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37 騒ぎが起こっていた

今回も読みに来ていただき、本当にありがとうございます。

●この物語に出てくる魔法や職業に付いているルビや漢字表記は独自解釈の箇所があり、一般的なファンタジーのもの(小説やゲームなど)と異なる場合があります。

●誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

 宿屋の一階にある食堂でご飯を食べ終わって、部屋に戻って来たトマとアークシュリラは軽装になってくつろいでいる。


「明日一日あるけど、どこへ行こうか」

「今日見た感じでは、それ程珍しいモノはなかったよね」

「多少の乾物はあったけど鮮魚は売ってなかったよね。でも、カニが獲れる所があるようだけど、これもコーコディェンとかカングレイホなど危険な魔物が居るから漁が出来ないのかなぁ」

「そうかもね」


 二人は寝入ってしまい、陽の光で目を覚ました。

 黒くて硬いパンと野菜が沢山入ったスープで軽めの朝食を取ってから、街へ出掛けた。


「今日はどこへ行こうか」

「取り敢えず広場へ行ってから決めようよ」


 まぁ、冒険者や旅人が行くようなお店は、消耗品の購入をするとか破損や調子の悪くなった武具などを修理するかと限られている。

 その上トマとアークシュリラの二人は、アイテム袋に消耗品の雑貨がこれでもかと言うほどあるし、アークシュリラの持つ剣は調子が悪くなるコトがないので更に寄りたいお店は減ってくる。


 二人は広場へ着いて、芝生に腰を下ろして景色を眺めている。

 午前中のわりと早めの時間と云うコトもあり、広場に居る人もそれ程多くはない。

 たまに二人の居る近くに小鳥たちがやって来て、くちばしで芝生を突っついてナニやら食べている。


「今日一日、ここでゆっくり過ごすのも悪くはないね」

「ところでアークシュリラ。この街の冒険者って、いつもあんな強い魔物と戦っているのかなぁ」

「ウルフとかの依頼もあったよ」

「そうだったっけ」

「そうだよ。じゃ、もう一度ギルドへ行ってみようかぁ」

「うん。昨日は人が沢山居たから、全くゆっくりできなかったからね」


 二人はギルドへ向かった。

 その途中でこの街に来てから何度も遭っている甲冑を着た人々が、駆け足で走って来ては通り過ぎていった。


「朝だから、駆け足の訓練なのかなぁ」

「そうかも。でも、朝から大変だね」


 確かに通りにも人影はあまりないから、訓練で走るにはちょうど良いのかも知れない。

 その後も二人の脇を、何人モノ兵士が駆け足で通り過ぎていった。


 ギルドの建物が見える処にやって来ると、そこには建物に入れない人々で溢れかえっていた。


「ナンかあったみたいだね」

「そうだね。ここにこんだけ人が居るってコトは、中は……」


 アークシュリラが周囲を見回すと、昨日武器屋で会ったイデェネルを見付けた。

 イデェネルは二人に気付いたようで、軽く会釈を返す。


「昨日会った人が居るよ」

「本当だね」

 トマとアークシュリラの二人は、ここに大勢の人が集まっている理由を聞こうと考えて

イデェネルに近付いた。


「昨日は本当にすまない。ケガはしなかったか?」

「大丈夫だよ」

 アークシュリラは、イデェネルに掌を閉じたり開いたりして見せた。


「なら良かった。予定通り、今日中には旅立てるな」

「今日、旅立つの?」

「あぁ、今朝出発と考えていたが、お前たちが来たら宿屋に迷惑がかかるから、少し困っていたのだ」

「それは、ゴメンね」

 ここでトマとアークシュリラの二人は、自分が名乗って居なかったコトに気付いて自己紹介をした。


「ところで、この人だかりはナニ?」

「河にカングレイホが現れて、漁師が襲われたんだ。それで早朝から兵士が何名も現場に向かっている。この人たちは状況を聞きに来た者たちだな」

「カングレイホが出て人が襲われたって、その人はケガをしたの?」

「イヤ……」


 イデェネルは言葉を濁したので、トマとアークシュリラの二人もその人がどうなったかを理解した。

 三人で話していると、ギルドの中から職員らしき人が出て来た。


「河川に、カングレイホが二匹現れて――」

 その言葉を聞くや否や、人々は銘々勝手に『いつ退治が終わるんだ』とか『船はどうなる』などと騒ぎ始めてしまった。

 もうこうなると収拾に時間が掛かる。

 たぶんギルドの中も同様に、てんやわんやの状態なのだろう。


「トマ、どうする。これじゃ先に進めそうに無いね」

「もうしばらく、ここに滞在しようか」

「そうだね。イデェネルは?」

「私か。今日の昼過ぎには、この街を出る予定だ」

「船が動いて無いって言っている人もいるよ。大丈夫なの?」

「なんとかなるさ」


 そして三人は、たわいもない話をして時間をつぶしたが、ギルドの建物の中から出て来る人やギルドへやって来る人たちも加わるから更に騒ぎが激しくなっていった。

 その騒ぎは、一向に収まる気配を見せない。

 トマとアークシュリラの二人はギルドに入るコトを諦めて、広場に戻ることにした。

 ここでまだ情報を集めるとイデェネルが言うので、別れるコトになった。


 広場に戻って来た二人は、また芝生に腰を下ろして話し合っている。


「イデェネルっていい人だね」

「そうだね。この街に来たのも、村の子供が成人した祝いに剣の買い付けに来たんだって言ってたよね」

「それで、急いで帰るみたいだけど、村って遠いのかなぁ」

「式がいつあるかも知らないから、ナンとも言えないよ」

「プレゼントが届くか判らない状態だと、式も出来ないかぁ」


 通りの方は街の住人が活動しだしたり、旅人が行動しだしたりして人々の往来が多くなって来ている。

 しかし、昨日とあからさまに違うのは、相変わらず兵士が一方向に進んでいるコトである。


「まだ、決着をしてないみたいだね。アークシュリラ」

「街を出発するって言ってたけど、イデェネルは平気かなぁ」

「彼女だって剣を下げてたから、きっと自分を守るコトぐらいは出来るでしょ」

「カングレイホの相手が出来るかは判んないけど……」

「あれだけ兵士が行っているから、もうじき終わるんじゃないの」


 確かに何時から兵士たちが向かいだしたのかはトマとアークシュリラの二人には判らないが、二人が気付いただけでも30人以上は向かっている。

 大人数が相手となると、いくらAランク相当の魔物でもダメージが蓄積してくるから退治される。

 それに兵士たちだって訓練を積んだプロであって、決して素人や低ランクと云うことはない。

●最後まで読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

●今回は、トマとアークシュリラの二人が、騒ぎに気付くお話です。

トマとアークシュリラの二人がカングレイホを退治するのか、兵士やイデェネルとか他の冒険者が退治するのか、はたまた退治出来ないのか、どうしましょう。

今、大まかな流れで複数のパターンで書いてますので、多少頭がこんがらがって来ています。

どうつなげるかとかを考えると、また、話が長くなりそうです。


次回のお話は、4月25日0時0分に公開する予定です。

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