スマートフェイス
「今日は調子が悪いなぁ」
鏡を見ながら頬をさする。目の下辺りが少しくすんでいる。こめかみの辺りを少し、マッサージするとくすみは薄くなった。
「こんなもんか」と、納得し出勤する。
途中で、コンビニによった。サンドイッチをひとつと、ホットコーヒーのMサイズ。
「お会計、486円になります」
「バーコード決済で」と私は伝えた。
こめかみをチョンと指で叩くと、オデコに決済用のバーコードが現れる。額の髪をかき上げ、店員にバーコードをみせると、店員はバーコードリーダーでそれを読み取った。
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最近は、スマホを持っている人なんて殆ど見かけない。皆、スマートフェイス、スマフだ。顔紙を自由に変え、決済や通話もこれひとつで済む。
オードリー・ヘップバーンの顔紙の女性が、スタスタと目の前を横切る。少し、サイズがあっていない。
私は人気女優の顔を少しアレンジした顔紙だ。こめかみを少しなで、笑顔モードに切り替える。
そろそろ、新しいスマフに変えようかな。表情の切り替え速度が気になるのよね。
年末は、帰省しなきゃいけない。
元の顔のデータはどこに保存したっけ?
ローバッテリーの警告が頭に響く。私は慌てて、顎のUSBスロットに充電器を差し込んだ。




