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 対決後から歓迎会の下りですが……セリフが少なくなってしもうたっ!!

 戦闘後、いつも驚くほど復帰が速いイゼフも復活したところで、私達は彼に頭を下げていた。

「……タクミ様、ぜひ、私どもに戦闘についてお教え下さい!」

 最後に言ったのは私だった。それに対し、彼はと言えば何故か焦っていた。

「いや、ちょ、待っ!!!」

「うむ、これで皆異論はないな?」

 国王様が締めくくり、それに対し私達は頷いた。

「あ、そのこk……」

「よし、ではタクミを正式にワシ直属部隊の全体顧問とする」


 かくして、私達は彼に教えを請う事ができたのだ。国王様も彼を大層気に入られたようで、今晩は歓迎会を開くらしい。国王様がここまで機嫌が良いというのも久しぶりな気もする。そもそもこの国以外では他国が遠い為、歓迎会を開くべき者がいないというのも一因だろう。もっとも、他国とはあまり仲も良くないのだが……

「んー……とりあえず部屋に戻るか……」

「そうですか? では、夕食の時間などには誰か迎えに行くでしょう、それd……」

 全てを言いきる前に、その言葉は遮られる。

「あーいや、ちょっといいか?」

「はい?」

「いやね、皆聞いて欲しいんだけど」

 呆れているような、というと少し違うが、それでもそれが一番近い。そんな表情で、彼は言った。

「敬語、止めてくれないかな?」

「はい?」

「む?」

「ほう?」

「へ、へ?」

「何故……?」

「いや、敬語というのは本来敬うべき相手に使うものだが……言っておくが俺はそこまで人間出来てない。ぶっちゃけた話が俺の国では中の下程度。だから、お前達も敬語はつかわんでいい。いやむしろなんか違和感バリバリだから使わないでくださいお願いします」

 なんとなく使用する言語がおかしい気もしたが、それは触らないでおこう。

 確信、というには程遠いが、アクトが彼に対し敬語を使わない理由が理解できた。要するに、彼は敬語で話されることに慣れていないか、敬語を使うような間柄は望んでいないのか、あるいはその両方であるのだろう。そう解釈した私達は彼の頼みを受け入れた。

 とはいえ、普段からの言葉づかいその他が抜けない者や、どうしても敬語が出てしまう者(ようするに私だが)も少なからずいるようだ。いや、むしろ敬語では無くなったのはアクト、ゼルキス、デフィア位だったりするのだが。

「じゃ、改めて。んー……国王直属部隊全体隊長になった市川 拓海だ。よろしく」

「第二隊隊長のレムです。改めてよろしくお願いします」

「第三隊隊長のゼルキスだ。よろしく」

「第四隊隊長のセシアです。よろしくお願いします」

「第五隊隊長のイゼフです……よろしくお願いします」

「第六隊隊長のデフィアだ。よろしく頼む」

「第一隊隊長のアクトだ。改めて頼むぜ」

 ……アクトはいつの間にこちらへ来ていたのだろう?



 日も沈みかけ、空が蒼から朱に変わろうかという時刻。国王直属部隊の面々は未だ中庭にいた。と、いうのも……

「なあ、これから何て呼べばいいんだ?」

 これに限る。ゼルキス辺りは気にしないだろうからいいとして、デフィアがふと呟いたこの問題は実に重要である。呼び捨てにするわけにもいかない。いや、これは論外だ。そして様とでもつけようものなら呼ばれた当人が嫌がる。そしてそもそも「イチカワ」「タクミ」という彼のフルネームの内、どちらを呼ぶべきか? ついでに言えばなるたけ何処で呼んでもおかしくない方が良い。それに……


 そんな議論をしていたのだ。そう、していた。結論だけ言ってしまえば、セシア案の「先生」で定着した。呼び捨てでも様づけでもなくさんづけのような他人行儀でもなく、そして「イチカワ」「タクミ」のどちらかを選ぶ事もないし、何処で呼んでもおかしい筈もない。それに顧問である為に一番しっくりくる。

 その案が出た瞬間、一斉にその意見への賛成がなされたのは当然のことなのだろう。

 議論が決着したとき、既に空は朱どころか紺色に染まっている……既に夕食の時間帯である。歓迎会に我々が遅れようものなら……普段は温厚なあの国王様もどうなるか分からない。いや、祭りやらが人一倍好きな国王様の事だ、どうなるかなど……いや、想像するのも止めておこう。





 歓迎会では、いつもの食事にかかる費用を1とすれば、今回は5位の比率ではなかったろうか、という程の豪華な食事だった。元より軍人という事もあり国民よりほんの少し安めの食事を普段摂っている、というのもある(いかに国内で双壁を成すと言われる国王直属部隊も、所詮は軍人。施設はそれなりであるが、他ははっきり言って国民の生活と何ら変わりない、あるいは少し劣っているのだ)。しかし、それでも今回はとても豪華だったと断言できる。

 普段は目にすることすら珍しい食べ物がそれぞれの席の前に所狭しと並び、顔には出していないが直属部隊の面々はほぼ全員緊張しているらしい。……約一名の某脳筋男と、もう一名の某情報通の男を除いて、だ。前者は何も考えていないに違いない。後者は……慣れているのだろうか、それとも隠すのがうまいのか。

 そんな考えで現実逃避をしていると、今回のメインゲストこと「先生」が部屋に入ってきた。なんというか、見るからに緊張している。学生だった、というのももしかしたら本当なのかもしれない。少なくとも、あそこまで堅くなっているのを見れば国の重鎮などではないのは明らかだ。


 国王様の御挨拶と音頭でそれぞれの料理に手をつけ始め、段々と会話が出てくる。そしてしばらくして、さて、と国王様が切り出した。

 内容を悟り、皆が再び緊張し始める。国王様が先生に魔王軍について説明している間、それ以外のものは誰一人口を挟むことは無かった。当の本人達も真剣な顔つきで会話している。主に話していたことと言えば、魔王軍の由来やどういった集団か、そして彼らの行いについてだ。

 その後は何事もなかったかのように国王様が宴を進行した。なんという変わり身の早さなのだろうか……


 なんというか、今は既に翌朝であったりする。歓迎会の最中、私はと言えばほとんど緊張のしっぱなしで、今になってやっと歓迎会の様子を思い出している次第なのだ。なんという精神面の弱さか……自分自身に対し情けなくなってしまった……

 説明口調になったのはレムが緊張状態その他になったから、なんですが……くっ、もっとセリフを入れたいっ!!

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