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24 魔力の流れに乗る蝶々

今回も読みに来ていただき、本当にありがとうございます。

●この物語に出てくる魔法や職業に付いているルビや漢字表記は独自解釈の箇所があり、一般的なファンタジーのもの(小説やゲームなど)と異なる場合があります。

●誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

 ゴブリンキングの剣とアークシュリラの持つ剣がぶつかり合い、鈍い音と共に激しい火花が飛んだ。


 が、あれ? 今、こいつの剣が当たったよねと、アークシュリラは首をかしげたくなった。

 それはアークシュリラの腕に、ほとんど衝撃が伝わって来なかったからである。

 どういう仕組みかは判らないが、本当に前の剣よりか強い――いや、すごいコトだけは確かだと思った。


 剣で受けることが可能ならば、相手が攻撃をしてくる度に攻撃が当たらない様に間合いを外す必要がない。

 それは、イツでも反撃体勢に移れるコトを意味する。

 そうなれば、こいつを倒すのはもはや赤子の手をひねるよりも容易いコトになる。


 再度ゴブリンキングが勢いよく剣を振り下ろして来たのを剣で軽く受けてから、今度はアークシュリラが剣を横にして突いた。

 その剣はゴブリンキングが着込んでいるチェーンメイルや固い皮に防がれもせず、横腹深くに突き刺さった。

 ゴブリンキングはとても大きな声で数回ほど唸ってから、近付いているアークシュリラを掴もうと手を伸ばした。

 その腕をアークシュリラは横腹から抜いた剣で切り付ける。

 ゴブリンキングは、非常に大きな声で吠えた。


 トマは蝶々の行方とやって来ないゴブリンたちに意識を集中してたので、何事とゴブリンキングの方を凝視した。

 なんだちょっと切られただけか、それにしてもゴブリンでも痛いのかなぁと他人事の様な感想を持った。


 そうこうしていると、ようやく蝶々がトマの処に戻って来る。

 それを手で優しく包んで、魔力を自身に取り込んで蝶々を消した。

 それを行ったのは蝶々が今まで見て来た景色や光景を、あたかもトマ自身が実際にその場所へ行って見て来たかの様に感じるダメである。


 ワーグスはトマやアークシュリラから直接見えない位置にある木の上に潜んで、この戦いを観戦していた。


 あすこに居たのか。それにしても上手く隠れて魔力を流してたんだね。

 今魔力を感じたってコトは、街の誰かからの指示かも知れないけど、バルゼンから直接連絡を受けて来た訳では無さそうと思った。

 トマがそう思ったのは、直接バルゼンから聞いたのならばもっと早くに来て、私たちがゴブリンたちを退治しているのを見逃すハズはないと考えたからである。

 そもそもギルドが討伐の依頼をした人たちの監視をするコト自体ありえない。

 それは依頼を受けた冒険者を信頼していないコトを意味するし、ギルドもそんなコトに人員を割けるほど職員が潤沢にいる訳でもない。


 トマはその男性に気付かれない様に、木に巻き付いている蔓を徐々に伸ばしていき、そしてワーグスが動けない様に幾重にも蔓を体に巻き付かせた。


「トマ。こっちはもう終わらせるけど、良いかなぁ」

「アークシュリラ、まだ、やってても良いよ」

「だって、こいつ図体ばかりでかくて、全然強くないんだもん。それでトマの方は片付いたの?」


 トマは、アークシュリラが云った言葉で、やはり判って居たんだねと思ってから言った。

「私の方は片付いたよ」

「そう、判った」


 アークシュリラがそう言い終わるやいなや、ゴブリンキングは後方に倒れた。

 アークシュリラとずっと会話をしていたトマは、アークシュリラとゴブリンキングを見ていたからゴブリンキングが自然に後方へ倒れた様にしか見えなかった。

 でも、アークシュリラは目にも留まらぬ早技で、ゴブリンキングの心臓のある位置へ正確に剣を突き刺して抜いていたのだった。


「終わったよ」

「最後は勝手に倒れた様に見えたけど……」

 トマはそう言いながら近づくと、ゴブリンキングの心臓付近にあった小さな刀傷から血が溢れているのを見つけた。

 その血はダラッと流れていて、もうゴブリンキングの心臓は脈動していない様だった。

「心臓を突いてから少し捻ったんだよ」

 アークシュリラが言ってきた。


「あとは穴の中に溜まっているヤツらだよね」

「トマ。一気にとは言わないけど、魔法で引っ張り出せないの?」

「そんな便利な魔法は知らないよ」

「ボクは戦って疲れたから……」

「ダメ! 私だって一番初めに強力な魔法を放ったよ」

「ジャンケンで負けた方が、先に入るで良い」

「交互に一匹ずつなら良いよ」

「それじゃ、穴の中を乾かして」


 トマは杖を地面にある穴に向けて、呪文を唱える。

乾燥(トロクネン)!】

「これで乾いたよ。じゃジャンケンだね」


「「ジャンケンポン」」

「ボクの勝ち!」

 アークシュリラが叫んだ。

 そして、トマから一匹ずつゴブリンを外へ引っ張り出していく。

 初めのうちは地表に出来た出入り口付近にいるヤツらだから良いが、次第に穴の中へ奥へと入って行くことになる。


「トマ、まだ居た?」

「まだまだ有ったよ」


 その後も二人で交互に穴の中に入り込んで、中で死んでいるゴブリンたちを引き摺り出した。

 穴の中を全て確認したが、めぼしいモノはこれと言ってなかった。

 二人はゴブリンの巣穴の探索もしたから、気分転換に少し休憩を取ることにした。


「それにしても多く居たね」

「こんだけ有るから、今回も大きめで掘るね」

「そうだね。お願い」

 アークシュリラの返事を聞いて、トマは呪文を唱える。

穴掘り(グラーベン)!】


 そして穴から引き出してそこら中に置いてあるゴブリンたちから、二人で魔石を取るコトにした。


「トマ。今回も皮とかは剥ぐ必要はないから魔石だけを取り出してね」

「これは本当に簡単で良いよ」


 魔石を取り終わる度に、小鬼を穴に放り込んでいき、次の小鬼に取り掛かった。


 数体から魔石を取って、アークシュリラが言った。

「トマ。これを全部取ってから燃やすと大変なことになると思うから、ずっとじゃなくても燃やせない」

「それもそうだね」

燃やす(ブレネン)!】

 トマは掘った穴に火を熾したので、穴の中にあったゴブリンの残骸が徐々に燃えだした。

 トマが魔法で火をずっと燃やし続けなくても、ゴブリンから出て来る脂でずっと燃え続けそうな感じがアークシュリラにはした。


「これで最後だね」

「やっと終わった」

「お疲れさん」


 ゴブリンたちを燃やしている炎が消えるまで待ってから、トマが魔法で穴を埋めた。

 ゴブリンキングの方は、アークシュリラがアイテム袋にそのまましまった。

●最後まで読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

●今回は、アークシュリラがゴブリンキングと戦い、トマが魔力の流れに乗る蝶々を放ってと魔力の出所を探すいうお話です。

アークシュリラの剣はやっぱりこんな感じで無いと、先々の展開が考えられなかったのと、簡単に折れたらウィンデールがウソを言ったことにもなるしで……

あとはワーグスから事情を聞いて、バルゼンに結果を報告すれば終わりかなぁ。


次回のお話は、3月13日0時0分に公開する予定です。

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