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8 それぞれの思惑 その2

今回も読みに来ていただき、本当にありがとうございます。

●この物語に出てくる魔法や職業に付いているルビや漢字表記は独自解釈の箇所があり、一般的なファンタジーのもの(小説やゲームなど)と異なる場合があります。

●誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

 アシュミコルの館にある応接室で、火の神アシュミコルと風の神ウィンデールは話し合っていた。

 その話の内容は、トマとアークシュリラのどちらをこれから支援するかである。


「あの子は、あらゆる生き物に対して優しい。タダ優しいだけでなくて、悪さに対しては人一倍強い精神力、正義感で立ち向かえるモノだ」

 ウィンデールはアークシュリラを押す理由を、アシュミコルに語った。


「判った。しかし、儂の押しはトマの方だ」

「トマは、火に連なるモノなのか」

「ナゼか火の加護を承けている様だが、儂らとは関係はない」

「話してみろ」


 今度は、ウィンデールがアシュミコルの話に興味を持った。


「あの子は、燃え盛る街の中で誕生した」

「どう言うことだ。戦か」

「違う、何年か前に急に火山が噴火して、周囲にある街や村を焼いたのは知っているよな」

「あぁ、知っている。十数年前のことだったな」


 神々が生き物に対して、奢りや傲慢など秩序を乱していると感じるときに罰を与えることはある。それは、天変地異として発生するモノが多い。


 また神々は突発的な災害が発生しない様に、日々自分の担当する範囲内を細かく確認をしている。

 だがしかし、この星も生き物である。

 神々の意図しない処で、突然この場合の様に噴火をするコトもある。それは噴火以外にも、地震とか暴風雨や津波と云った現象もある。


「そうだ。あの子の母親がちょうど産気づいた時に、運悪く火山が噴火した。それは我らが意図しないモノだった。もう逃げることが適わない状況で、その母親は子を産むことを決心した」

「お腹の中でこのまま焼け死ぬより、一秒でもこの世界にと云う気持ちだろうか。それとも――」


 ウインデールの発言を遮って、アシュミコルが話し出した。


「母親が何を考えて、その判断をしたかは判らん。そして、お産はとても順調に終わり、産後の母親と新生児を荷馬車の荷台に乗せて父親は急ぎ街を出た。家の近くまで火の手が迫っていたから、背に腹は代えられないとな」

「まぁ、男がお産で出来ることは、非常に少ないしな。逃げる準備くらいはしていただろうな」

「そうだな。そのうち幾つかの街は再建されたが、トマの産まれた街は未だに再建されていない。親たちは街が再建されたら戻る気があって、一時的な避難と思っていたかも知れないけどな。でも、天命と云うのかも知れんが、導かれる様にアークシュリラの居るあの街に、トマの家族は落ち付いたのだ」


 再建された街は街道の分岐など交通の要所にある所で、基本的には領主や有力者たちが自費で再建をした処であった。その他の場所は、まだ家々が点在する所でしかない。


「トマは、そのことを知っているのか」

「両親が好んで話さないから、知らないと思う。トマ自身は、今の街で産まれたと思っている節もある」

「ほう。お主が火の勢いを弱めて、親子を助けてやったのか」

「儂は何もしておらん。強いて言えば、あの親子の持つ力だ。それ以来、多少は気に成っていた」

「そうか。それで火の加護を受けていると云うのだな。なんとなく判った」


 二人の神が云う支援とか押しとは、この世界の絶対的な裁定者を選ぶことである。

 ただ力や能力が高いだけでは、何人もいる神々からの信任や信頼を得られず、その役職に選ばれることはない。

 だから神々は既に何千、何万年もの期間に亘り、あらゆる生き物たちを見守り続けている。


 そもそもこの世界には属性ごとにメインとなる神が居て、それぞれ眷族として大勢の神々を束ねている。

 その神々同士の問題は、基本的にメインとなる神が裁定をする。しかし、他の属性に影響するコトは、メインとなる神が集まって話し合いで解決をしている。

 それがこじれた際の最終裁定者として森羅万象を司るモノや全てを統べるモノがいる。

 最終が二人いるのは万が一の予備であり、二人が話し合って解決をしている訳ではない。


 今は森羅万象を司るモノが神々の間での争いを裁定しているが、そのモノも寿命が尽きてきたので全てを統べるモノの選定を急ぎだしていた。

 森羅万象を司るモノや全てを統べるモノは、同時期に同じ役職に一人しか存在はしない。それは副官みたいなモノや試しとか訓練中とかも存在しない。その役職……いやメインとなる神ですら各属性に一人しかいない。


 森羅万象を司るモノや全てを統べるモノは、必ず亡くなった後にもう一方から任命をされる。また、相手が生きている内は、どんなに険悪な仲だろうと相手を罷免するコトは出来ないし、新たに任命をするコトも出来ない。

 メインとなる神は、そのモノによって任じられる。


 万が一、二人が同時期に亡くなった場合は、メインとなる神が選定を急ぎ行うコトになっているがすぐに見つかる訳はない。その間はその神々たちの合議により問題を解決、または先送りをする。


「我々2人だけでも違う者を選ぶのだから、まだ直ぐには決まらんだろうな」

「そうだな、最大で8人から選定するコトになるな」

「まぁ、一人に決められずに誰も押さない者もいるだろうから、そうだな」


 当事者であるトマやアークシュリラが全く感知していない処で、神々には神々の思惑が渦巻いていた。


●最後まで読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

●今回は、トマとアークシュリラのお話では無く前回の続きの話です。

今回はトマの出生の話になりました。

両方を1話では、読書の皆さんが長すぎて疲れてしまいそうだったので、無理矢理2話にしたため今回は少し短めです。

たまにこう言った回も挟みます。


次回のお話は、1月25日0時0分に公開予定です。

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