第九話 入船君と五十嵐さん
担任の松ケ枝先生による唐突な席替えで、隣同士になった入船君と五十嵐さん。
折角、机をくっつけた隣同士なのだから、仲良くしたいと思うのだが…
担任の松ケ枝先生による唐突な席替えで、入船君の隣になった。
このクラスになってから初めて、席が隣で班も一緒になった。
それはいいとして、場所がなあ。
教室のど真ん中辺りだから、なんつうか…周りをぐるりと囲まれて、なんとなく居心地が悪い。
で…折角、机をくっつけた隣同士ということで、別にやらなくてもいいんだろうけど、面倒くさいと思われちゃうかもしれないけど、一応挨拶をして、そこから少し交流出来たらと思った。
本当のところ、私はそういうのが苦手な部類なんだけど、隣同士で全く口も聞かず、お互いの存在をまるっきり無視した形はなんとなく不自然な気もするし、冷たい感じだし、自分達以外のクラスメイトが「よろしく〜!」なんて楽しそうにやってるのを見ると、やっぱり自分達も右に倣えとばかりに、同じ様にしたいと思った。
けれども、自分から積極的にって言うんじゃなく、できれば、できれば相手から私に声をかけて欲しい。
さりげなく、ごくごく自然に。
それが私が考える「理想の形」だ。
入船君から「よろしく〜!」って言った後、「…そうそう、五十嵐さんって…」って感じで色々話始められたらいいんだけどなあ。
…いいんだけどなあ…いいんだけどさあ…いいのになあ…いいよなあ…そういう感じ…んん、だから…だからさあ…だから…その…なんだ…入船君からさ…私にさ…なんか…何でもいいから、声かけたら?
心の中でそう言いつつ、ちらっちらっと、何度も入船君を見るも、敵はいそいそと机の上にペンケースだの、教科書だの、ノートだの、色々丁寧に出して並べている。
それが終わると、こちらを目の端っこで見てから、ふう〜と大きなため息をつき、机の上に両手を乗せたかと思うと、すぐさま頬杖をついた。
…あ…なんだろ…ものすごく感じ悪いなあ、この人。
そんでもって全然私に話しかけようともしないし。
…どうしよう…このまま何も喋らずでいるか?
…ん〜…でもなあ…それはそれでなんか私まで感じ悪い印象になっちゃうし…
別に、好きでも嫌いでもない人にどう思われようが平気…でも、ないか。
どれぐらいかわからないけど、これから隣同士なんだもんなあ。
相手に期待しちゃダメ!って、いつだったか、どっかで聞いた台詞の通り、こういう時は自分から積極的に話しかけてみるか。
そうだよね!そうそう。
とっとと話しかけて、それで嫌な返しをされたら、それはそれ。
こっちはもうやるべきことは済ませたってんで、休み時間になったらともちゃんに愚痴聞いてもらって、慰めてもらおうっと!
そんじゃあ…
「…あ、あのさあ、入船君…あの…よろしく〜!」
少し緊張したけど、思い切って声をかけてみた。
すると…
「ああ…え〜と…五十嵐さん…こちらこそ、よろしくお願いしま〜す!…は〜…よかった〜…」
「えっ?」
「ああ、あはは、ごめん…あの、さ、自分から話しかけんの恥ずかしくて…そんで、五十嵐さんから話しかけてくんないかなあって思ってたもんだから…」
「えっ?そうなの?な〜んだあ…あはは…」
そこから、入船君とは打ち解けられた。
「…へ〜え、そうなんだ〜…あ!そうそう私は魚座だけど、入船君は何座?」
そう尋ねると、入船君は天井を見て少し考えた後、首を傾げながら…
「…え〜と…え〜とね…確か〜…え〜と…鳥?…鳥の入った星座?」と教えてくれたけど…
えっ?
占いの12星座に鳥の星座なんかあったっけ?
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。




