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43 偶像が設置されていた所の調査

今回も読みに来ていただき、本当にありがとうございます。

●この物語に出てくる魔法や職業に付いているルビや漢字表記は独自解釈の箇所があり、一般的なファンタジーのもの(小説やゲームなど)と異なる場合があります。

●誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

 トマは階段を下りて、床のマークがある周りを中心に何かあるかを調べることにした。


 やっぱりナニか感じるけど……でも、魔力とは違うかなぁ。

 床に描かれているマークからは、確かに何かを感じた。

 しかしそれは、トマら魔法使いが使用している一般的な魔力ではなかった。

 じゃ、ナニ?

 トマはその違和感が何であるかを知るには、発生源を突き止めるしか無いと思った。


 床には水と思われるマークが描かれているが、決してトマが知っている魔法陣ではない。

 それはこのマークは絵柄だけで、文字が一切書かれていないコトである。

 魔法陣には、必ず動作や対象など発動させるための条件を記述しなければならないから、絵だけで魔法陣を作れるとは教わった記憶がない。


 この違和感が魔法的なナニかが発するモノなら、必ず作動させるモノが有るハズと考え今度は床や壁などの捜索を始めた。


 アークシュリラは、壇上で祭壇の周囲を調べている。

 先ずは祭壇の設置されている床とかを調べてから、祭壇と移っていった。

 特に変な所はないので、祭壇から離れて偶像が安置されている所の傍に置いてあった台を調べ始める。

 その台に設置されていた観音開きの戸を開けると、使いかけのローソクが納められている植物で編んだ篭を見つけた。


「トマ! このローソクって使った形跡があるよ」

 階段の上で祭壇などを調べていたアークシュリラにそう言われて、トマは階段を駆け上ってアークシュリラの居る所へやって来た。


「本当に溶けているね」

 その台の中にあった篭の下には、真新しいローソクもきちんと整理されて納められていた。


 祭壇の上に載っている神器には、消耗するモノはナニもなかった。

 もちろん燭台にもローソクは設置されていない。

 ローソクは確かに溶けていて使われた形跡はあるが、これだけではそれがイツ使われたか判らない。

 お供え物で、食べ物や生花があればおおよその見当がつく。

 しかし、そう言う腐敗するモノは残念ながらこの台の上はもちろんのコト、部屋の中にも無かった。

 もしそれらがあったとしても、腐敗して直ぐなら近い過去に使われたコトが判るだけで、完全に干からびていたのならイツごろに使ったかなどは判らないだろう。


「トマあのマークの周辺を調べてたけど、魔法的なモノ?」

「魔法的かは断定出来ないけど、あすこだけもの凄く違和感を抱くんだよ。多分だけどあの床にあるマークに魔法陣が仕込まれていると思うけどね」

「魔法陣ね。読解は無理?」

「何をしても出現しないから無理だね。何らかの方法で出現させると思うけど、この部屋にそれっぽいモノはないしね」

「そうかぁ。今度はボクもそれを探すよ」


 それからしばらくの間、二人は思い思いの場所を調べた。


「アークシュリラ。何かあった?」

 トマがアークシュリラの傍に来て尋ねた。


「じゃ、座って話そうか」

 それでトマとアークシュリラの二人は、祭壇にもたれかかって偶像の足下の床に座って話し合うコトにした。


「私の方は、ナンにも見付けられなかったよ」

「こっちも、ボタンとか変な穴とかはなかったよ。後は偶像だけだけど……」

「これによじ登るの?」

「さすがに、そんなことはやらないよ」


 いくら無信教のアークシュリラでも、誰かが祈っていた偶像に足を掛けてよじ登るコトはしなかった。

 それは、登っている最中にこの偶像に祈る人がやって来たら、言い訳が出来ないと考えたからであった。


「アークシュリラ。それなら、もう終わりにする?」

「この偶像が水の神であって、あの水が噴き出す処と関係していると思うけど……」

 アークシュリラはナニかまだ納得が出来ないでいるように、トマには感じた。


「確かに出入り口は塞がってたから、誰でも祈れる所ではないよね」

「こんなにキレイな安置する処とこの大きさの偶像をつくったのだから、秘仏にする意味は無いよね。水の神って、人々に知られたらいけないってコトもないよね」

「無いと思うけど」


 神さまは、信仰によって力を得る場合が多い。

 中には秘神だとそんなことをせずとも力を得られるが、その数は非常に少ない。

 まして万民に必要な神さまなら、あえて秘神にする意味は少ない。

 だって、放って置いても勝手に頼ってくれるのだからね。


「ナゼ出入り口を塞いだんだろうね。台とか神器もそんなに高そうな感じはしないし」

 神器の中には、貴重な金属や鉱物で造られているモノもある。

 そう言ったモノが並んでいて、神官を常時配置するコトが出来ない場合は、礼拝所を解放するコトは躊躇えられる。

 しかし、ここに設置されている神器は、それほど値の張るモノではない。


「確かにね。どれもあのマークが彫られている訳でもないから、どこでも売ってそうだね」


 いくら簡単に手に入れられる素材でも、特別な装飾がされていたり、形状が普通のモノと違っていたりしたら、再び設置をするまでに時間はかかるから盗られない対策を講ずる必要が出て来る。

 床に描かれたマークは神器に一切ないので、もしも盗られていたとしても直ぐに買い換えが出来る品である。


「そうなんだよ。出入り口を塞いで、ナニから守っているのかが判らないんだよ」

 この礼拝するところが木造とか火に弱い建材で造られているのなら、誰彼構わず祈れるようにするとローソクの火の不始末によってナニかに燃え移るコトも考えられる。

 でも、ここは崖に造った穴――どちらかと言えば、ほら穴に造ったモノであるから、ローソクくらいの火なら火事で焼失することはない。

 台などこの空間にあるモノは石で出来ているので、簡単に燃えるコトはない。

 なんなら床のマークがある処で、たき火をしても平気だろう。


「ナンでだろね」

 トマもアークシュリラの疑問に答えられる知識は、残念ながら持ち合わせていないので二人して偶像を見上げるしか無かった。


 偶像を見つめていたアークシュリラが、おもむろに口を開いた。

「トマが違和感を持ったあのマークの処って、神官とか祈る人たちが現れるモノかもね」

「まぁ、出入り口は塞がってたから、そうだと思うけど……」


 出入り口が塞がっているから、ここに出入りするには魔方陣を使用するしかない。

 そうで無ければ、出入り口を塞いでから誰も来ない空間になってしまう。

 それなら、ローソクをわざわざ置いておく必要はない。


 たとえ何処かに誰でもここへ来ることが出来る魔法陣があったとしても、そのモノたちだって来たからには帰る必要がある。

 しかし、この空間のどこを捜しても魔方陣を出現させるモノはなかった。

●最後まで読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

●今回は、トマとアークシュリラが水瓶を抱える女性の偶像が設置されていた所を調査するお話です。

魔法陣――二人は違和感の正体を見つけられるのでしょうか。

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