をどうにかしてくれ。俺は少しでも守ろうと必死に何かをするができない。華音がおさえているからだ。おれのからだを。

 俺にはなんもできない。本当に卑怯な奴ら。おれの発言を訂正すればいいのか?

「悪かったよ。俺は言い過ぎました」

 素直に謝ったつもりだった。だが、誤りが足らなかったらしい。

「そんなんで許されると思っているのかしらね。和孝」

「そうだよ。私たちの姉妹は傷ついたの。何かしてよ」

 俺にはその何かと言うのがなんだか、理解できない。たとえば、何か買ってとかかなと思ってしまう。

「なんだよ。何かって?」

「それはねぇ――、パソコン買ってほしい」

 水奈が甘えてきた。さっきに償いをしろと。

「買えるかぁ――」

「じゃあ、なんだろう」

 言った本人が悩んでしまうと、こちらも困ってしまう。なぜそうなるのか本当に困ったやつだ。すると、華音がすぐに。

「じゃあ、服買ってよ。私と水奈と一緒に服を買いに行くの。それが、今回の償いでいいわ。そんなには高いものは買わない予定だから」

 俺は少し戸惑う。こいつらと買い物と言う点よりも、服を買わなければいけないということ。こんな金のない不況な時代に持っているものは少ない。どうしようもない。ためてあるお金があるかが心配だ。もしかしたら、何かもしれない。

 俺は焦る。銀行にあったかと言うこともあるし、財布の中には、五千円しかない。今月もらったお小遣いだけ。さすがに、五千円では二人の物を買える自信がない。それに、どんな店に行くのかだってわからない。

「それよりも、俺はお金があるかがわからないよ。財布の中は五千円しかないし」

「大丈夫だよ。和孝の通帳に二万円あることは知っているから」

 俺は言葉を失った。そして、水奈も驚きの顔を隠せないようだ。

「いつ、見たんだよ」

「それは確か通帳をしまうときに少しだけ見えた」

 完全に目をそらす動作をしたことを俺はしっかりとこの両目で見ていた。嘘をついていることが分かった瞬間だった。

「嘘はいいから」

「ばれたか。やっぱりねっ。本当のことでも話すかな。本当は通帳の場所を知っていたから見ちゃった」

「何が見ちゃっただよ」

 水奈も反抗したいみたいで、

「何が見ちゃったよ。それはさすがにダメでしょ」

「でしょうね。私もダメだと思ったけど……」

 ――思ったけどなんだよ。見たかったとかか。

 俺は心の中で予想をした。完全にあっているのじゃないかと。このときに、怖いと思った。見えちゃったのではなく、見たのではないかと俺の頭の中で思ってしまった。もとも恐ろしいやつだということはわかっている。だから、要注意。

「それよりも、それで買えというのか?」

「そうに決まっているでしょ。私たちのことをバカにしたのだから」

「そうです。私たち姉妹をバカにして何もなしとかないから」

 恐ろしさを感じる。俺は通帳を開いて考える。

 ――このお金は頑張ってためたんだ。お小遣いを貯金していって。それが今すぐなくなってしまうのか。まだ買いたいものがあるのに。女子は怖すぎる。

 いつもよりも恐怖を感じてしまった。情けないと思うけど、お金が消えるのはすごく悲しい。すべてやってきたことが水の泡になるように感じて。バイトをしなければいけなくなりそう。

 とある二人は、おねだりをしながらも、ソファーなどに寝っころがってテレビを見ている。俺は何かを買うのを承知で聞いてみる。

「それでパソコン以外で何がほしいんだ?」

 華音は聞いてくるのを待っていたかのように「服がほしいな。別に高くなくてもいいの」と言いつつも、顔を真っ赤にしながら指を指してきた。

「私は何でもいい」

 水奈が意外とほしいものを言わないのに驚いた。おれの予想だと『服とか高いものがほしいな』とか言ってくるかとおもったのだが。考えすぎだったのかもしれない。

「その何でもいいとか困るんだよなぁ」

「でも、別にほしいものがないのだからしょうがないじゃない」

「そうですか。わかりました。何でもいいんだよな?」

「うん」

 返事をした時の顔ときたら、とても可愛いかった。いつもではみられないように感じた。そして、妹のようにも感じ始めていた。血がつながっていなくても、どうにかなる。俺はそれを信じている。意外と心配してしまう自分がいる。

 華音と水奈は完全なる家族として受け入れた瞬間であった。今までの自分とは違うように感じた。

 にぎやかな二人を見るのは、いい感じに感じた。そして、自分でもわからないものに動かされることになるなんて。

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