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78 宿屋に戻って

本日も読みに来て頂きありがとうございます。

今話は、少し短めです。

 宿屋に戻ったトマとアークシュリラは、食事も済んだので部屋にいる。


 普通なら出発の前日の夜は、街で購入したモノをバックパックに詰め込んだり、良く使う品を点検したりして慌ただしい。

 しかし、二人がそれをしないで寛いでいられるのは、出発に際して二人が行うコトが、寝るのに邪魔になると云う理由で外した、剣や矢筒とかを装着するだけであったからである。


「ねぇ、トマ。今日、広場とか領主の館とかを見たけど、そこにあった彫刻って変じゃなかった」

「上手く説明が出来ないけど、確かに違和感があったよ」

「ボクには、安置してある神さまを変えたように感じたけどね」

「歴史がある街だから、変わってても変じゃないよ」


 長い歴史があれば、街自体が目指す方向性が変わることがある。

 そうなると、信仰する神さまくらい変えるだろう。

 小さな村だった当初は狩猟の神を崇拝していたモノが、街になって更なる発展のために商いの神さまを崇拝するコトもある。

 街の環境によっては、商いの神さまでなくて農耕の神さまや水に関する神さまと云うコトもある。


「そうだよね。でも、図書館で街の歴史を調べたけども、祀っている神さまを変えた記録がなかったんだよ」

「昔の人々が、神さまにあまり興味がなくて記述をしなかったのかもよ」

「そうかも知れないけど……今日、見たモノは周りの装飾が葉っぱなどだから、農耕や豊穣など植物関係の神さまのために造られたと思うんだよ。でも、祀っていたのは全てがヴァルリアだったよ」


 トマはヴァルリアとアークシュリラに言われても、その名前を初めて聞いたのでナンの神なのかを知らなかった。


「そのヴァルリアって、農耕の神さまじゃないの?」

「違うよ、風の神さまだよ」

「風の神さまなら、アークシュリラは知っているの? それで、ヴァルリアってどんな神さまなの?」

「う~ん。一言では説明しにくい神さまだよ。それでも簡単に言うとヴァルリア自身は穏やかな風を扱うけど、それだけじゃ無くって、配下を使って各季節を仕切る神さまかなぁ」


 神々にも冒険者のように、その属性を取りまとめる神を筆頭に、様々なランクがある。

 ランクと言うより、格付けと言った方がしっくり来るだろう。

 火の神さまにだって配下を持つ神々はいるから、風の神さまの中に配下のいる神さまが居ても不思議ではないとトマは思った。


「各季節?」

「夏になれば暖かい風を起こして暑くするし、冬は冷たい風を起こして寒くするけど、それは配下が行うんだよ」

「その配下も神さまなの?」

「ヴァルリアの処に居る配下たちは、精霊だから神さまではないよ」


 火の神々の配下は、ほとんどが神さまであって、精霊と云うコトは稀であった。

 それでも、精霊を配下に持つ神は、居ない訳ではない。


「じゃ、ヴァルリアは管理だけなの?」

「う~ん。そのモノたちは、ヴァルリアの処で修行中って感じかな。だから、管理はしてるんじゃないかなぁ」

「でも、穏やかな風を扱うってのは?」

「穏やかな風ってのは、冬に温かい風や夏に冷たい風が突然吹くじゃん、あれを吹かしているのがヴァルリアだよ」


 アークシュリラの説明を聞いたトマだったが、やっているコトはナンとか理解出来るけど、今一つヴァルリア自身がどのような神格を有しているのかは判らなかった。

 それはヴァルリア自身が行わなくても、そのような風を吹かせるだけなら、面倒でもその度に配下に命じれば良いと思えた。

 それが、管理をするというコトじゃないかとトマは感じた。


 それでもアークシュリラに更なる説明を求めたとしても、この状況が変わるとは思えなかった。

 なので、アークシュリラが知っているのだから、自分が理解していなくても影響はないと考えて話を進めた。


「この街では、その風の神を祀っているんだよね。それで周りの植物の彫刻に、私が違和感を覚えたってコト?」

「そうナンだよ。風の神さまだったら、植物よりかは流れる模様が多いのに、この街にあった彫刻には、周りに植物がたくさんあったからね」


 アークシュリラはそう説明したが、街中にあった彫像が風の神さまだと、トマはアークシュリラに言われるまで知らなかった。

 それでも、違和感があったのはナゼだろうと思った。


「今の説明だと、私がヴァルリアだっけ、それを風の神さまだと知っているコトにならない。アークシュリラに聞くまで、名前すら知らなかったんだよ」

「そっか。トマが彫像を土の神さまだと考えても、良いってコトだよね。それなら、なんらおかしくないコトになるね。そうなると、ボクには説明は出来ないかなぁ」


 アークシュリラが、さじを投げたようにトマには感じた。

 自分がアシュミコルに与えられた知識によって、このしっくりこない感覚があったのかと問えば答えは違うと言える。

 しかし、自分自身が判らないコトを、友だちが説明出来るハズはないから、トマもあえてアークシュリラにこれ以上問わなかった。


 それに、ヴァルリア以外にも、二人にはこれからどうするとか食べ物の話など、しゃべる内容はたくさんあった。

 話しているウチに、いつしか二人は眠りに落ちていった。


●最後まで読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

●今回は、トマとアークシュリラの二人が、調査を終えて?街での散策を終えて宿屋で話すお話です。

前書きにも書きましたが、今回は短めです。

無理して書けばいつもの分量に届きますが、くどくなるのでこれだけです。


ナゼ、短いかは、メモ書きを読み直していて街を出た話しを投稿する前に、やっぱりこれを入れときゃなきゃダメって感じたからです。


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