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25 ギルドに戻る

今回も読みに来ていただき、本当にありがとうございます。

●この物語に出てくる魔法や職業に付いているルビや漢字表記は独自解釈の箇所があり、一般的なファンタジーのもの(小説やゲームなど)と異なる場合があります。

●誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

 ゴブリンたちを燃やしていた火が徐々に消えてきた。

 穴の中にあるゴブリンたちの体だったモノに肉は既になく、骨だけが残っているだけだった。

 その骨も重さに耐えられずに崩れていて、一体一体が分からない状態になっている。

 火が完全に消えたのを確認して、トマが魔法でそれを塞いだ。


「トマ。まだゴブリンが残って居ると面倒だから、周辺を少し確認しようか」

「そうだね」


 二人はついでに周辺を一通り探索してから、ギルドへ戻るコトにした。

 二人がギルドへ着くと、受付にも連絡が行き届いていたみたいで直ぐにギルドマスターの部屋へ通された。


「今日は総て倒せなくても構いませんよ。それで結果だけでも報告してください」

 バルゼンは二人の帰りがあまりにも早かったので、そう言って来たとアークシュリラとトマは感じた。


「ゴブリンは倒しましたし、周囲に居ないのも確認しました。魔石を取って来ましたので見ますか」

「出来れば……」

 バルゼンはトマの言った言葉の意味が分からない感じで、言葉を濁した。


 二人はアイテム袋から次々にゴブリンの魔石を取り出しては、机の上に転がしていく。

 バルゼンは今回トマとアークシュリラの二人が倒したのは数匹なので魔石は数個と思ったらしく、次々にアイテム袋から取り出される魔石に目を白黒させていた。


 バルゼンは黙々と自分に向かって転がってくるゴブリンの魔石を、受け止めては箱に並べて数を数えていた。


「アークシュリラ、これで私の方は最後だね」

 トマはアークシュリラと同じペースでゴブリンから魔石を取っては、自分のアイテム袋に入れていたからそんなに数は変わりないと思っていた。

 しかし、アークシュリラの方はまだまだあるらしい。


「ボクの方は、これが最後です」

「あの短時間で……魔石は82コも有りましたよ」

 バルゼンは二人にそう告げた。


「私たちは数えていないので、そうなんですね」

「それで、これだけのゴブリンが居たのですけど、ゴブリンキングは居なかったのですか」

「居ましたよ。アイツは珍しいので、魔石だけでなくてそのモノ自体を持ってきましたが、この部屋に出して良いのですか」

 アークシュリラが答えた。


「ちょ、ちょっと待って! 出すなら下でお願い!」

 バルゼンは、すっとんきょうな声をだした。

 威厳のある女性でなく、この声が本性なのかなぁと二人は思った。


「判りました」


 二人はバルゼンの案内で地下にある倉庫に行き、アークシュリラがゴブリンキングをアイテム袋から取り出した。

 観客ではないが、傍にいた何人かのスタッフから驚きの声や歓声があがった。


 今は横になっているから平気だが、傷をあまり負ってはいないので立っていたら今にも襲って来そうだ。


「疑っている訳ではありませんが、確認して良いですか」

「別に良いよ」

「ルベロとラングス、手が空いているなら直ぐに来て!」

 バルゼンの声が地下空間に響き渡った。

「マスター、何ですか?」「こいつをどうしたのですか?」

 ヒゲ面と背の高い男性のスタッフが二人、奥の方からやって来た。


 バルゼンは2人に簡単な説明をして、3人がかりで詳細にゴブリンキングを確認しだす。


「ギルマス、こいつは未解体ってモノではないですよ。キズがこの心臓と横腹、そして腕の3ヶ所しかないなんて、本当に神業ですよ」

 ヒゲ面の男性が言った。

「そうね、ルベロ。若干の魔力は感じるけど、それも攻撃魔法を使用した訳では無さそうね」

「魔石もこの分だと、体内にあるな」

 今度は背の高い男性が言った。

「ラングス、この切り込みで魔石を取り出すコトは不可能よ。それで2人は何年ものと診る」

「俺は10年くらいですかね」

「俺もルベロと同じだな。もう少しで魔法も使える様になったと思うな」

 ギルドマスターはルベロとラングスの2人と会話をしながらゴブリンキングを隅々まで調べて、その結果を書類に記載していった。


「それでは、報酬をお渡ししますね。一旦、部屋に戻りましょう」


 バルゼンは傍に居る女性職員に今作成した書類を渡して、何かを告げた。

 そして、トマとアークシュリラの二人はバルゼンと一緒に部屋に戻ってきた。


「お二人の冒険者ランクは、本当にDなのですか?」

「これって、ギルドで貰ったから判らないよ。間違ってたの?」

「そうですね。違うランクが良いと言われても、我々も勝手に変えるコトは出来ませんから、合っています。しかし、お二人の真の実力を現している訳では無さそうですね」

「それは確認のしようがないから、仕方ないよ」


 勝手に魔物を退治していても、ギルドでは把握するコトが出来ない。

 今回はバルゼンに話してから退治に行ったけど、あの時に周辺も調べてゴブリンキングまで倒してたら……イヤそれを売らなければ、ギルドは知る術がない。


 扉をノックする音がした。

 バルゼンが入ってとだけ告げると一人が台車を押し、その後ろからもう一人が書類を持って入ってきた。

 そしてバルゼンに書類を渡して、台車を残して部屋から出て行った。


 バルゼンは手渡された二枚の書類に目を通してから言った。

「それでは報酬の準備が出来ましたので、お二人に渡しますね」

 先ずトマとアークシュリラにその書類を一枚ずつ渡した。

 続いて台車に載っている袋を取って、二人の前に一つずつ置いた。


「これではいくら何でも、多過ぎますよ」

 書類に目を通したトマが、そう言った。


「えぇ、確かに単体を倒したのでしたら1/3くらいですね。しかし、今回は一度に討伐して、更に巣まで駆除していますのでこの金額になります」


 トマはバルゼンが言った巣までと云う言葉が少しばかり引っ掛かって、ギルドがワーグスを派遣したのかを聞いてみたいと思った。


「私たちが巣の中まで捜索したと言っているだけで、今回ギルドでは巣を壊したかを確認していないですよね」

「そうですが、貴女がたが巣だけウソを吐く理由がありませんからね。それにゴブリンキングの状態も加味しています」


 確かに巣のコトだけウソを吐く理由はない。

 しかし、トマとアークシュリラの二人が捜索した範囲に無かっただけで、今回倒してきた以外にもゴブリンの巣が残っている可能性だってある。

 なんせ総数は数えてないのだから、今回の数が全部とは言えない。


 それと、ゴブリンキングをどう加味したのかも分からないから、トマは自分たちが言ったことを信じてくれるならこれ以上意見を云う必要はないし、別にそれらのコトはどうでも構わないと思った。

 ここで下手に意見を言って、ギルドか街で現地調査をするので報酬は後日となるコトのデメリットの方がでかい。


「そうなんですか」

「ギルド内の決まりなので詳細はお話し出来ませんが、他のギルドでも同じ金額になりますよ」

「それならば遠慮なく、頂きます」

 書類に記載してある金額と袋に入っている枚数が合っているか確認してから、書類にサインをした。

 そして二人は、アイテム袋にお金の入った袋を入れた。

●最後まで読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

●今回は、ゴブリンたちの処理が済んでトマとアークシュリラがギルドへ戻って来てからのお話です。

あれ、ワーグスはって思った人も居るかと思いますが、どうしちゃったんでしょうね。


次回のお話は、3月16日0時0分に公開する予定です。

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