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53 アークシュリラとウィンデラスとの話し合い

今回も読みに来て頂いて、ありがとうございます。

なんとかこの様にしました。

まだ文章的に読みにくいですが……

ごめんなさい。

 トマが魔法を放つのをやめてナニもない空間に語りかけたころ、アークシュリラはいくら動いても変化がなかったので走るのを止めて地べたに座り込んでいた。

 いったい、ここはドコなのだろう。

 この空間のどこかにトマも居るのかなぁなどの思いが湧き出して来た。


 数えきれないほど確認している周辺をもう一度見てから、おもむろに目を上空へ向けた。

 すると遥か上空から何かがゆっくりと近づいているみたいで、それが少しずつ大きくなってくる。

 少しして、それが自分を目掛けてやって来るのが判った。


 それは少し大きくなったとは云え、まだ一つの点でしかない。

 先ずはその点がナニモノかが判らなければ、対処の仕方がない。

 そのモノをしばらく良く見ていると、次第に輪郭がはっきりしだした。


 あっ、あれは……

 一羽の巨大な双頭の鷹がやって来るのが、アークシュリラにも分かった。


 その双頭の鷹は、アークシュリラの目の前の地面に高雅に下り立った。


「元気そうで、良かったよ。ウィンデラス」

「あの時は世話になった。今日、あなたの前に来たのは、ウィンデール様からの言付けを伝えるためである」

「ウィンデール?」

「風の神で、ワタクシが仕えるお方だ」

「じゃ、君って風の神の眷属なの」

「そうじゃ」


 今回、アークシュリラに会ったのがウィンデールでなくウィンデラスだったのは次の様なコトがあったからであった。


 ウィンデールが自分の支配する空間にアークシュリラを連れて来た時に、ウィンデラスがウィンデールに言った。


「ウィンデール様。誠に不躾なお願いで恐縮致しますが、ワタクシはアークシュリラにあの時の礼をいまだに言えていません。ワタクシが勝手に地上に訪れることは騒ぎになると愚考をして、諦めておりました。しかし、今回アークシュリラがウィンデール様の管理をする空間に居るのですから、是非とも会わせて頂きたいのです」

「そうか。お主は礼を言いたいのだな」

「はい。ウィンデール様の邪魔立ては決して致しません。何卒、ワタクシのワガママをお聞きくださいませ」


 ウィンデラスは双頭を地面に近づけて、ウィンデールに懇願した。


 ウィンデラスとしては、アークシュリラが神域に居るのならウィンデールと一緒に出向いて、アークシュリラに過日のお礼を言ったら自分だけがその場から去る……それが無理ならウィンデールの傍で傍観しているつもりだった。


 しかしウィンデールは、ウィンデラスが会いたいと言って来たのなら断る必要はないと思った。

 それは、今回必ずやらなければならないコトは、サラステーヴァから預かった鍔をアークシュリラが持っている剣に付け差すことであって、それ以外は出来なくても全く問題はなかったからであった。


 なら自分が会うよりウィンデラスが会った方が、アークシュリラも警戒しないだろうとの考えに至った。


「判った。会うことを許すゆえ、お主にやって欲しいことを伝える――」

 ウィンデラスに例の鍔を渡してから、やるべき内容を話した。


「この鍔を今のモノと取り換えさせられれば良いのですね。他のコトは会った状況次第で良いと」

「そうだ。でも、魔法に関しては上手く教えて欲しい」

「判りました」


 ウィンデールがアークシュリラに会わなかったのは、決して人間ごときに自分が会う必要はないなどと云う神特有の傲慢さからではない。

 それは以前にもアシュミコルの遣いとして、トマとアークシュリラの二人に会って居ることからも安易に察するコトが出来る。


 そもそも風の眷族達は神域よりも地上が好きなので、ことあるごとに姿を変えて地上に降りている。

 でも、ウィンデラスはまだ化身が上手く出来なかったから、あまり地上に行く機会が少なかった。

 そんな訳であった。


 アークシュリラとウィンデラスは先ず思い出話や互いの素性とか、それぞれが今までやっていたことなどを多少語り合った。

 そして互いの話題が尽きそうに無かったが、ウィンデラスはタイミングを見計らって、ウィンデールからの言付けをアークシュリラに伝えだした。


「その剣を所持して随分と経つがあまり活用していないし、既に風の魔法を使える様になっていると思うが、あなたが使わないのはナゼかと聞きに来たのだ」

「剣は使っているよ。それと、そんな魔法は知らないよ。ボクは火をやっと熾せるようになったくらいだから」

「ならば、少し待っていろ」


 ウィンデラスはそう言うと、翼を広げてからアークシュリラを優しく覆った。

 その翼の内側では、アークシュリラを包み込む風が吹いている。

 その風を体に受ける度にアークシュリラの体内と云うか、頭脳に剣の本当の利用方法やいくつもの呪文が流れ込んでくる。

 そしてウィンデラスが翼を元に戻した。


「これってボクが使えるの?」

「なんなら、今使ってみても良いぞ」


つむじ風(ヴィルベルヴィント)!】

 小さな竜巻が、前方に発生した。


「どうじゃ、使えるだろう」

「本当に使えたよ!」


「あと、刀身にまとわして放つことも出来るぞ」


 アークシュリラは剣を抜いて呪文を唱える。

つむじ風(ヴィルベルヴィント)!】

 小さな竜巻がやはり前方に発生しただけで、剣にまとわりつくコトはなかった


「違う。剣とかにまとわすのは、違うヤツだ」

「え~と。こっちなんだね」

かまいたちズィーシェルクラッツェン!】

 アークシュリラが試しに剣を振ると、今度は剣先から風の刃が一つ勢いよく飛び出した。

「じゃ、もう一つのヤツを、試しに使ってみるよ」

「あぁ、構わぬ」

鎌鼬ヴァークゥムヴァクリンゲン!】

 今度はたくさんの風の刃が剣を振った先から、さっきよりかは緩やかに飛び出していく。


「スゴいよ。でも、これは慣れないと危ないね」

「確かに剣を振った先にいたら、怪我をする場合もあるな」

「トマが言っていたけど、コイツらも直進しかしないの」

「そんなコトはない。剣の振り終わりに剣先を回転させれば、その方向に曲がるぞ」

「剣筋は変えたくないなぁ、ボクが思った方向に行かせるのは無理?」

「理論的には可能だが――」

 ウィンデラスはその方法も教えこんだ。


「これなら混戦でも使えるよ。本当にありがとうね」

「これからも剣と魔法は訓練をすれば、もっと上手く扱える様になる。そのための知識も今回与えてある、頑張るんだぞ」

「分かったよ。風の神様にもありがとうと伝えておいてね」

「分かった。最後にこれを剣に付けてくれ」


 ウィンデラスはウィンデールから預かった鍔を、翼の間から嘴で取り出してアークシュリラに渡した。


「ナンか格好いい鍔だね。でも、龍って風の神様と関係があるの?」

「ワタクシは、この図柄の理由は聞いていないが、風の神々とは関係がないと思う」

「そう。でも風の神様が君に渡したんでしょ。なら関係があるかもね」

「そうだな」


 アークシュリラは本差しと脇差し二本の剣を手慣れた感じにばらして、それぞれをその鍔に取り替える。

 ウィンデラスはアークシュリラから今まで付いていた鍔を受け取ってから、ゆっくりと翼をはためかせて上空に舞い上がり消えていった。


 アシュミコルやウィンデラスが今回杖や剣に備わった能力を教えなくても、いつも使用しているのだからそう遠くない時期に、二人はそのことに気付いたかも知れない。

 もちろんアシュミコルの方も、トマが水の魔法の方が好きと云うことにも気が付いたハズである。


 アークシュリラとトマは剣と杖を貰ってから、数日おきに何もなく誰も居ない空間に居る夢をみていた。

 そんな経験を二人がしていたのは、アシュミコルとウィンデールがトマとアークシュリラをそれぞれ潜在的な魔力など調査していただけで、実際には夢とは違っていた。

 トマとアークシュリラは、それをただの夢と片付けて互いに話すこともしなかった。

 互いに話していれば、おかしいと直ぐに気が付いたかも知れない。


 それに、今までは話し掛けるモノは誰一人として居ない、ただ何もない空間に一人で居るだけであった。

 それが、今回だけは呼ばれた様な気がしたし、モノクロの空間と明らかに色んなコトが異なっていたのだった。


●最後まで読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

●今回は、アークシュリラとウィンデラスが話し合うお話です。

ウィンデールとウィンデラスって同じ様な名前なので、頭が……ってなりますよね。

読みやすくするために代名詞にしたり、ウィンデールが会うことにしたりと何度も書き直しました。

最終的に、この形にしました。

前回からの公開が掛かったのがそんな訳です。


アークシュリラもトマと同様に、物理、魔法の2つの攻撃方法を得ました。


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