98 図書館に移動する
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●この物語に出てくる魔法や職業に付いているルビや漢字表記は独自解釈の箇所があり、一般的なファンタジーのもの(小説やゲームなど)と異なる場合があります。
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ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。
ギルドマスターの話が一段落すると、それを聞いていたモノの中から『もし封印でなくて、討伐に成功したらどうだ』と言う声が上がった。
「確かに、封印から抜け出したばかりの今なら、その可能性もあるやも知れない。もし、討伐をするコトが出来た場合の報酬は、封印をするよりか高くはなると考えてよい」
ゼノムはギルド内にいる大勢の冒険者から発せられる突発的な質問にも、曖昧な回答や再び検討をしてから回答をするなどと答えるコトをしていない。きっと、考え得る質問に対する答えを事前に用意しているのではないかと、二人は互いに思っていた。
一通りギルド内に居るモノからの質問に回答してから、ギルドマスターは受付の中へと下がって行った。
先ほどまでギルドマスターが発言した内容は、事前に書き起こされていたようで、ギルマスの発表が終わると同時に掲示板の目立つ処に貼られた。
その場で出た幾つかの質問も、ギルマスが受付の奥にある扉の向こうに消えて、少しすると書き起こされたモノが掲示板に追加で貼り出される。
こう言う点において、ギルドが関与する……イヤ関係しなくとも様々な情報を冒険者へ伝えるコトにおいては、一切の妥協や抜かりがない。
これならばこれからギルドにやって来た人でも、オルデェーファのコトについての情報は簡単に入手するコトが出来るだろう。
但し、それは来るモノ全てが掲示板を確認すればだが……
「アークシュリラ。ギルドと言うか街の方針は判ったから、私たちが名乗り出るかを決めるためにも図書館へでも行こうか?」
「そうだね。アイツの名前は判ったから、どんな相手かを調べに行こう」
二人がギルドの受付や職員たちに、ラジースザイクトスについて尋ねなかったのは、そのモノの周りをたくさんの冒険者たちが取り囲んでいたからであった。
二人は図書館へ移動するコトにした。
「アークシュリラ。ギルマスがアポカリプス級って言ってたけど、カラミティ級のドラゴンより2ランクも上ってコトだよね」
「そんなにスゴイって、感じはしなかったけどね」
「やっぱり、その点は気になるの?」
「だってアポカリプス級だよ。この星が終焉を迎えるような災害ってコトなんだよ」
「じゃ、アークシュリラはどのくらいだと感じたの?」
「ドラゴンには会ったコトはないけど、ゴブリンキングだと10匹くらいかなぁ」
「10匹? それだったら私たちで協力すれば倒せるってコト?」
「図書館でアイツの弱点とは云わないまでも、魔法や物理的な攻撃が効くかどうかが判れば、ボクたちでも充分に戦えると思うよ」
そんな会話を交わしながら、二人は図書館に到着した。
先ずは、書架から魔物図鑑を見つけて、ラジースザイクトスについて調べ始めた。
「強くないって思ってたけど、ラジースザイクトスって結構ヤバイ魔物だね」
「そうだね。これじゃ、神と言っても過言ではないよ」
そこには、通常武器による物理攻撃や魔法での攻撃は、一切効かないと記されていた。
「通常ってわざわざ記載されているってコトは、魔剣や伝説の武器などによる特殊な攻撃は可能ってコトなのかなぁ?」
「きっと、そうだよ。じゃなければ、一切の攻撃が効かないって書くハズだよ」
「だとしたら、ボクたちの持っている武器って、どうなんだろうね」
「ウルフやマダーフォンが相手じゃ、確認のしようがないよ」
「そうだけど……」
「あまり強くなくて、物理攻撃が効かない魔物がいれば良いけどね」
草原に出没する魔物は物理的な攻撃が有効だから、それらにいくら攻撃が効いたとしても二人の持っている武器が特殊か違うかは判らない。
そこは物理攻撃を受け付けない相手でなければ、二人が持っている武器が特殊な武器か、神さまがくれただけで普通の攻撃しか出来ない武器かを確認のしようがない。
しかしそう云う相手だと、こちらが即死をするような攻撃をしてくるコトは稀だが、麻痺や呪いとかを与えて来る可能性がある。
そいつらは、草原を歩いていて簡単に遭遇が出来るようなモノでもないから、普通なら武器の性能を確認するためだけに戦闘をする相手では決してない。
また、普通とは違った攻撃をする方法のやり方は、武器を貰った際にそんな話題は全く出なかったから教わってもいなかった。
「でも、アイツを封印するコトが出来たんだよね。トマ、封印って魔法じゃないの?」
「普通は魔法だけど、あの建物では魔力は全く感じなかったから、きっと別の方法で封印したんじゃないかなぁ」
「魔方陣も発生させるのは魔力だから……それでもないよね」
「魔法陣が隠されている気配も、それらしい痕跡も無かったから違うと思うよ。でも、あそこにナンかしらの方法で閉じ込めて居たのだけは事実だけどね」
魔法や魔方陣では無くて、イヤ、魔法陣だとして魔法以外の力を込めたかも……と魔物を閉じ込める方法をトマは頭の片隅で考えてみる。
「だったら、一切の攻撃が無効って話ではないんだよね。じゃ、今度はオルデェーファを調べないといけないね」
「誰が建てたかが判れば、封印をした力も解るかもね」
二人が歴史とか言い伝えとかの書架でオルデェーファに関する書物を探してみた。
しかし、それらしい書物は全くなかった。
そればかりか、ラジースザイクトスによって被害に遇った記録さえも見つけるコトが出来なかった。
「魔物図鑑には記載があったのに、それが出現して封印したと云うモノが無いのはおかしいよね」
「そうだね。今でもこれほどの騒ぎになっているんだから、絶対に記録されていても不思議ではないと思うよ」
二人はラジースザイクトスについて書かれているモノは何冊か見つけられたが、それが現れたために被害に遭った地域や箇所の状況や、どのように封印したかについて記録されている書物は、一冊すらも見つけるコトが出来なかった。
それは、そのコトがまるで無かったと云わんばかりであった。
「前に現れたときは、どんな禍を与えたんだろうね」
「街を一つ滅ぼしただけではアポカリプス級っては云わないはずだから、きっとものスゴイ災害を起こしたと思うけど……そんなコトになれば歴史書に書かれるし、封印したモノは英雄扱いされて伝記も残るはずだよね」
ファリチスに居た時にも、そんな話は聞いたコトはなかった。
複数の大陸に影響を及ぼした魔物だったら、いくらルセルファンが遠いとは云え、船などを使わなくとも歩ける範囲の距離にあるのだから、そこの近くに封印されて居たモノの話なので、一度ならずとも聞く機会はあったハズである。
●最後まで読んで頂きありがとうございます。
●今回は、トマとアークシュリラがギルマスの話を聞いたのち、図書館に行ってラジースザイクトスについて調査をするお話です。
やっと図書館に来ましたが、調査は相変わらず上手くは進展せずにナンかおかしなコトになっていますね。
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