表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/105

87 ジルフィーネとの話し合い

本日も読みに来て頂いてありがとうございます。

 ジルフィーネが捕まえた男性はノドーラを攫いに来たと教えてくれたから、アークシュリラはトマに話し掛けた。


「トマ、良かったね。解決したみたいで」

「確かにそやつがノドーラを捕まえに来たのは間違いないが、その男は首謀者ではないぞ。だが、計画をしたモノを捕まえるコトは、お主らでは無理だからワラワたちが行う」


 アークシュリラの問いにトマではなくて、ジルフィーネがそう告げた。


 どうやら、さっき捕まえたモノがノドーラを捕まえに来た実行犯だが、別に首謀者が存在するようだ。

 ジルフィーネはトマとアークシュリラでは無理だと言ったが、その理由は話していはいない。

 なので、どう無理なのかが判らないコトには、アークシュリラは納得するコトは出来なかった。

 多分トマも同じだと思って、アークシュリラはジルフィーネに首謀者やナゼ無理なのかを尋ねた。


「ボクたちが無理かどうかを確かめるために、主犯が誰なのか教えてくれる?」

「あぁ、そうだな。この件を企てたのは、長男の教育係であるフィデーだ。お主らでは、会うことすらままならん相手だからだぞ」


 領主の関係者が絡んでいるなら、今の自分たちではジルフィーネが言ったとおりで相手をするコトは出来そうもない。


「長男なら、そんなコトを企て無くても良いんじゃないの?」

「長姉が婿を取るそうで、領主の教育を受け初めだしたのが気にくわなかったのだろう。長男が領主になったら、自分も高い地位に就けるとでも思ったようだな」


 フィデーが長男に言われてやっていれば、ジルフィーネは首謀者が長男と言うだろうとアークシュリラは思った。


 アークシュリラはトマを再び見た。

 さっきアークシュリラに名前を呼ばれたコトで、トマは自分の世界から帰還していたからアークシュリラに顔を向けた。

 それを見て、アークシュリラが言った。


「トマ。あの男が犯人と判ったけど、無理矢理にでもボクたちで喋らす?」

「私たちがあの男性にノドーラを捕まえに来たと言わせても、駆け出しの盗賊(シーフ)じゃないかぎり雇い主はフィデーだとは言わないと思うよ」

「まぁ、そうだね。簡単に喋るようなモノだったら、フィデーが雇うことはないとボクも思うよ」

「だったら、私たちが喋らすより、ジルフィーネに引き渡したら良いと思うよ」


 捕まえた男性がジルフィーネによって実行犯と判ったけど、未だにナニも語ってくれないから困っていたのは事実だった。

 その男を自分たちがこれから何日もかけて問い詰めたとしても、フィデーにたどり着くコトは決してない。

 なので、ジルフィーネが言ってくれなければ、実行犯だった男を犯人として解決したモノと思って、自分たちは旅立っていたコトだろう。


 それならば、ジルフィーネたちがそのモノから聞き出した方が、確かにトマの言うとおりで何倍も良いとアークシュリラも思えた。


 それに、フィデーが勝手にやっていたのなら、証拠もなくただ問い質してもとぼけるかシラを切ると思う。

 犯罪を企てるようなモノが、素直に自供するとは考え難い。

 しかし、ジルフィーネや他の風のモノとかヴァルリアが相手では、フィデーがどこまでシラを切り通せるかは判らないけど、実行犯を引き連れてフィデーを問い詰めた方が、シラを切られないで済むだろうともアークシュリラは考えていた。


 実行犯が居てもトカゲの尻尾切りをして、知らないと云うかも知れないけど……居ないよりかは安心出来る。


 今のトマとの話し合いは、目の前で話していたからジルフィーネにも聞こえているハズだが、アークシュリラは念のためにジルフィーネに言った。


「だったら、実行犯も必要じゃないの?」

「居た方が、やっぱり話は早いな」

「それなら、トマが言ったように実行犯を引き渡すよ。さっき捕まえたけど、自分たちではナンにも喋ってくれなくて困ってたんだ」

「さっき?」

「月の出ない日に攫いに来るって情報があったから、ボクたちは準備をしてたんだよ」

「月の出ない日か、確かに今日だな」


 ジルフィーネは月に一度程度ここに来ると言っていたが、ヴァルリアが月の出ない日を狙って作物の運搬を命じた訳ではないと思える。

 しかし、他のモノでなく今日ジルフィーネがここへ来たのは偶然なのか、それとも必然なのかの判断は出来ない。


「そうだよ。だから、ここへ来た目的を果たしたらまた戻って来てよ」

「目的の場所は直ぐそこだから、このまま傍にいろ」

「そう。だったら着いて行くよ」


 本当に少しだけ歩くと、ジルフィーネが左右に腕を広げる。

 そうすると空間が割れた。

 そしてその空間――異空間と思われる処に納められていたモノを、丁寧に取り出して置いていった。


 別にジルフィーネは自身が来たコトを告げて、この作業をしている処にノドーラを呼びつけるコトはしていない。


 その置いていったモノは、どれもがキレイに箱詰めされてある。

 それらは、出来の悪い作物を乱雑に入れたモノでは決して無く、どれもが形が良い美味しそうなモノだった。

 しかし、この普通サイズではノドーラが持っていけないのではと思っていると、ジルフィーネが置いた箱の幾つかをなでた。

 そうすると、野菜は箱ゴト小さく成っていく。

 残りの箱は元のサイズのまま残してある。


 サイズを変えた方法は気にはなったが、トマが持っている錫杖だってサイズは変わる。

 なので、神さまの能力の一つなんだと、アークシュリラは納得をするコトにした。


「終わったぞ」

「置いて置くだけで、それで判るの?」

「そうだ。ノドーラには判る。たまに野菜を加工して、アヤツらはヴァルリア様の処に届けに来るぞ」

「サイズを変えてないのも、ノドーラ用なの?」

「小さくしたのは食してもらうためで、そのままのモノは住居や衣服の材料にするためだな」


 ノドーラだって寝床が土むき出しよりかは、葉っぱを敷いた方がよいだろう。

 それに衣服とかも作る必要はあるから、その材料は絶対に必要だ。


「街の人々は、ノドーラがその加工したモノは知っているの?」

「当然、ヴァルリア様やワラワたちが食して、作り方などを変えて教えているから知っている」

「作り方を変えるの?」

「そうだ、ノドーラには大丈夫でも人々では毒になるコトもあるし、人の技術では出来ない調理方法もあるからな」


 トマが尋ねた。


「野菜はとてもおいしかったけど、本当に毒があるの?」

「そうだなジャガイモだと、緑色になったヤツとかだな」

「緑色になったら、ダメなの?」

「そうだ。あと芽も良くないな」

「それってルセルファンのみんなは知っているの?」

「当然、知っているぞ」

「私たちも食べる際に注意するよ。ありがとうね」


 トマは頭をペコリと下げた。

●最後まで読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

●今回は、トマとアークシュリラがジルフィーネと話し合うお話です。

ナンとか犯人も判って解決を迎えそうです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ