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44 魔法陣が出現しない

今回も読みに来ていただき、本当にありがとうございます。

●この物語に出てくる魔法や職業に付いているルビや漢字表記は独自解釈の箇所があり、一般的なファンタジーのもの(小説やゲームなど)と異なる場合があります。

●誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

 トマとアークシュリラの二人は、偶像と祭壇の間に座って話し合っている。


「魔法陣を出せないから、これ以上ボクたちじゃどうにもできないよね」

「そうだけど……」


 これだけ探して出現させるモノが無いのはナゼと、トマは思った。

 いつもなら真相が判らなくても、自分たちが納得出来れば良いといった感じの行動を取っていた二人である。

 しかし、今回はこれほど時間をかけたのだから、この違和感の正体を知りたいと云う思いがナゼだか強くなっている。

 残念ながら、それを今のトマは認識出来てはいない。

 と言うモノの、強い思いだけで問題が解決するのなら、魔法陣のナゾは必ず判明する――イヤ、全ての問題は無くなるけど……


 アークシュリラは、トマがそこまでこだわるなら、その正体を突き止める手助けが出来たらと思って反対意見を言わなかった。


 ここに進入してからどれ位の時が経過したのか、正確には判らないけどもかなりの時間が経過しているハズである。

 その証拠に、二人は少しお腹が減ってきた。

 一般的に体を使ってナニかに集中していれば、空腹感が訪れるコトは少ない。

 しかし、頭を使っている場合は、甘い物が非常に欲しくなるコトが多いのも事実である。


 今の二人は座り込んで、頭をフル回転させて魔方陣を出現させる方法を考えている。

 こう言った場合には、非常食を齧ってそれを満たすコトが可能である。

 可能であるではなく、普通なら検討している時にお腹が空いたのならそうする。


「トマ。お腹が空いたから、一旦、外に出ようか」

「気分転換を兼ねてと、誰かが来ると逃げられないから外に出ようか」


 二人が捜索した限りでは、ここは一本道の通路があって、それが今居る空間に続いているだけだ。

 その上、隠し扉などは発見出来なかった。

 そう、一本道から誰かが入って来ると、どこにも逃げる所がない完全な袋の鼠状態である。


「そうだね」

「でも、折角ローソクを見付けたから、燭台にセットして祈ろうよ」

「食事をしたら、また来ます?」

「そう。祈りもしないでここから出ていったら、ボクたちが帰ったのかときっと思うよ」


 アークシュリラはそう言ってから、台の中から使った形跡のあるローソクを取り出した。

 そしてアイテム袋から火打ち石を取って、ローソクに火を灯してから燭台にセットした。


 さすがに祭壇と偶像の間にある空間で祈るコトはせずに、二人は階下に降りて跪いた。

 そして偶像に向かってアークシュリラが語った。


「ボクたちは、一度食事をしに外に行きます。それが終わったら再びここを調べに来ます」


 もう一度トマとアークシュリラの二人は、階段を上がって、祭壇の処まで行きトマがローソクの火を消した。


「じゃ、灯り(ライト)の魔法は消すよ。アークシュリラ、ランタンの準備はOK?」

「大丈夫だよ」

 ローソクは仕舞わずにそのままにしたが、灯り(ライト)の魔法は効果を消失させた。

 そのために、この空間は明るさが消え去って暗闇が支配する。

 そしてランタンの明かりを頼りに二人は、この空間を出て一本道の通路を進んでいく。


 二人がこの空間から出ていくと、トマが気になっていたマークから一人の人物が姿を現した。

 しかし、トマとアークシュリラの二人には、それを感知することが出来なかった。

 いつものアークシュリラならナニモノかが居たり、出現したりすればその気配を感じ取れるが、そのモノは姿形こそ人型であるが本質は精神生命体――霊体である。


  その者は階段を上らずに、出現した場所から偶像に向かって語りかけた。

「サラステーヴァ様、お呼びでしょうか。しかし、この状態はどうされましたか」

 暗闇の中でも、現れて直ぐにローソクが燭台に載っているコトに気が付いた観察眼は、流石というしかない。


「サンヴェイラか。呼びつけて済まぬが、今、火の息が掛かった者がやって来たが何か知っているか」

 サラステーヴァと呼ばれた偶像が、返事をした。


「そのモノがローソクを使ったのですね。判りました、少しお待ちを」

 サンヴェイラはそう言うと、目を閉じて些細な魔力の残滓などから何かを感じようとする。

 そして目を開いてから、話を続けた。

「あの者ですか。ナゼここに来たかは分かりませんが、悪意のあるモノではないと感じました。それに――」


 サラステーヴァはサンヴェイラの話を途中で遮って言った。


 サンヴェイラは侵入したモノがまだこの場所に居るコトが判ったが、サラステーヴァが話を遮ってまで話し出したので敢えてその事には触れなかった。

 それは、自分でも感じ取れるくらいだから、サラステーヴァなら絶対に侵入者がまだここに居るコトは分かっているハズだと考えたからであった。


「そうか。この部屋を細かく調べてから、確かにワラワに祈って行ったな」

「サラステーヴァ様、それとこの魔力は我々に近いモノと思いますが……」

「あぁ、そうだ。しかし、ナゼかあのモノは火の加護を受けている。手間だが神域に行って少し調べてくれ」

「わたくしが調べるより、サラステーヴァ様が直接火の神にお聞きになった方が、早いのではないでしょうか」

「そうだが。これも神官としての試練だと思って、頼まれてくれ」

「分かりました。しかし、あのモノ達の素性とかは調べなくて良いのですか? なんならわたくしが捕まえてきますが」


 サンヴェイラに今捕まえてこいと命じたら、きっとあのモノたちは半死の状態に成るだろう。

 加減をよしとしないサンヴェイラが相手では、下手をすると死んでしまうかも知れないともサラステーヴァは考えた。


 ナゼ火の加護を受けているかも判らずにそう言った状態にするコトは、後々面倒事を生じさせる。

 どうせ、この星に棲む生き物ならワラワの許可無くここから立ち去るコトは不可能なので、対処するのはサンヴェイラが理由を調べてきてからでも遅くは無い。

 それに万が一ここから出られたとしても、そのモノたちが水のある所に居るのならば確実に見付けられる。


「それは必要ない」

「では、行ってきます」

 サンヴェイラはそう言うと、この空間から姿を消して神域に出発した。

●最後まで読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

●今回は、トマとアークシュリラが魔法陣を出現させモノを探すお話です。

結局、今回は見つけられませんでした。

ここの主神であるサラステーヴァや神官のサンヴェイラに、トマとアークシュリラの二人は見つかってしまいましたね。

サンヴェイラは神域に行きましたが、サラステーヴァはどう対処するのでしょうか?


また、こんだけハードルを上げてしまったので、どうやってここから外に出られるのかなぁ。

まさかこのまま二人が神官にされて、ここで生涯を終えるなんてことは……

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