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70 魔力がある場所

今回も読みに来て頂きありがとうございます。

 トマと話し合っていて、アークシュリラはウィンデラスに乗れば地上を見下ろすコトが出来ると思った。

 しかし、彼女はそんな些細なことに眷族を巻き込む――イヤ、頼むことに気が引けている。


「アークシュリラ。悩んでいるなら、聞いた方が早いよ。それにウィンデラスは友だちなんでしょ」

「そうだけど、こんなコトで呼んでも良いのかなぁ。それに、この付近に居た有翼のモノ、イヤ、翼はあるか判んないけど……それが犯人じゃ無いコトもあるよね」

「だったら呼ばなくても構わないけど、今の私たちにはそのモノを見つける手段がないんだよ」


 ここで、人間が突然に消える方法があるコトを、アークシュリラは思い出した。


「トマ。この付近に魔法陣はないかなぁ」

「あっ……そうだよね。魔法陣ってコトもあるよね。ルルピリャマーラがアークシュリラならって言っていたから、すっかりそのコトに失念していたよ」

「探せそう?」

「あまり魔法で探したコトは無いけど、やって見るよ。【魔法感知(ディテクトマジック)!】」


 トマはいつも壁や床などに直接触れて、残存する魔力を探している。

 それは、見つけたい魔法をいつ使ったかが判らないから、微量の魔力でも感じられるようにそうしていただけで、魔法を使ってあまり経っていないのなら魔法を使って感知するコトも出来た。

 それに直接対象に触れて探ると、触れた周囲10センチメートルくらいしか判らないが、魔法を使えば捜索出来る範囲が100メートルと広い。

 そのため、気にも留めていない処の捜索も出来るから、トマとしては直接触れないで出来るコトなら魔法を使いたかった。


 アークシュリラは、トマが結果を云うのを待っている。


「アークシュリラ、ここにはないね」

「だったら、移動をする?」

「そうだね。少し場所を変えてみようか」


 二人は少し移動をしてから、トマが再び探知魔法を掛けた。

 やはり、そこでも反応はなかった。


「トマの知っている探知魔法って、それだけなの?」

「他にも有るけど、それだと魔法陣かを区別出来ないよ」

「それでも良いよ。この付近で魔法を使った形跡が判れば、居なくなったのが人間と言う可能性が出てくるんだしね」

「そうだったよね。どんな魔法かまで一度に調べる必要もなかったよね。【魔力捜索ズーヘンマジシェクラフト!】》


 今度の魔法は1キロメートル程度の範囲内で、魔力の有無を探るコトが出来る。

 この魔法に反応するモノは魔法を使った残滓だったり、魔石や鉱物とか魔物などの魔力を直に放出するモノだったりと様々なモノが反応をする。

 それらが反応する場所とその強さは判るモノの、それがどの魔力かまでは判らない。

 なので、魔法使いたちはあまりこの魔法を使いたがらなかった。


 アークシュリラは、トマが結果を語るのをおとなしく待っている。


「アークシュリラ。三ヶ所で魔力が有ったよ」

「距離は?」

「一番近いのが、ここから西へ500メートル、次が南へ800メートルで、一番遠いのが東へ950メートルだね」

「魔力の強さも判った?」

「一番強いのが南で、西と東は同じくらいかなぁ」

「トマが感じた感覚だと、魔方陣はどこだと思う」

「全部違うような気もするけど、西と東は少なすぎるから絶対に違うと思うよ」

「じゃ、南へ行こうか」

「そう、しよう」


 二人は、トマの感じた魔力の残滓がある場所へ移動した。


「アークシュリラ、ここだよ」


 トマが言う場所には、確かに薪や枝に火を点けた焚き火の跡があった。


「ここで食事をしたのかなぁ」

「そうだね。草の倒れ方から言うと、三人居たのかもね」


 焚き火を囲むように、三ヶ所の草が斜めになっている。


「燃えかすから言って、そんなに日は経っていなそうだよね」

「でも、この焚き火は消火した感じではないよ」

「確かに、完全に燃え切っているね」


 普通なら旅立ちに際して、水や土などを掛けて火の処理をする。

 なので、火に焼べたモノの中に、燃え残る部分が絶対に出る。

 それが、これには燃え残った枝や薪とかはなく、総てが完全に燃え切っている。


 それをしない理由は、2つぐらいしか思いつかない。

 一つは魔物や人とかに急に襲われたために消火の処理が出来ない場合で、もう一つが燃え切ってから出発を迎えた場合だ。

 前者には物理的な攻撃以外にも魔法や魔力などで身に危険が迫っていると感じて、逃げた場合も当然含まれる。


「トマ。その魔力は、なんだか判る?」

「うん。調べてみるよ。【魔法感知(ディテクトマジック)!】」


 今度はこの付近で感じた魔力がナニによって残っているのかを探るために、トマが感知魔法を使った。


「アークシュリラ、判ったよ。これは魔法陣じゃないね」

「だったらナニ?」

「火属性の魔法だから、火を熾したのかなぁ。でも魔力が多いような気もするけど、戦った形跡はないしね」

「確かに争った形跡はないよね。でも、火を熾すだけならそんなに魔力は必要ないと思うんだけど、他の2つの場所よりも魔力が高かったんでしょ」

「そうなんだよね。私だったら、もっと少なくするよ」


 なぜ、これ程の魔力を使わなきゃならなかったのかが、トマにはその合理的な理由が全く判らなかった。


「トマ、火の属性以外の魔力はないんだよね」

「そうだよ。私が感じたのは火の属性だけだよ」

「焚き火を着火させる以外の魔法と言う可能性は、どうかなぁ」

「焚き火以外だと……」


 放出する魔力量を調整出来ない、魔法の初心者なら……

 しかし、初心者だったら、これ程の魔力を放出したら気を失って倒れてしまうから、それは考えにくい。


 そして魔法に慣れれば、いくらナンでもこんなに魔力を使って火は熾さない。

 どんなモノが魔法を使ったのだろうと、トマは様々なコトを考えて推理をしていく。


 アークシュリラは、トマの思考を妨げないようにあえて話し掛けずに見守った。


 トマはあまり使わない火属性の魔法を、一つ一つ思い出してみるコトにした。

 魔力を一番必要とするのは召喚だと思うなぁ。

 確かに召喚魔法は消費する魔力が高くて慣れないと危険を伴うから、誰も居ないこの場所で行うコトは理解が出来る。

 しかし、いったいこの場所でナニを召喚したんだろう。


 アークシュリラが魔法で感じた気配では、北の方が人は多いといっていた。

 その多いって、私はここよりも少し人数が居る程度と考えたけど、そこって村や街と云うことはナイかなぁ。


 そうだったらそこでナニかをするために、召喚したコトも考えられるけどね。


 違うモノだと……

●最後まで読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

●今回は、トマが感知した魔力の場所へ、アークシュリラと行くお話です。

なんか回りくどい感じになってしまってます。

まぁ、トマも魔法は習っているけど実践で使う機会はあまりなかったから、仕方が無いと言えばそうなんですが……

魔物が目の前で暴れているなら、直ぐに解決出来るんですけどね。

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