2.ユチの流れ②
離宮から出てきたシンの腕を待ち構えていたシャギルが掴んだ。
「おい、どうなっているんだよ?」
「何が?」
「アイサだよ。せっかくお前と再会できたっていうのに、おかしいじゃないか。あんな奴らと茶なんか飲んで」
「さっきまで一緒に飲んでいたのは誰よ?」
呆れてルリが言った。
「俺はいいんだよ」
苛々とシャギルは言い返した。
「アイサは僕に心を開いていない」
「ああ、それはわかる。でもなぜだ? ルテールまで追いかけて行ったお前の気持ちがわからないのか? 何事もなかったかのように笑顔を浮かべているがいつものアイサじゃない。オスキュラの王子のところにいて何か変わってしまったのか?」
シャギルは一気にまくし立てた。
「アイサは心を閉ざしている。どんなに微笑んでいても」
シン溜息をついた。
「私たちと一緒にいても、まるで一人きりのような顔をしているわ。ルテールで何かあったのかしら? もしかしたら、自分がシンのそばにいたらクイヴルのためにならないと思っているのではないかしら?」
「そんな」
シンの表情がこわばった。
「確かにシンはクイヴルの王になったもんな。でも、常識を突き破るのがアイサだろう?」
シャギルは腕を組んだ。
「話をしたくてもアイサがあの雰囲気ではね」
ルリはシンを窺った。
「シン、お前、何とかしろよ」
シャギルは痺れを切らした。
「それができれば、苦労はないよ」
シンは苦い顔で言った。




