67 新たな召喚をする
今回も読みに来て頂きありがとうございます。
トマとアークシュリラは相談をして、ルルピリャマーラを呼ぶコトに決めた。
呼ぶための祭壇はシファディーダを呼び出した時に使ったモノが残っているから、呼ぶのに必要なモノは新しい供物だけだった。
その供物も既に二人のアイテム袋の中にあるので、それを並べれば良いだけである。
「トマ、直ぐに呼ぶことは出来る?」
立て続けに呼ぶコトは体力や魔力を消費するだろうと考えて、アークシュリラがトマに聞いた。
「平気だけど」
「じゃ、お願い」
マダーフオンとウルフを供えて、トマは先ほどと同じ位置に行って詠唱をしだした。
アークシュリラも同じように、後ろに控えている。
トマがしばらく祈っていると、黄色の靄が起こった。
それがシファディーダの時と同じ様に、次第に丸くまとまっていく。
そしてまとまりが収まったのと同時に、声が聞こえた。
「ワシを呼んだのは、お主か」
「はい、私です。先ほどシファディーダから紹介を受けたので、呼ばせて頂きました」
「そうか。ワシはルルピリャマーラ、土の主神である」
「ありがとうございます。私はトマ、後ろに居るのがアークシュリラと申します」
「判った。それで呼んだ訳を聞こう」
「私たちはコビト……イヤ、ノードラがアティンヴェスに襲われていると思って、土の眷族と知らずアティンヴェスを仕留めてしまいました。お許し頂きたいのですが……」
「そんなコトか。地上に姿を現したのなら、そうなるコトもあるだろう。気にする必要はない」
「そうですか」
「それだけか」
「いえ、もう一つあります。ノードラが何者かに攫われているらしいですが、それも土の眷族や神々が行っているコトですか?」
「ほう、ノードラが捕まっているのか?」
「はい、本人がそう言っていました。もし、関わってないのなら、犯人を私たちが捕まえようと思っています。しかし、神々の意思なら私たちが手出しするコトではないため、ノードラに救えないと謝りに行きます」
「そうか。今から調べるから、少し待て」
今まで僅かに上下に揺れていた黄色い靄は、宙に浮いたまま制止してしまった。
トマやアークシュリラは、それが再び揺れ出すのを黙って待った。
しばらくして、黄色い靄が再び揺れ出した。
「判ったぞ。そのコトには神は携わっておらん」
「そうですか」
「そうだ。ノードラのコトは、お主らに任せる。助けるのも助けないのも自由だ」
「それでは、この草原の何処かに犯人が居ると云うコトですが、その場所を教えて頂けますか」
「見つける手助けでなく、教えろか。それではお主らがやるコトは、そこからノードラを連れてくるだけと言うことか」
「いいえ。攫っているモノを退治します」
「ここは治安を維持するモノはおらんから、そのモノを殺すと言うことか」
「……」
トマはアークシュリラと話していて、懲らしめる程度と考えていたので、言葉に詰まってしまった。
「どうした」
「殺すかは分かりませんが……」
「なら、改心させるのか」
「出来たら、そうしたいです」
「甘い考えだな。でも、良かろう」
「でしたら、教えて……イヤ、ヒントは頂けますか」
「ヒントなど不用だろう。アークシュリラなら判るハズだがな」
ルルピリャマーラのその言葉を聞いて、後ろに居たアークシュリラが話し掛けた。
「それはどう言うコトですか?」
「お主は風の神から加護を受けているではないか。その力を使えば簡単に判るハズと言ったつもりだ」
「風の魔法ですか?」
「ワシに結びまで言わすな。少しは自分で考えろ」
「分かりました」
「トマよ。もう良いか?」
「はい、ありがとうございます」
黄色い靄は消えた。
トマは作った祭壇などを土に還してから、アークシュリラに尋ねた。
「ルルピリャマーラは、アークシュリラならノードラを連れ去ったモノの居所が判るようなコトを言ってたけど、本当に判るの?」
「言ってたよね。ボクが風の魔法って聞いたら、しまいまで言わすなって怒られたけど……」
「アークシュリラが普段使わない魔法の中に、捜索系の魔法はあるの?」
「捜索系?」
「モノを探すヤツだよ」
トマ自身も捜索や探索する魔法は、魔法使いなのでアークシュリラよりも知っていると考えている。
しかし、ルルピリャマーラが自分ではなくアークシュリラと言ったからには、なんか自分では出来ない特別な方法があるのではと想像していた。
「あるにはあるけど、捜索が出来るのはアルかナイかだけだよ。それを使っても、犯人を見つけるコトなんて出来ないよ」
「それってナニが居るとかは判らないってコト?」
「判ったら、もっと安全なコースを進むよ。判るのは、何処に生命活動があるかだけだね」
アークシュリラの話では、例えば前方に生き物がいるとは判るが、それが魔物か人か、はたまた、ただの動物かを判断できないようだった。
「植物は判んないの?」
「込める魔力を変えれば植物までは探索出来るけど、ここだと一面総てが反応するよ」
確かにここには背の高い草や木は無いモノの、草の生い茂る草原だから至る所に背の低い植物は生えている。
「魔力量を調整しても、区別は出来ないの?」
「狩りをした時に少し試したけど、そう言うモノみたいだね」
アークシュリラは魔力量などいろいろ試したが、自分が必要とする反応を得られず。
やっぱり自身が学び得た、敵の気配を感じ取る方法が一番使い勝手の良いと判断した。
トマは自分が使える捜索系の魔法で、一番得意なヤツだったら大きさ程度は把握出来るモノの、それを使うためには自身と対象が同じ水に接している必要があった。
それは水中である必要はない。同じ水たまりでも、つながっていれば良かった。
それ以外の捜索系の魔法は、アークシュリラと似たり寄ったりであった。
そこで、なぜルルピリャマーラはアークシュリラと言ったかが、二人には全く判らなかった。
言われたからには、ナニか良い方法があるハズだと、アークシュリラは自分が教えてもらった魔法などを洗い直しながら考え込んでいる。
教わった魔法は、試したモノ以外も全て効果は把握している。
ナニを指して、自分なら見つけられると言ったのだろう……
トマは自分が変なアイデアを口にして、アークシュリラの思考を妨げないように黙っていた。
浮かんだアイデアを一つ一つ、自分自身で検討していく。
私の蝶なら……でも、あれは自分からどんなに遠くへ行かせても、200メートルが限界だった。
確かに何度もやれば見つけられないコトもないけど、その距離だったら障害になるモノのないこの草原では目で見た方が早いかぁ。
二人は草原に座っているが、全く会話は交わしていない。
端から見れば赤の他人かと思えるが、向き合って座っているからそうでもないようにも見える。
誰もこの傍を通るモノは居ないので、そんな異様な二人に気付くモノもいなかった。
●最後まで読んで頂きありがとうございます。
誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。
ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。
●今回は、トマが新たに召喚をするお話です。
ルルピリャマーラは、なぜトマで無くアークシュリラなら判るって言ったのでしょうか?
魔法ならトマの方が上手く扱えると思うのですが……




