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 先生を立ち直らせる、とまでいかなくても、せめて少しでもきっかけにでもなればとこの二日は先生のもとに三人で通っていた。しかし、あれ以来立ち直る兆しすら見えず、私達は先生の役に立てていないのかと落ち込み始めていた。

「ふぅ……どうしたものか……」

「もっとも、慣れていい感情ともいえないからな。むしろ、あれが正しいのかもしれん。ただ、となると先生には……」

「さ、最近魔王軍が動き始めたと噂もありますし……心配です」

 ここ二日は、先生の部屋へ行った後大抵この王城の食堂で茶を飲んでいる。夜は夕食時を過ぎればほぼ誰もいない為、あまり気兼ねすることなく会話できる為だ。

 この二日、先生はこの食堂にすらあまり来ないらしい。ますます心配になってきた……



 翌日、陽が昇ってしばらく経った位。国王様から招集がかかり、私達は国王様の前に集まった。その場には先生もいることにはいるのだが、いつもとは違ってやはり生気が抜けているようだ。

「休暇中に無理言って来てもらって悪いな、緊急の報告があるものでな」

「一体何でしょう?」

「以前の基地破壊を知った敵本部が攻めてきたのだ。無論敵のボス格はまだ来ておらんがかなりの数だ。おおよそ千の兵士が向かっている」

 やはり、噂は本当だったようだ。だが、千とは幾らか少ないような気もする。いつもなら数倍、数十倍といるはずだ。急いで行軍して、後に応援でも来るというのか?

「それで……私に何を?」

「……敵を追い払ってもらいたい」

「……残念ですが」

「無論、殺す必要も全員と戦う必要もない。適当に撃退出来れば良いのだ」

 む……? 国王様も気付いているらしい。先生の周りに対する優しさというか、変に律儀なところは周知の沙汰だからだろうか。

「……私がいなくても何とかなるのでは?」

「むぅ……確かにな。しかし、いなければこちらにかなりの被害が出ると予想される」

「…………」

「国王様、タクミ先生に無理をさせるのも酷であります。私達でなんとかしましょう」

「……そうか。分かった! では、今まで通り直属部隊その他全部隊共同戦線を張るのだ!」

「申し訳ない……」

「いやいや。無理をして体を壊されてもこちらも気まずいからのう。では、アクト、今回の指揮は主に直属部隊隊長に任せる!」




 翌日、昼の少し前だ。見張り台の方からけたましく警鐘が鳴り響き、敵襲を告げる怒声が聞こえた。

「くっ、何も今来ることは無いってのに!」

「先生にいつまでも頼っていてはだめということかもしれないな。行くぞ、皆!」

「ま、いつもより数は少ないんだ、がつがつ行くぜぇ!」

「数が少ない……なんとなく気にかかりますね」

「も、もしかして陽動でしょうか?」

「なるほど、それはあるな。どう思う?」

 セシアが気にかけた事をきっかけにイゼフが提案したことには、皆が賛同した。と、いうのも、普段から姑息というか小賢しいというか、何処となく幼稚というか……とにかく、真っ向から攻めるという事はほぼない。いつも何かしら(分かりやすい見え見えな)裏があるからだ。

 その旨を国王様などに告げ、私達は王都に進入する回り道のコース付近に身を潜めた。





 すると、セシアとイゼフの予想は的中し、大量の足音が聞こえる。

「ほ、本当に当たっちゃいました……」

「お手柄だ、イゼフ。皆、準備はいいな?」

 小声でイゼフに賞賛を送り、皆を振りかえる。

 アクトが自分の魔法具を小さく掲げ、それに倣い皆がそれぞれの武器を小さく掲げて頷く。私もそれに頷き、両手にそれぞれ剣を構えた。

 敵の姿が遠くに見え始め、遠距離に攻撃できる魔法具を持つものが狙いをつける。打ち合わせでは、まず音が出にくい弓系統の者がそれぞれの隊長の支持で放ち、次いで連射が効く十系統の者が掃射する。敵の混乱を招き、勢いを削いだところで残りの者と同時に遠距離武器を持った者を先頭に敵集団との距離を詰め、後は地の利を活かして一気に先頭に持ちこむというものだ。


 その作戦もうまくいき、後は敵集団との接近戦に持ち込めばいい。それぞれの隊がある程度ばらけ、敵を錯乱しながら突き進んでいく。

「今だ、進めー!」

 敵との距離を詰め、接近戦に持ち込むことに成功した。黒い軍服と緑の軍服が入り乱れ始め、戦闘が始まった。

 むぅ、今更ながらレム視点だとコメディが入れにくいと気付いてしまった……ど、どうしよう!?

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