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49 火と風の神々が、水の神と話し合う

今回も読みに来て頂きありがとうございます。


●この物語に出てくる魔法や職業に付いているルビや漢字表記は独自解釈の箇所があり、一般的なファンタジーのもの(小説やゲームなど)と異なる場合があります。

●誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

  ウィンデールとアシュミコルの二人は、サラステーヴァの居城で彼女と話し合っていた。

 しかし、アシュミコルはウィンデールが来てから一言も言葉を発していなかった。

 それがウィンデールには、もう総てのコトを自分に任せたと云う感じさえして来た。


「サラステーヴァ。少しアシュミコルと相談して良いか」

「良いが、ワラワが聞いたらマズイ話か? ならば席を外すが」

「別に聞いても構わん――」


 そう言ってもウィンデールとアシュミコルの二人は、サラステーヴァに聞かれても問題のないコトだけを口答でやりとりをして、マズイ内容は直接相手の意識に語り掛けている。

 サラステーヴァも神なので意識に語り掛けた内容までは理解出来ないにしても、それをウィンデールとアシュミコルがしていると言う事実は判る。

 それでもサラステーヴァは二人に話し掛けるコトもせずに、茶をすすりながら大人しく待っていてくれている。


 アシュミコルがウィンデールにトマとアークシュリラの行方を調べてくれと依頼した際に、もしサラステーヴァか水の神々が封印していたらどうするかを相談していた。

 なぜサラステーヴァや水の神だけなのかは、サンヴェイラが火の神々の領域で聞き込みをしていた時期と、トマとアークシュリラの二人の気配が消えた時期が重なるからであった。


 万が一にもそうだったのならサラステーヴァが言う通りにするしかないだろう、今時点で戦いになるのは得策ではないとの結論に二人は至ったのだった。


 ウィンデールは、自分が来る前にアシュミコルがサラステーヴァと短い時間であるが話し合っていたコトで、アシュミコルの気持ちが変わっていないかをもう一度確認したのだった。

 アシュミコルは二人が助かるなら、サラステーヴァの出す条件を今も飲むつもりでいた。

 最初からそうだったなと、ウィンデールは思った。


「相談は終わった。それでサラステーヴァは、二人をどうしたのだ」

「どうするもアシュミコルが、ナニもするなと言ったではないか」

「そう言ったが、あまり深くは考えていなかった。すまん」

 アシュミコルが、バツが悪そうに言った。


「こいつも悪いと思っている。サラステーヴァよ、それで二人を解放して欲しいのだが、やってくれるか」

「ウィンデールよ。ワラワたちが一度言った言葉を、なかったことにすることは出来ぬぞ」

「確かにな。アシュミコルよ、諦めるか」


 ウィンデールが、アシュミコルを見る。


「判った。確かに儂はあのモノたちをこのまま放置して置いて欲しいと言ったが、なら出入り口もそのままにして置いてくれないか」


 確かにトマやアークシュリラがサラステーヴァの秘した霊廟に入るには、神力を有していない二人にとっては物理的な出入り口が必要だ。

 それが有ったからこそ、二人はそこに進入した。

 今も出入り口が有るならばサラステーヴァに頼む必要はなくなり、トマとアークシュリラが自分たちで出てくれば良いだけのコトである。


 ウィンデールはなる程、アシュミコルにしては良く考えたモノだと思った。


「もう塞いであるから、それは出来ぬな」

「よし。今、儂の意見をお主が否定したなら、取り消す訳ではなくなるな」

「あぁ、そうだな」


 サラステーヴァは、アシュミコルとの言葉遊びを愉しんでいるようにウィンデールには映った。

 確かにサラステーヴァはそんな雰囲気を醸し出しているが、アシュミコルは愉しむ余裕など全くない状況である。


「ウィンデールよ、頼むから助けてくれ」


 ここまで話したのなら最後まで言えば良いのにと思ったが、アシュミコルには精一杯なのだろうと考え直して言った。


「では、新たな提案をしよう。サラステーヴァよ、二人を解放してくれ。そのための条件はなんだ」

「そうだな。さて、ナニにするかなぁ」

「お主の処には全ての神々が欲する知恵袋が居るんだから、考えていない訳でもないだろう。今回の話し合いも想定通りだったんだろう」

「多少は違ったがな、概ね予想通りだな」

「ならこれだけ時間があったのだから、準備が出来て居ないってコトもあるまいに」

「ウィンデールよ。お主相手では、全く面白くないな」


 そう言ってサラステーヴァは立ち上がり、机に置いてあった箱を持って来てアシュミコルに渡した。

 箱を渡されたアシュミコルがそれを受け取って、サラステーヴァが腰を掛けるのを待ってから言った。


「これか。中を見るぞ」

 箱の中には蛇の形をした4つの遊鐶と、他の金属を用いた鍛金によって龍を描いた鍔が大小用それぞれ一つ入っていた。


「あの二人が所持しているモノに、これを付けさせてもらう」

「そうか、判った。それをお主があの二人に付けさすのか? それとも儂らか?」

「お主らだな」

「それで、いつまでに付けさせれば良いか? 期限がないってことは無いだろう」

「もうこんな時間なので、明日の日の出とともにあの二人を解放する。だから二、三日中だな」

「遅くとも三日だな、判った」


 アシュミコルとウィンデールは話し合いが終わると、箱を持ってサラステーヴァの所から去って行った。


 翌日になって、サラステーヴァは偶像から神祠内にいる二人に語り掛けた。


「いつまで、ワラワの後ろに隠れているつもりか」

 トマとアークシュリラは、互いを見つめあった。


「トマ、バレているみたいだね」

「そうだね。ならば、ここに居ても仕方ないから、階段の下まで行こう」


 偶像の前に行って祭壇との間でも良かったが、トマとアークシュリラはそれをよしとは思わなかった。

 そして偶像の後ろから出て、急いで階段の下まで下りた。


「これで良いの?」

 トマが偶像に向かって話し掛けた。


「あぁ、良いぞ。外に出してやるから、少し眠ってもらう」

 そう言い終わるや否や、トマとアークシュリラは強烈な睡魔に襲われて眠りに就いた。

●最後まで読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

●今回もアシュミコルとウィンデールがサラステーヴァと話し合いをするお話がメインです。

最後にちょっとトマとアークシュリラが出て来ますが……

いくらチート能力と云っても、まだ覚醒していないトマの魔法じゃ、やっぱり神の力には対抗出来ないでしょう。

一応、壁を壊して覚醒させるコトも考えましたが……

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