46 サンヴェイラの調査
前回、久しぶりに一日のページビューを更新しました。
皆さんが読みに来て頂いた結果です。
本当に、ありがとうございます。
日々確認はしていませんが、たまにデータを見ています。
毎日見て気にしいると、精神的なダメージを受けるので……
偶像の後ろにあるスペースに到着したトマとアークシュリラの二人は、そこに座ってアイテム袋から保存食を取り出して食べ始める。
「これから、どうする。アークシュリラ」
「魔方陣も気になるけど、外へどうやって出るかだね」
一番簡単な方法は、塞がった壁を破壊して外へ出るコトである。
あすこが別空間でなければ確かに壁の向こう側は外なのだから、壊しさえすれば外へは行ける。
しかし、湖の周囲にまだ壁を修復したモノが居て、自分たちが破壊をしたら攻撃を受ける恐れがある。
次はとても期待は薄いが、親切な神官やこの偶像に祈るモノが現れて、自分たちを外へ連れ出してくれるコトである。
また、ここをこれ以上捜索するコトを諦めて、トマが魔方陣を描くかだ。
そして最後が、床にあると考えている魔方陣を出現させるコトである。
これも魔方陣の行き先がどこだか判らないから、行き先が周囲を敵に囲まれた中心部だったら目も当てられない。
それに、その魔法陣を出現させても何処かに行くモノで無くて、他の目的――魔力を溜めて置くとかこの場所を清掃するとかで使用するモノだったら出現させる意味は無い。
他はトマの言う通り通路が別空間で、まだ壁に穴が開いているならば、元の通路を出現させるコトも一つの案である。
トマとアークシュリラは最初こそ話し合っていたが、どれも一長一短がありベストな方法とは言い難い。
一向に良い方法が見つからなく、今は全く会話をしていない。
ただ、互いに思考を巡らしているだけであった。
しかし、二人の口は干し肉を噛み契ったり、咀嚼したりして忙しく動いていた。
一方、偶像の前から姿を消したサンヴェイラは、火の神々が住まう神域に着いていた。
そして神が居る神殿には行かずに自分と同じ格であるモノたちの処で、何故トマとアークシュリラが火の加護を受けているかを調べることにした。
サンヴェイラは水の神であるサラステーヴァの眷族であるが、一般的に云う眷族ではない。
それは湖や泉など、生き物が飲み水とかで利用する水が溜まった処の神と云う一面もあったからである。
それがたとえ道に出来た水溜まりであっても、昆虫などが生きる上で必要な処なら、それの管理をしている。
本来、ナニかの神になれば自分の居城とか領域を保持するコトができて、更に眷族も配下にできる。
いや、配下を持たなければ、自分が管理する所が多過ぎて仕事にならない。
ついでに言うと、いくら先輩といえども同じ神なので、サラステーヴァなどに使われるコトも、遜って遠慮する必要もなくなる。
それは、任じられている期間が長いとか、年齢が上だとかは、神々のいる世界では一切関係ない。
もしそれが関係するのなら、他の神が自分の管理する所や事象を消しても、文句の一つも言えないコトになる。
自分が管理する処が減るだけなら良いが、例えばサンヴェイラの場合だと、その湖や泉を使っているあらゆる生き物たちに影響が出てしまう。
更にその湖や泉から流れ出る河川にも神は居る。
そのモノたちの存在意義すら消すことになってしまう。
そんなコトを神々は良しとはしない。
「我が水の加護を受けるべきモノたちが、火の神の加護を受けているがナニか知っているか」
言い方は相手によって変えてはいるが、この様な質問をサンヴェイラは火の神の神域でしている。
ほとんどのモノが、知らないと答えた。
知らないってコトは無いだろうにと、サンヴェイラは苦々しく思った。
サンヴェイラが聞きに行ったモノたちも、様々な所で同じ様に調査をしているから、サンヴェイラに対して警戒はしていないし、特段怪しむコトもしてない。
そこは持ちつ持たれつだが、自分の知っているコトを話すかは別の話である。
「知らないコトは無いが……」
そして何人に聞いたか忘れた頃になって、ようやく一人の人物から訳を聞きだせた。
おおよその事情を聞き出したサンヴェイラは、その裏付けを確認してからあの偶像が安置されている処へ戻らず、サラステーヴァの居城へ向かった。
質問をされたモノの何人かは、水の眷族が調べに来たコトで問題が大きくなるといけないと考えて、そのコトをアシュミコルに伝えに行ったり、手紙にしたためたりした。
それを聞いたり、手紙を読んだりしたアシュミコルは『少々マズいことになったな』と呟くとどうするのが良いか思案した。
いくつかのストーリーが組み立ち、そしてサラステーヴァの居城へ向かった。
サンヴェイラはサラステーヴァの執務室に通されて、自身が聞き出した内容を話した。
「あの者たちが火の神の加護を受けている理由は理解した。それでお主ならどうする」
サンヴェイラが一つの神となってもサラステーヴァの所にいるのは、サラステーヴァがサンヴェイラの能力をこよいなく愛し、必要としていたからであった。
本来、サンヴェイラの能力からすれば、知恵とか学問の神になる方がふさわしい。
なんたってモノゴトのさわりだけを聞けば、その理の全てを把握して完全に理解出来たのだから。
「私がサラステーヴァ様の立場なら、これ以上ナニもせずに放って置きますね。騒ぎが大きくなると面倒なので」
「面倒か、確かにそうだな」
サラステーヴァは、アシュミコルならサンヴェイラが火の神々の領域に行ったコトを、直ぐに把握するだろう。
そして、アシュミコルのコトだから、絶対に自分の所へやって来ると考えた。
しかし判らないのが、その時に一人で来るか、他の神が付いてくるかだ。
「それで、アシュミコルはどう動くと思う」
「私の考えですが、アシュミコル様はウィンデール様と行動を一緒にすると思います」
「ウィンデールがここに来ると言うのか? ――」
そう云うと、サラステーヴァは少し考えてから続けた。
「――そうだな、あの二人は仲が良かったな」
「はい。しかし正式ではなくお忍びかと、もしかすると代理のモノを寄越すかも知れません」
「そうか。その確率は」
「9対1ですね。お忍びと言っても、サラステーヴァ様の所へ来るのですから」
「ならば、代理はないな」
「それと、魔法使いが持っている錫杖の輪を、私共の精でもある龍か蛇の形を模したモノに取り替えさせますね。そうすれば火の神による加護は薄れます」
「アシュミコルが、それを赦すか?」
「ここに来るのでしたら、赦すと愚考します。そして剣士が持っている剣の一部……そうですね鍔とか縁または笄を同様の彫り物に変えますね」
「そうだな、それらに神力を込めれば良いな。準備をしよう」
サンヴェイラはお辞儀をして、サラステーヴァの執務室から出て行った。
●最後まで読んで頂きありがとうございます。
誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。
ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。
●今回は、トマとアークシュリラでなく、サンヴェイラやサラステーヴァなど神々がメインのお話です。
話を少しでも理解して頂くために、ときたま神々が実施したコトなどをはさみます。
あとここ何話は、地の文が多く説明っぽい文書になってしまいました。
読みにくくて、ごめんなさい。
他の小説を読んで勉強します。




