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 今回は短めです。

「……誰だ? こんなふざけた張り紙を張ったのは?」

 会議がある、と私達国王直属部隊が呼ばれた。その部屋の前、いや、厳密にはその部屋の扉の脇に張ってあった帯のような紙を、デフィアがびりびりと剥がして破く。しかし、私はこの時すでに嫌な予感を覚えていた。と、いうのも、私はこの字のクセを持つ人物を知っている。明確には思い出せないが、ある程度確信のある見当はついている。

「全くだ……一体誰が書いたんだよ、こんなもん」

 その言葉をゼルキスが吐き出し終えた時には、私には見当が当たっていたと知った。同時に、彼らの少し後に訪れるであろう運命も。

「お、お前ら……よくそんな勇気あるな……」

「そうか? ま、先生より……は……」

 先制も気付いたらしく、それとなく促す。ゼルキスが振り向きながら言っていたその言葉は、最後まで紡がれなかった。

「お前ら……そうかそうか、今回の作戦の前にちょっとした準備運動が必要じゃな? では、ちょっと失礼するぞ?」

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「申し訳ありませんでしたあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 襟を掴まれ、絶叫と共に国王様に引きずられていくゼルキスとデフィア。怒りがあらわになった時の国王様は、今のようにかなり重い彼らをも軽々と引きずっていく力を有する。

「国王様……本気で怒ってらっしゃるな」

「そのようだ。ま、フツー怒るわなぁありゃ。で、どーする?」

「どうするって?」

「このまま待つのか?」

「……先に始めていよう」

 先生が丁度やってきた警吏から鍵を受け取り、中に入って各々席に着く。扇状に、そしてすり鉢のように中央から離れるごとに一段ずつ席の高さが上がるこの部屋は、よく会議室として利用される。もっとも、私達のような少人数部隊では使用する機会が少ないのだが。





 少し、いやそれなりに待つと、ようやく国王様――――とボロボロになったゼルキスとデフィアが戻ってきた。一体何をされたのか……先に始めようといってはいたものの、特に誰か詳しくないようを知っているわけでもなかったため、座って待っているだけだった会議は、ようやく本格的に始まる。

 主に内容は敵の動きとその理由。国王様とアクトが中心になって、巨大な地図などを使い説明していく。

「――――つまり、向こうの主な行動理由は魔王の復活による、今まで鎮静化していた分までの士気の爆発的向上。だから、敵はおそらく力任せにつっこでくる。つまり、この地図で言うと、この地帯を一気に突き進んでくるはずだ。で、ここが俺達の最低限防衛するライン。ここを割られたら終わりだ。だからここよりも前に本格的な防衛ラインができるはずだ」

 アクトと国王様の説明で、主に知りたかったことはほとんど押さえられた。敵の行動理由が魔王復活のみなら、向こうに対抗するには向こうの士気と力押しに対抗するということになる。むしろ、これはかき回しは最低限の人数に抑え、アクト達のようなせき止めの部隊に回すべきか……そんなことを考えつつも話を聞く。


「で、だ。今回、この隊の全体顧問である先生から既に布陣は聞いているが……その後指示された細かい作戦。これを打ち合わせしておこう」

 そんなアクトの声で、私達は一度考え直す時間を貰い、あれこれと思案を巡らせる。その後、最終的に先生に相談する。私の場合、人数の融通だけで済んだ。他がどうかは知らないが、概ねその話し合いが滞っていた様子はない。

「では……これにて会議を終了、解散としよう。異議、質問がある者はいるか?」

 毎回の決まり文句になっている言葉と共に、会議派修了した。




 先生に呼び出されたデフィアとイースを除き、私達は各々の部下へと伝令に走向かう。部隊ごとに訓練の後あらかじめ集合することと場所を言い残してあるので、集まるのに時間はかからなかった。

「私達は元々待ち伏せ、そして攪乱と挟み撃ちをするためにこの丘に陣取る予定だった。だが、向こうの進軍理由から考えて、私達の隊を二つに分ける。そうだな……よし、そこの貴様ら、悪いが後でアクト達のところへ行ってくれ。おそらく事情は伝わっているはずだ。それ以外は前もって伝えたように私達とセシア達の隊で待ち伏せ、頃合いを見て奇襲をかける。質問がある者は?」

 見回すと全員頷きを返す。それに私もうなずきを返し、解散宣言を出した。





 その日の夜、先生達が帰りに敵の女兵士を捕まえたときいた。その女兵士は向こうの酷い境遇と、こちらに対する罪悪感でどちらに身を置くか悩んでいたそう。国王様が直々に説得その他をしたため、どうも彼女は王国側に着くともっぱらの噂。もっとも、私はそんな話題は王城の廊下で立ち話をしているのを聞いただけで、興味はないのだが……

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