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47 サラステーヴァとアシュミコルの話し合い

今回も読みに来ていただき、本当にありがとうございます。

●この物語に出てくる魔法や職業に付いているルビや漢字表記は独自解釈の箇所があり、一般的なファンタジーのもの(小説やゲームなど)と異なる場合があります。

●誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

 サラステーヴァの元に、蛇の形を模した錫杖に付いている輪っかである遊鐶。透かし彫りでなくて、龍の形に別の金属を足して立体的にした鍔が届けられた。


 サラステーヴァはそれらの品を見て、実用性はないが、これはそのままでも充分に美しいなと思った。

 飾るために作られた武器とか防具などには、きらびやかな装飾が施されているモノはこの世界にもあったが、普段使いのモノではそう云ったコトはない。

 それはトマやアークシュリラの暮らす地上以外に、神々の住まう所など全ての場所でそうであった。


 少し見惚れていたサラステーヴァは、自らその品々に神力を込めだした。

 これを付けさせるコトで火の神による加護は減少するが……

 自身の神力をいくら込めたとしても、完全に消し去ることは出来ない。

 消し去るには今トマとアークシュリラの二人が所持している品を、サラステーヴァが作ったモノに変えるしか無い。


 そのことはサラステーヴァも理解している。

 しかしサンヴェイラはサラステーヴァが尋ねた際に、あのモノが所持しているモノを我らの品々に取り替えましょうとは言ってこなかった。

 きっと、調査している時に何かを感じ取ったから、そう具申したのだろう。

 まぁ、今までもサンヴェイラが語ることは、未来視の能力があるのでは無いかと思えるほど正しかったから、ワラワが疑念を持つ必要もないなとサラステーヴァは自身を納得させた。


 そう云った一連の準備が整った頃になって、ようやくアシュミコルがサラステーヴァの居城に到着した。


 アシュミコルにしては、随分と時間がかかったな、となると一人ではないのか。

 サンヴェイラの言った通りウィンデールが一緒か、それとも他のモノ……サンヴェイラが候補を挙げなかったから、それはないな。

 それに、今はあの二人の人間は神殿に閉じ込めてあるのだから、殺生与奪の権限はワラワの手の内にある。

 ここまで万端なら、どんな難題をふっかけられても問題はない。

 などと、サラステーヴァは思考を巡らした。


 では、参るとするか。


 サラステーヴァはアシュミコルを待たせている部屋に入って、自分用の椅子に座ってから言った。


「アシュミコルか、ナニ用だ」

「惚けるな」

「惚けてはおらん」

「なら言おう。ワシの神域にお主の眷族が来て、ナニやら調べて行った件じゃ」

「まさかと思うが、それについて文句を言いに来たのか」

「いや、そうではない。他のモノもやっているし、ワシもやっているからな」


 神々は情報収集と云う名目で、他の神が治めている神域に出向いて調査をしている。

 それは相手の情報や弱みを得るスパイ活動だけで無く、他の神々と協力した方が上手く行える案件があるからだった。

 火の神であるアシュミコルは単独でも火事を起こせるし、火山を噴火させるコトも出来る。

 しかし、自分一人で行うより風の神と協力した方が火事は大きくなるし、火山の方も土の神の協力を得られれば海底火山などだったら新しい土地を創り出すことも、標高を高くするコトも可能だ。


「そうじゃな。それで文句ではなく、今回、お主自身が直接来たからには、ワラワに頼みごとか? それと、お主一人だけか」

「いや違う、もう少ししたらウィンデールも来る」

「そうか。なら来るのを待つか」


 サラステーヴァとしてはアシュミコルだけの方が御しやすかった。

 しかし、ウィンデールが来ると判った今、話を先に進める意味合いが非常に薄い。

 それは、ウィンデールが話し合いの途中から参加して、折角決めた内容をひっくり返される方が手間だと思えたからだった。


 アシュミコルがサラステーヴァの所へ来るのがこんなにも遅れた訳は、サラステーヴァの所へ向かっている途中で、ウィンデールからアークシュリラの気配が消えたと聞いたからであった。

 それで、サラステーヴァの所へ行くのを止め、トマやアークシュリラの気配を確かめるために一旦自分の居城に引き返した。

 そして地上は言うに及ばず、二人が行きそうな所、たとえば地下なども捜索したが、一切察知するコトが出来なかった。


 そもそもウィンデールがトマとアークシュリラに渡したアシュミコルの品々なら、たとえ鋳つぶされたとしても、神力が加わっているからそれが何処にあるのかが判る。

 それが判らないと云うことは、自分と同等以上の能力を所持しているモノによって、封印か閉じ込められているしか考えられない。


 そこでウィンデールにトマとアークシュリラの捜索を託して、何か知っているだろうと考えられるサラステーヴァの所に、先ずは自分だけ乗り込んで来たと云う訳であった。


「待つ必要はない。要件は、あのモノたちのコトは、このまま放置して置いて欲しい」

「ナゼじゃ」

「総てを統べるモノになるモノだからだと、言えば良いか」

「ほう、総てを統べるモノか。俄然と興味が湧いてきたな」


 アシュミコルは本題に入る前にしくじったと思ったが、それをおくびにも出さずに問うた。


「それで、放置はしてくれるのか」

「お主は、それを聞いたワラワが、判ったと言うとでも思うか?」

「そうだな。では、どうすれば良い」

「そうじゃな。ナニをしてもらおうかのう」

「お主のことだから、既に決まってるんだろ。時間の無駄だから、もったいつけるな」

「そう言うな。ウィンデールが来るのだろう。折角やって来て、話は終わったでは可哀想ではないか、それにお主とワラワの仲では無いか」


 サラステーヴァは特別じらしている訳でも、もったいつけている訳でも無い。

 ただいつものように、言葉遊びを楽しんでいるだけだった。

 直情型のアシュミコルにとっては、理路整然と思考をめぐらすサラステーヴァにとても苦手意識を持っているのも事実だった。


「あぁ、判ったよ。ウィンデールが来るまで雑談でもするか」

 ウィンデールのコトだからそんなに時間はかからないだろう。あまり気乗りしないが仕方ないかと自身を納得させ、アシュミコルは気の抜けた声でそう言った。


●最後まで読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

●今回は、トマとアークシュリラでなく、アシュミコルがサラステーヴァと話し合うお話です。

この話し合いは次回に続きます。

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