4 初めての宿泊
今回も読みに来ていただき、本当にありがとうございます。
●この物語に出てくる魔法や職業に付いているルビや漢字表記は独自解釈の箇所があり、一般的なファンタジーのもの(小説やゲームなど)と異なる場合があります。
●誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。
ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。
二人は、見えた街へとやって来た。
「宿屋のコトだけど、街中に居る人たちに聞くよりかは、ギルドで聞いた方が楽だと思うよ」
「そうだね、アークシュリラ。この街の様々な情報も集めておかないといけないよね」
「じゃ、ギルドへ行こうか」
ギルドはファリチスと同様に街の中心部にあって、その外観もなんだか似ている。
そして、ギルドの扉をアークシュリラが開けて中に入った。
その建物の中にあるモノの配置も似通っていたし、そこに居る人々も同じ様な空気感をまとっていた。
「トマ。ギルドって、どこでも同じなのかなぁ」
「もっと大きな街は違うかも知れないけど、ファリチスと同じような規模の街だと、似たような感じじゃないかなぁ」
「今回は依頼を受けないけど、先ずは掲示板だね」
「そうだね。街の感じは似てても、近くに危険な生き物が居ないとも限らないしね」
昼過ぎだから人がまばらなのか、一日中こんな感じなのかは、今の二人には判らない。
掲示板の傍には人は誰も居なかったので、二人はゆっくりと隅々まで掲示されている内容を見ることが出来た。
「ここでも、ウルフが出るらしいね」
「アークシュリラ、受けてお金を稼ぐ?」
「今回はパスで」
「判った。じゃ、受付に行ってお勧めの宿屋を聞こうか」
二人は受付に向かった。
「この街にある手頃な宿屋を教えて欲しいけど、お願い出来る」
受付の人は、丁寧に何軒かの宿屋を教えてくれた。
「ありがとう」
受付から少し離れて、トマがアークシュリラに聞いた。
「どれが良い」
「近い方」
「判った。行こうか」
二人はメインストリートの周りに建つお店を眺めながら、宿屋へ向かった。
そうこうするうちに宿屋に着いて、一泊分の部屋を借りた。
「ここってロベームって言うんだね。道すがら見たお店も、ファリチスとたいして変わりはなかったね」
「そうだね。宿屋の料金もそこそこだったし、食事も同じ感じかなぁ」
「あの速度で街道を進むと、一日ちょっとで次の街があるのかなぁ。それなら野宿を心配し無いで旅を続けられるね」
「だからみんな安心して、街道を進めるんだね」
街道を進んで旅や移動をするのに、何日も野宿をするハメになると、一般的な人々にとってはとても辛い。
だから適当な距離毎に、街や村それらが無くても宿屋だけはある場合が多い。
宿屋を建てれば旅人が泊まってくれるのだから、国で建設禁止と成っているとか、凶悪な魔物が出現するとかがないなら、商売をしない手はない。
二人はそれから街を散策してから、多少心許ない保存食などを買い求めた。
街を散策したが、やはりここには目新しいモノが無かった。
そして晩飯もいつも食べ慣れている、肉の塊を焼いたモノであった。
それを食べ終えて、今は自分たちにあてがわれた部屋でくつろいでいる。
「アークシュリラ。ウルフ討伐って、倒したまま持ってくるの」
「そう言う人も居るけど、大体が解体をして皮や肉とか魔石を持っていく方が楽だよ。それは希少魔物で無い限り、内臓は売れないからだよ。それに丸ごと持ってくると、ギルドに解体手数料を取られるよ」
「報酬が減るの」
「細かく云うと報酬は同じだけど、ギルドに売る際に貰う金額が変わるんだよ。まぁ、普通は一度の処理で済ますから総額が減るね」
討伐しても、例外を除いて肉や皮などを売る必要は本来はない。討伐の報酬はあくまでも、目的の生き物を倒したかだからだ。
だがしかし、それらの部位を自分で売り捌いたり、肉なら食べ切ることが出来たりしたらの話である。
一般的な冒険者では、小型以外の生き物や複数の生き物を討伐しても、肉や皮などをダメにしてしまう。だから、大体の冒険者は、ギルドに成否の報告と一緒に買い取って貰っているだけである。
その処理が一度に行われるので、討伐の報酬が減るように錯覚をする。
「アークシュリラは解体は出来るの」
「出来るよ。トマは出来ないの」
「私は昔に習ったけど、やったことはないからね。だから、今は出来るか出来ないかは判んないね」
「そう。だったら何事も経験だよ。これから先に何回もチャンスがあると思うから、その時にチャレンジしてみてよ」
「うん。判った」
翌朝になり宿屋で朝食を食べて、支払いを済ましてから宿屋を出発した。
そして、二人は昨日と同じ様に街道を進んでいく。
街道沿いには、全く木々は植えられてもいないし、草原にも木は自生していない。
そのために、日差しが二人を直撃している。
「この感じだと、木の実を採取するのは難しそうだね」
アークシュリラがトマに話し掛けた。
「私たちが居る所は、左右を見渡す限り草原の中で、木は一本もないよね」
「周りは草原だけど、人々がこんなに歩いているから、野ウサギとかも近くに居ないかもね」
「居るとしたら人々からエサをもらえる生き物か、襲ってくるウルフとかのヤツだね」
「ウルフが襲って来ても平気でしょ」
「大丈夫だけど……」
「何匹くらいなら大丈夫?」
「一度に3匹までかなぁ」
トマはアークシュリラの答えを聞いて、彼女の実力ならもっと多いのではと感じて更に聞いた。
「4匹以上だと負けちゃうの?」
「負けはしないけど……全ての動きを見ていられないから、不意を突かれて怪我くらいはするかもね」
「そう言うことね。判った」
アークシュリラはトマの聞きたかったコトが、今更ながらに判った様で少し照れていた。
そしてゴメンと小さく呟いてから言った。
「じゃ、狩りとかをするために、街道を進むのじゃなくて、草原の中を行こうか」
「そうだね。このまま街道を進んでいたら小動物は居そうにないから良いね」
「トマは探知魔法は使えるの?」
「探知魔法は、まだ使えないよ。使えれば便利なんだけどね」
「でも、遠距離攻撃が出来る魔法は使えるよね」
「あまり威力はないけど、火球や氷矢なんかは使えるハズだよ」
「だったら平気だね」
二人は、街道から草原に足を踏み入れる。
街道から外れたが、急に魔物がわんさか出現する訳はない。
草原を吹き抜ける薫風を感じながら、二人はナニも起こらずに進むことが出来ている。
結構な距離を進んだようで、街道を行き交う人々などはもう見えなくなっていた。
●最後まで読んで頂きありがとうございます。
誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。
ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。
●今回は、トマとアークシュリラが隣街にたどり着いた辺りのお話です。
まだ、二人はかけだし冒険者なので、危険なコトはしてません。そのために話の展開と云うのか、広がりは全くありません。
次日の投稿は、3日後の1月13日0時20分にしたいです。
無理でしたら、1日か2日遅れます。




