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9 剣の能力

●この物語に出てくる魔法や職業に付いているルビや漢字表記は独自解釈の箇所があり、一般的なファンタジーのもの(小説やゲームなど)と異なる場合があります。

●私の作品である『異世界に転移した様だけれども……でも、一人きりじゃ無い!!』と『実は、私アルケミストなんですよ』で登場する人物やエピソードを使用していますが、展開や結末は異なることが多少あります。その為に両作品を読んでいる最中に、この物語を読むことはお薦めしません。

 空が白みだしたころにアークシュリラは目覚めた。

 トマはまだ夢の世界にいる。

 アークシュリラはトマを起こさないように注意して、少し離れた場所に行ってから日課となっている素振りをやり出した。


 やはり刃が細い分だけあって、剣運びがとてもやり易いな。

 この剣ならサーベルみたいに、突き刺すことも出来そうだなぁ。

 そうなるとフルアーマーの騎士相手では、ぶん殴れない分不利かぁ。

 アークシュリラは素振りをしながら、貰った剣での様々な戦い方を考えてみている。

 昨日まで使っていた剣は、アシュミコルの仕える者に持っていかれてしまったから、今はこれを使いこなす必要がある。


 どんなモノでも、利点が有れば当然のことで欠点もある。

 それを補うためにはそのモノの特性を知った上で、利点が欠点を完全に凌駕する――補ってあまりあるように生かせばよい。


 今まで使っていた剣はとても重たいから、片手で扱うのは難しかった。

 そのために両腕は当然のコトで両脚など全身の筋肉を鍛え抜いて、体幹を磨きあげる必要があった。

 一方、この剣は、体幹はそれ程必要ではないと思ったが、素振りをするとそんなことはない。

 力任せに振り抜くと、勢い余ってバランスを崩す。

 それに同じ細身の剣であるサーベルと違い、この剣は主に片手で扱う訳でもなさそうだ。

 何日かすれば慣れるかなぁと、アークシュリラは思うコトにした。


 それともう一つ気に成るコトが、アークシュリラにはあった。

 それは、あのモノが火に焼べれば元通りにと言っていたことである。

 そう、絶対に剣は折れないとは言っていない。


 折れた場合にどの位の時間火に焼べれば、再び剣として使えるくらいに再生するのかが今のアークシュリラには判らない。

 技量に差があれば多少の時間は良いが、差がなければ少々の時間でも命取りになる。

 なので傍にたとえ火が有ったとしても、僅かでも再生に時間がかかるのだったら、戦闘中に焼べている時間はない。

 やっぱり、戦闘中に再生させるコトは難しいなと感じた。


 だったら一度折って試すしかないかなぁと、アークシュリラは考えた。


 ちょうど今は、トマが点けた火がまだ燃えている。

 そこで小さな石で剣先を少し折ってから、破片と共に火に入れてみた。

 まだこの時間では無理と思ったが、このくらいじゃないと使えないからと考えて、直ぐに剣を引いて確認してみた。


 剣の折れた処は、既に元通りに成っていた。

 えっ? 瞬時に復元するのか。これなら戦いの最中でも充分に使えるなと、アークシュリラは驚嘆の念を覚えた。


 でも火に焼べた瞬間、剣に何か未知なる力というか、剣自体もそうだが体中に不可思議な感覚が伝わってきたとアークシュリラは感じた。

 そこでアークシュリラはもう一度剣先を折ろうとしたが、今度は何度も石を当てても刃は欠けるどころか傷一つ着かなかった。


 火に焼べる前は案外簡単に折れたのに、おかしいなとアークシュリラは思った。

 そしてもう一本の脇差しを抜いて石を当てると、こちらは先ほどと同様に簡単に剣先を折るコトが出来た。

 脇差しを火に焼べると、またもや不可思議な感覚がアークシュリラの体に伝わって来た。


 火の神がくれたモノだから火に焼べると強くなるのかなぁと、アークシュリラは一人納得をした。


 アークシュリラの考えはあながち間違ってはいないが、実際には火に残っていたウィンデールの魔力を受けたから剣自体の強度が増したのであった。

 なんせ剣自体は火の神から与えられ、そして今、風の神の魔力を吸収した。そうこの剣は、二人の神々の力を受けていると云うことである。


 そもそも、火は風を受けて激しく燃えるし、風も火が熾ると気流が発生する。――この場合は火と言うより熱だけど……

 火と風はお互いに相性が良い、組み合わせと言うコトだった。


 そうこうしていると、トマが少し動いて起き上がった。


「アークシュリラ、早いね」

「いつも通りだよ。それで、あれから火の魔法を使ってないなら、トマの火は一晩中燃えていたんだね」

「そうなるね。この杖のお陰か、あの者が火を大きくした時の魔力が影響したかは判らないけどね」

「そうだったね。トマはお腹は減っている?」

「全く減ってないけど、歩いている時に小動物が居たら捕まえて食事にしようか」

「うん、判った」


 二人は今までバックパックなどで背負っていた全ての荷物を、アイテム袋にしまい込んだ。

 それをトマはローブの内側にあるポケットに入れ、アークシュリラは剣を着けていない方の腰につけた。

 もともとそこにはお金など出し入れが多いモノを入れた小袋があったから、それがアイテム袋に変わった処で二人にとって違和感はない。

 それに大勢の旅人たちも、同様にしている。


 なので、アークシュリラは剣だけを帯び、トマも手に錫杖を持っているだけの軽装になっている。

 他の者からすれば、近所に住むモノが散策をしている様にしか感じられず、冒険者と言うか旅をしている様には全く見えない。


 準備が整って二人は出発をした。

●最後まで読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

●今回は、アークシュリラが貰った剣で色々試すお話です。

やはり命を預けるモノなので真剣にやっているのですが、私の文章が下手で真剣味が伝えられていませんね。


次回のお話は、1月28日0時0分に公開予定です。

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