第八話 このみとお弟子さん達
陶芸家の弟子(住み込み)のやっちゃん、桃ちゃん、タツコさんは、師匠の娘のこのみちゃんの話に耳を傾けますが…
「…あのね、今日ね、ルナちゃん、ラッキー魔女っ子プリンセス、ピーチプルルンのお洋服着て来たんだよ〜!」
「…ん?ごめん、このみちゃん、あたし、ラッキー魔女っ子プリンセス、ピーチプルルンがちょっとわかんないかなあ…ごめんね。」
陶芸家のお父さんのお弟子さんの一人、桃ちゃんは知らないんだ。
「えーっ!桃ちゃん知らないのー?え、やっちゃんは?やっちゃんは知ってるよねえ…」
「…う〜ん…あはははは…俺はさ、男だから、女の子のはちょっと…」
お父さんのお弟子さんのやっちゃんもまた、知らない様子。
「お〜い!」
母屋から、かんちゃんとポン吉とぷ〜ちゃんを連れて来た、お父さんのお弟子さんのタツコさんは、「あ〜!知ってる知ってる!それ、日曜の朝にやってるアニメだよねえ!」と言うも、詳しくは知らないとのこと。
まだ2歳になったばかりのこのみの弟かんちゃんは、「ま〜じょじょじょま〜じょ!ぷいんへす〜!」なんて、そこばっかりニコニコ笑って歌ってくれた。
それに合わせて犬のポン吉はワンワンワワーンと吠え、猫のぷ〜ちゃんはこのみの膝にぴょんと飛び乗って来た。
「え〜…なんだあ、みんな知らないんだね…」
膝の上の猫のぷ〜ちゃんを撫でながら、このみは少ししょんぼり。
「…あのね、ルナちゃん、幼稚園のカバンも水筒もお弁当箱もコップもタオルも靴とか、ぜ〜んぶね、テレビでやってるやつとか、ハ〜イ!キャッシーちゃんとか、マイメロロンとか、そういう可愛いやつばっかりなの…」
「…そっかあ…ふ〜ん」
お弟子さん達は皆なんて言ってあげればいいのか、黙ってしまった。
まだ幼稚園児のこのみちゃん。
いつも着ているオーガニックの素材のくすんだアースカラーの素朴なデザインの服より、やっぱり鮮やかなピンクや赤や黄色の、アニメやなんかのキャラクターがババーンとついてる服や持ち物が欲しいよね。
大人から見ればこのみちゃんの着ている服の方が「おしゃれ」と思うけど、着ている本人は正直あんまり好きじゃないんだよね。
お父さんの弟子のやっちゃんも桃ちゃんもタツコさんも、このみちゃんの気持ちがわかるだけに、どう答えたらいいのかわからなかった。
「ルナちゃん、髪長くてね、いっつもママさんが綺麗に結んでくれるんだって…今日はね、ピーチプルルンと同じ2つお団子にして、ハ〜イ!キャッシーちゃんの髪ゴム付けてたの…それでこのみもね、髪伸ばそうって決めたんだあ…」
「そっかあ…いいねえ。」
短すぎる前髪の、きのこ頭のこのみちゃん。
同じ様なきのこ頭のかんちゃん。
やっちゃんも桃ちゃんもタツコさんも、小さい2人の今のこれはこれですごく可愛いけどって思った。
「もうそろそろ焼けたみたい。」
このみちゃんの話を聞きながら、庭で落ち葉を集めて焼いていた芋のいい匂いが辺りに漂い始めていた。
「あ、ホントだ!そろそろ食べられるよ!」
そう言って軍手を二重にはめたやっちゃんが、ゴソゴソと落ち葉を火バサミでかき分けると、見えて来た見えて来た銀色の塊。
焼きたてほやほやで熱々の焼き芋を少し冷まして待っていると、このみちゃんが「ルナちゃんちね、スーパーでラッキー魔女っ子プリンセスピーチプルルンのお菓子とか買ってもらうんだって…でも、うちはさ、そういうの全然買ってもらえなくて、おやつはいっつもこういう焼き芋とか、茹でたとうもろこしとか栗とか、干した柿とかお芋で、あと、庭のりんごとかブドウとか木苺とかで…あ、たまに蒸しパンとかあるけど、りんごとかブドウとか木苺とかブルーベリーのジュースとかジャムとかで…美味しいけど…なんかね、上手く言えないけど…このみもたまには売ってるお菓子が食べてみたいよ〜!」と、叫んだ。
弟子の大人達は、このみちゃんの気持ちもよ〜くわかると思った。
それと同時に、今、一緒に食べてるおやつの贅沢さは、まだ幼稚園児のこのみちゃんにはわからないだろうなあとも感じた。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願いします。




