23 ゴブリン退治をする
今回も読みに来ていただき、本当にありがとうございます。
●この物語に出てくる魔法や職業に付いているルビや漢字表記は独自解釈の箇所があり、一般的なファンタジーのもの(小説やゲームなど)と異なる場合があります。
●誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。
ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。
ギルドを出発してゴブリンが居た林へ戻って来たトマとアークシュリラの二人は、更に林の奥へと進んだ。
「あっ、居るね」
「これだけ多いとボクが突っ込んでいくよりか、最初の一撃はトマの魔法の方がいいかなぁ」
「そうだね」
「じゃお願いね。出来るだけ強力なのを」
「でも、あれで全部なの? 少ない様に感じるけど、他の所へ行っていない?」
「あれだけでも全滅させれたら、あとは個別撃破でも大丈夫だよね。それにあの出入りしている穴にはキングが居そうだしね」
「そうだね。一体ずつなら、林の中でも魔法を撃てるね」
ゴブリンは木の幹に出来た穴から出入りして居て、その穴から地中に巣を作っているモノと思われる。
「でも、あすこから出て来てくれないと、あの穴に入って行かないとボクは戦えないから……嫌だなぁ」
「じゃ、私が水を注入するよ。そうすれば溺れるから出て来るよね」
「そうだね。そしたらボクが斬れば良いし」
「じゃ、ヤルよ」
【私はトマ、雷の神に臥して願う――】
トマの長い詠唱が終わると、ゴブリンたちが出入りしている幹に開いた穴がある木を中心に、その周囲も含めて何本もの雷が落ちて来る。
ゴブリンたちは、急に発生した雷に訳も分からずに打たれて倒れていった。
地上に居たゴブリンたちを倒して、トマとアークシュリラは幹に穴のある木に近付いた。
「あらかた片付いたね」
「次は水だね」
【湧水!】
トマが呪文を唱えると、幹に出来た穴の周囲から水が勢いよく流れ出してその中に落ちていく。
「これは、中に居たら大変だね」
「そうだね。この状態だと、中は滝だからね」
直ぐに何匹ものゴブリンが穴から出て来たので、アークシュリラが問答無用に斬り捨てた。
不意を突かれたゴブリンは、アークシュリラの一撃で動かなくなる。
しばらくして、水が穴から溢れて来た。
「穴が一つだったみたいだね」
トマはそう言って水を止めた。
幹の途中や根の辺りから引っ掻き回す音や叩く音がするが、ゴブリンの死骸で出入り口は塞がっているので出ては来られずにいる感じだ。
水の中で一生懸命になって出入り口を塞いでいるゴブリンをどけて出て来るモノも居たが、それらの頭が出て来ると同時にアークシュリラが切りつけるので直ぐに穴は塞がれてしまう。
しばらくはもがいている音もしていたが、次第に静かになっていった。
戻って来たゴブリンたちもトマが魔法で仕留めたり、アークシュリラが剣で息の根を絶ったりしていた。
地上にあるゴブリンの死骸だけでも、既に20体を越えている。
「終わったかなぁ」
「もう来ないかなぁ」
と話していると、木自体が突然爆散して蓋になっていたゴブリンなどを弾き飛ばした。
その衝撃を受けてトマとアークシュリラも少し弾き飛ばされたが、地面にぶつかった衝撃は注意していなかった割にたいしたことはなくすんだ。
更に二人の体には、ドコにも木片などは刺さらずにすんだ。
二人がナニが起きたと例の木を見ると、そこには周囲に倒れているゴブリンより随分大きいモノが姿を現していた。
「キングのおでましだね。トマ、こいつはボクにやらせてよ」
「判ったよ。私は、もし戻って来るのが居たら仕留めるよ」
アークシュリラはゴブリンキングの正面に進み出た。
アークシュリラが抜刀する前に、ゴブリンキングは手にした剣をアークシュリラ目掛けて振り払う。
すかさずアークシュリラは後方に跳ねて、それを避ける。
ゴブリンキングが振った剣は、物凄い風切り音を残して空を切った。
アークシュリラは、もし当たったら怪我どころでは済まないと思った。
トマはあんな攻撃ではアークシュリラには当たらないけど、それにしても凄い力だと感心した。
ゴブリンキングは、続いて剣を最上段から勢い良く何度も振り下ろしてくるが、アークシュリラは上手く左右に避けていく。
その剣は地面にめり込んで音をたてると同時に、引き抜く際にも大量の土を巻き上げている。
「そんな大振りでは、アークシュリラには掠りもしないよ」
トマは、ナンにもやって来ないので手持ち無沙汰であるが、アークシュリラの剣技を久しぶりに見られるコトが少し嬉しかった。
ここでトマは妙な魔力の流れを感じた。
アイツが来たのか、それとも他のヤツかなぁ。
バルゼンに話してからの時間を考えると、ギルドから領主たちに報告があってやって来たと思える。
どっちにしてもこの戦いを邪魔されたらマズイよねと考えて、トマは魔法を発動させた。
【耐魔法結界!】
そして魔力の源泉、出所を探すコトにしようと思ったが、ここからじゃそいつが――そいつらかも知れないけど……どこに居るか判らないし、闇雲に動き回れば怪しまれるしなぁと思った。
それじゃ、久しぶりにあれを使ってみるかと一人呟いてから、魔力を手に溜めて2匹の蝶々を形作った。
そしてゆっくりとしゃがみ込んで、ゆっくりと一匹ずつ手元からそれを離した。
あの蝶々が上手く魔力に乗ってくれれば、発生源にたどり着く。
そうなれば対応の仕方もあると考えた。
アークシュリラは、トマが何やらやり出したのを横目で確認していた。
あれは確か魔力の流れに乗る蝶だったか、トマが魔法を習い始めた頃に何回か見せて貰ったっけ。
ならばあの男性が居たのかなぁなどと、アークシュリラは余計なコトを考えて居たからゴブリンキングの次の攻撃を躱せそうにない。
アシュミコルに仕える者が刀身は強いと言っていたが、今まで持っていたどの剣よりも刀身が細いので、その言葉を信じられずに剣で受けるコトをしていなかった。
でも、今はそんな余裕はない。
アークシュリラとしては、キングだろうがゴブリンごときにキズを負わされたら、悔やんでも悔やみきれないとの思いが強い。
それに、もしこの攻撃で剣が折れてしまったとしても、今ならトマに急ぎ火を熾して貰えば済む。
頼む剣よ耐えてくれ! と心で念じ、ゴブリンキングの振り下ろす剣を自身の持つ剣で受けた。
剣と剣がぶつかり合い、激しい火花が飛んだ。
●最後まで読んで頂きありがとうございます。
誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。
ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。
●今回は、トマとアークシュリラがゴブリンをするお話です。
ようやくゴブリンたちと戦いですが、あまりにも一方的過ぎますよね。
まぁゴブリンですから……
次回はキングとの戦いの続きです。
アークシュリラの剣は折れてしまってトマが助けるのでしょうか?
今、剣が折れない場合と折れる場合など幾つかのパターンを書いては直してます。
話がまとまれば、3月10日0時0分に公開したいです。
イヤ、頑張ってまとめます。




