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28 フーフェンからの出立

今回も読みに来ていただき、本当にありがとうございます。

●この物語に出てくる魔法や職業に付いているルビや漢字表記は独自解釈の箇所があり、一般的なファンタジーのもの(小説やゲームなど)と異なる場合があります。

●誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

 トマとアークシュリラの二人はギルドからの依頼でゴブリンたちを駆除して、ついでにワーグスについても正解では無いかも知れないが納得が出来る答えを得た。

 しかし二人は宿屋での宿泊を途中で切り上げるコトをせずに、残りの日数もこの街に居るコトに決めた。

 ゴブリン退治で得たお金で今まで買えなかったランタンなど少し金額の張るモノを購入したり、目的もなく街を散策したりして過ごした。


 ついでに言うと、アークシュリラは本屋で初歩的な魔法の教本を購入し、日々の素振りと合わせて魔法の勉強も日課に入れた。

 アークシュリラ自身が魔法を使える日が来るのか、使えなくてあきらめるのかは今のところ誰も答えを知らない。


 領主の処刑はまだ実施されていないが、冒険者も滞在可能と云うお触れが出た。

 そのためにギルドも数日前とは打って変わって、建物の中に数名程度だが若い冒険者もいた。

 このようなことが、これから増えるとトマとアークシュリラの二人には思えた。

 職員も新規の受付だろうか、とても忙しそうにしていた。


 最終日になってトマとアークシュリラの二人は漁師や顔なじみの店員たちに、この街を去るコトを告げた。

 そしたら、また来いと幾人もの人に言われ、漁師の人たちからは沢山の魚介類を、店員からは保存食などを貰った。

 翌朝を迎えて宿屋で支払いを済まして、トマとアークシュリラはバルゼンに合わずにフーフェンの街を出た。


 今までの進行方向は海に突き当たってしまったから、ファリチスを出て最初に崖下の草原に突き当たった処まで戻って、そこから更に左側を目指すコトにした。


 そのため、二人は来た道を戻っていった。

 途中まで街道を進んでから、崖の方面に更に進んでいく。

 今度は道らしい道が無いので、二人は気の向くままに草原を通っている。


「アークシュリラ。やっぱり先入観って怖いね。私はてっきりワーグスが私たちに不利になる魔法を使ってると思ってたよ」

「トマが悩むコトはないよ。人って見た目で判断をするから、致し方ないよ。でも、ワーグスの様に健康そうだと、逆に可哀想なのも事実だね。腕や足が無ければ、廻りの人も手助けをしてくれるのにね」


「本当に見た目で判断をするから……」

「ボクも、あの人が剣をぶら下げていたから最初は戦えると思ってたよ。でも良く見て感じたんだ。この人の腕はとても細いから、剣は振れないとね」


「でもそれってワーグスに聞いて無いから、アークシュリラの勘違いで凄腕の人かもよ」

「それは無いよ。ワーグスが逃げ様とした時にボクが捕まえたじゃん、その時に体に触れたけど、剣を扱っている人の筋肉でなかったからね。あれでもし戦えるなら、ボクよりスゴいよ」

「アークシュリラより強いかぁ」

「誰だって相手の強さを見定めてから勝負に挑むから、弱いと思わせて相手に隙や驕りが生じたら七割は勝てるね」

「それはなんとなく判るかなぁ」


 トマとしては、ワーグスに悪いコトをしたと反省した。

 でも、今後も見た目や自分勝手な判断でミスをするかも知れないが、こればかりは経験しないコトには身に付かないと自分自身を納得させた。

 そう納得させたのは、自分は旅をしている最中であって教室で学んで居る訳ではない。

 なので、この件をイツまでも引きずっている訳にはいかないと感じたからである。


 トマは話題を変えて、アークシュリラに尋ねた。


「アークシュリラ。何でゴブリンキングの所持していた剣をギルドで売らなかったの」

「魔石すら抜き取ってない、未解体のゴブリンキングを渡したから、こいつを記念に貰ってもバチは当たんないよね」


「本当は魔石が欲しかったの」

「あまり居ない魔物だから、貰えるなら欲しかったよ。でも、あのギルドマスターは、買い取り金額に随分と色をつけてくれたから、結果オーライかなぁ」

「それって、どこのギルドでも同じって言ってなかった」

「言ってたけど、あまりにも多いからなんか違う気もするんだよ」

「そうだね。ギルドマスターってスゴい権限があるんだね」


 確かにバルゼンの言った通りギルドの内規で一度の討伐で大量の魔物を倒せば報酬はふえるコトになっているし、街やギルドを救う行動に対しても金額の増加はあった。

 それでも金額が随分と多かったのは、トマとアークシュリラの二人がゴブリンたちの討伐に出掛けて直ぐにギルドから街を運営している人に報告が届き、成功時に支払ってくれと街からの報酬が上乗せしてあったからであった。

 だから二人が思っているように、バルゼンがギルドマスターの権力を行使した訳ではない。


「変なん印を押してたけど、あれってギルドの人でも見られないみたいだね」


 バルゼンは二人のギルドカードに処理をした後に、確かにそう言っていたのをトマは思い出した。


「専用の端末が必要って言ってたね。どこのギルドでも受付とかにあるのかなぁ。そうでないと私たちがギルドマスターと面談したくなっても、門前払いを喰らうよね」

「その時になったら、受付で聞けば良いよね。今、気にしても仕方が無いよ」

「それも、そうだね」


 トマとアークシュリラの二人は街道を逸れて、また草原を歩いている。


「アークシュリラ、バルゼンに革命を肯定も否定もしないって言ってたけど本心なの? 私は肯定は出来ないなぁ」

「どうして? ボクだって不満があれば、即革命ってのは賛成はしないよ。でも、領主などが話し合いに応じなければ、いくら話し合いをしたくても出来ないよ。だから肯定も否定もしない」

「フーフェンの件だと、領主が聞き入れてくれなかったから、あの様に言ったの?」

「そうだよ。力で何でも解決してたら、この世界は大変なコトになるよ。生き物のウチ何種類かは考えられるから、話し合いが出来るのならそれが一番良い方法かなぁ」

「そうなんだね」

●最後まで読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

●今回は、トマとアークシュリラがフーフェンから出発するお話です。

長かったフーフェンでの話もようやく終わります。



次回のお話は、3月26日0時0分ごろに公開する予定です。

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