表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/106

75 図書館で調査をする

本話も読みに来て頂き、本当にありがとうございます。

 翌朝になって、宿屋の食堂で軽めの朝食を取った。

 そして、二人は図書館に向かう。

 図書館の建物もギルドと同じ感じで、もの凄く歴史を感じさせるモノだった。


「この街って歴史があるのかなぁ」

「なんかそんな感じだよね。時間があったらついでに街の歴史も調べても良いよね」

「そうだね」


 図書館に入ると、まずエントランスホールがあり、その向こうに受付があった。

 しかし、書架はここからでは確認が出来ない。

 一見して建物が立派すぎたのでここが貴族の館で無く図書館だと云うコトを、二人は入り口にあった看板で確認していた。

 なので間違いはない。

 そうなると、書架は受付の脇にある扉の向こうにあるに違いないと感じた。

 そこで二人は、受付に行かないコトには本を読めないと考えてそこへ向かった。


「調べたいコトがあるのだけど、どうしたら閲覧出来るの?」

「ここでギルドカードを確認させて頂き、問題がなければ資料室で調べることはできます」

「問題って?」

「手配犯などですね」


 二人はギルドカードを受付に居た人に渡した。

 慣れた手つきで、受付の人は二人のカードを一枚ずつ装置で確認をする。


「問題はありませんから、中の階段で3階に行って下さい。そこが資料室に成ります」

「二階はなんなの?」

「二階は新聞とか、趣味や娯楽の本になります。詳細は館内に設置されている案内板をご確認下さい」

「判った。ありがとうね」


 二人は階段で3階に行く。

 階段の踊り場には、受付で言われた館内の案内図が掲示されていた。

 それによると、4階以降も研究書や専門書などがあるようだった。


「資料室ってここだよね」

「3階だから、そうだよね」


 毎日歩き続けている二人に取って、建物の整備された階段を3階分上ることは苦にもならなかった。


 扉を開けた部屋の中には、椅子が四脚据えられたテーブルが20は並んでいた。

 その光景は、まるで少し大きい食堂のようだった。

 もちろん、そこで飲食をしている人はいない。

 それでも二人がそう思ったのは、この場所から一切の書架が見当たらないからであった。


 資料は別の階にあるのかと考えて、中を歩いていた受付の人と同じ服装の人にトマが尋ねた。


「すみません。一階で資料室はここって聞いたのですが……」

「初めてですか?」

「はい。昨日、ここに着きました」

「そうですか。資料は、あの扉の向こう側にあります。貴重な資料もありますのでその場所で読まないで、こちらのテーブルに持ってきて読んだりメモを取ったりして下さい」

「ありがとう」


 トマとアークシュリラの二人は、資料があると言われた扉の近くにやって来た。

 そして、そこに書かれている文字を眺めた。


「扉ごとに、ジャンルが違うみたいだね。でも、扉が近いから中は一つと云うコトはないかなぁ」

「その可能性はあるけど、ご丁寧に扉が別々になっているから別の部屋なのかもよ」

「そっか。じゃ、ここは魔法ってあるから、今のボクたちが求めているのとは違うね」

「アークシュリラ。あすこに案内板があるよ」

「本当だね」


 資料室の本は一応ジャンルごとに別れているらしく、案内板はそのジャンルに含まれるモノを示している。

 それによれば、歴史のジャンルには郷土資料とか伝説も含まれるようだった。


「コビトって魔物なのかなぁ、それとも伝説?」

「どっちだろうね。それか生き物ってコトもあるね」

「あっ、ノドーラは眷属だから、神話ってコトも考えられるね」


 案内板に書かれている大まかな区分では、目的の資料がどのジャンルにあるのかが判らない。

 それは自分たちが探している資料が、どのジャンルに属しているのかがイマイチしっくりこなかったからである。

 悩んでいても時間の無駄なので、取り敢えず気になったジャンルの扉を開けて中に入った。


 そこは魔法で創られた異空間のようで、壁や窓は一切なくて沢山の書架がずらりと並んでいた。

 さらに言えば、閲覧場所側で並んで設置されていた他の扉もその空間にはなかった。


「トマ。ここから必要な本を探すのは手間だね」

「確かに……こんなに書物があるとは思っても居なかったよ。でも、棚には細かいジャンルのプレートがあるから、先ずは、それっぽいのを探してからかなぁ」


 初めのウチはどのジャンルに目当ての本があるか分からなかったが、次第に区分の意図が分かってきた。

 そうなると、沢山の資料があるコトは非常にありがたい。

 自分たちが探している資料は少し探せば直ぐに見つかったのは、これも資料室などの書架にかけられた捜索系の魔法なのかも知れない。


 トマとアークシュリラは、各自が数冊ずつそれらしい資料を見つけて閲覧場所で読み込んでいる。


「アークシュリラ。この街ではコビトって守り神のようだよ」

「それって、ノドーラのコト?」

「いや、細かく指定していないから、コビト族全般だと思うよ」

「そうなんだ。ボクの資料では悪さをするモノとあるよ。だから農作物を作る所では、罠を仕掛けて駆除するらしいね」


 妖精やコビトの中には、悪さをするモノもいるだろう。

 元来、それらはイタズラ好きな生き物なのだから、そのイタズラを笑ってやり過ごせなければ退治もするだろう。

 それは妖精やコビトに限らず、全ての生き物に当てはまるコトでもある。


「アークシュリラ! これに、月との関係が書いてあったよ」

「どう、あったの?」

「コビト族の中には、月が満ちるに従って魔力が高くなるモノも居るんだって」

「そうなると、月が出ていない時は、もっとも弱いってコト?」

「まぁ力は元々強く無いから、そうなるね」


 月の出ない日にノドーラを攫っていたのは、魔力が弱まっているから捕まえやすいと考えての行動だろうと二人は思った。

 ナゼなら、生け捕りにする場合は直接捕まえるか罠を設置して置くかである。

 しかし、相手が魔法を使うとなると、簡易な罠だと捕らえてもそれを使って脱出されてしまうかも知れない。


 そんなコトが起きないように、魔法を無効化する対策などを講じるコトも出来る。

 しかし、罠自体が高価になってしまうので、捕まえたモノが掛かった経費分を上乗せして売れれば良いけど、そうならない場合は、費用に対する売値の面で割に合わなくなる。


「月の出ない日に捕まえていた理由は判ったけど、あすこで悪さをしていてもこの街には影響はないよね」

「それなんだよ。もし、守り神だったら、捕まえる必要はないし、鳥みたいに自由に出入りをさせれば良いからね」


 それから何冊かの資料を読んだが、ピーンとくるモノはなかった。

 それは、見つけた資料がコビト族の一般的な解説であって、ノドーラ自体を書き記した書物でなかったコトが大きい。

 一応、神々に関する資料も何冊か見たし、気休めにこの街の歴史も見た。


 このままでは煮詰まってしまうから、二人は気分転換に街を散策するコトにした。


●最後まで読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

●今回は、トマとアークシュリラの二人が図書館で調べ物をするお話です。

目的に合致する文献は見つけられませんでした。

読者の皆さんの中には、そう簡単に見つからないだろうなって思って居た人もいるかも知れませんね。

コビトと言ったって、なんせノドーラは神の眷族なんですから……


二人は気分転換に街を散策するコトにしましたが、偶然にも市場の裏で行っていた取り引きの現場に遭遇するのでしょうか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ