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21 再びギルドからの書状が届く

今回も読みに来ていただき、本当にありがとうございます。

●この物語に出てくる魔法や職業に付いているルビや漢字表記は独自解釈の箇所があり、一般的なファンタジーのもの(小説やゲームなど)と異なる場合があります。

●誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

 トマとアークシュリラの二人は領主の館にも何度も行ったが、そこは静寂に包まれていて出入りをする人も居なかった。

 ファリチスは数名の実力者による合議で街の運営をしていたから、街には領主がいなかったので普段から領主の館がそうなのか、領主が暗殺されたから静かなのかを二人は計れずにいた。

 また、館の窓ガラスなどはどれも割れておらず、ここで戦いがあったとはさすがに思えなかった。


 トマはアークシュリラの言っているクーデターと云う考えが、間違っているのではと少々思った。


「トマ。中がどうなっているかを知る魔法ってないよね」

「ないよ」

「そうだよね。あったら良いのにね」

「そんな魔法があったら大変だよ。アークシュリラが人に言えない様なコトをしていても、私は誰知れずに知ることができるのだからね」

「それは大変な事だね。やっぱり無い方が良いね」


 今は日課の散歩を終えて、二人は宿屋で自分たちにあてがわれた部屋でくつろいでいる。


「新鮮なうちにお魚を食べたいなぁ。焼いてよ、トマ」

「駄々をこねないの。それにアイテム袋に入れとけば、イツまでも新鮮でしょ」


 今日も売れない小さな魚介類を漁師さんにたくさん分けてもらったから魚はあるけども、さすがに部屋の中で焼き魚を作るコトは出来ない。


 宿屋の店員に依頼をすれば調理をしてくれるにはくれるが、簡単な焼いただけと云う訳にはいかずに手間の掛かる煮付けとか蒸したモノになってしまう。

 焼き魚で頼み込んだとしても、バターとかを使ったムニエルとかが限界である。

 それは簡単な焼き魚だとあまりお金を取れないからであって、決して客の要望とか注文や意見を聞かない訳ではない。

 だから、お金をちょっと多めに払えば焼き魚は作ってくれる。


 宿屋としては、宿泊だけでなくて食べ物でも料金を取りたいので致し方ない。

 それに食べ物は、他の宿屋と差別化を図る上で最も手軽で簡単な方法である。

 宿屋である以上は、そんなに粗末な寝具は使えないから普通より良い寝具を設置している所が多い。

 それは普通のモノよりかは少し良い程度であり、どこの宿屋でも似たり寄ったりである。

 それによって差別化を図るのは難しい。

 これがほとんどの宿屋で、泊まるだけと云うのを受け付けていない理由の一つでもあった。


 アークシュリラが文句を言い続けていると、部屋の扉をノックする音がした。

 トマが扉を開けると、店員が話し出した。

「お寛ぎの所すみません。ギルドから至急の書状が届きましたので、お持ちしました」

 店員はトマに書状を渡して、一礼をして戻っていった。


「トマ、ナンだって」

「待ってね」

 トマが書状の封を切って、目を通してから言った。


「アークシュリラの思った通り、協力の依頼みたいだよ」

「でも、書状はギルドからだよね。領主じゃなくて」

「うん、ギルドからだよ。読む?」

「応じないから、その必要はないよ」

「えっ、行かないの」

「ボクは行かないけど、止めないからトマが行きたいなら行っても良いよ」

「私一人じゃ、行っても仕方ないよ」

「じゃ、受けないと返事を書いて、店員に渡しといてね」


 トマは返事の下書きを書いてアークシュリラに見てもらってから、丁寧な言葉を選んで清書した。

 まぁ、トマが下書きを書いている最中に、アークシュリラが横槍を入れてきたのが正しいのだが……


「で、領主だったら行くの?」

「まぁ、ボクたちがこの街にいる間には絶対にないと思うけど、領主だったら行くよ」

「自分たちで対応出来ないみたいなんだから、何で絶対にないの」

「前にも話したけど、今は領主がいないからだよ」

「あぁ、クーデターって話だよね。でも、領主の館を見ても異常はなかったよね」

「外観とかは無かったね。しかし、あの館からはあまりにも人の気配がしないんだよ」

「そんなもんじゃ無いの」


 今まで立ち寄った街の領主などが住んで居る所は閑静な所にあって、人々の往来がひっきりなしと言うことがなかった。


「出入りする人が少ないってことではなくて、屋敷の傍というか衛兵とかだよ」

「数人はいたよ」

「そうだね。凄く強そうな人たちが居たよね。なんであの人たちがボクらを捕まえて出ていけって言わなかったのかなぁ」

「それは決まりが変わったから、云う必要が無くなっただけだと思うよ」

「じゃ、ナンでずっと退去させていたのに、領主が急に考えを変えたんだろうね」

「陳情とかブレーンに何度も言われて、考えを改めたとかじゃないの」


 トマにそう言われて、アークシュリラは少し考え込んでから言った。


「そうだね。クーデターで無いかも知れないね。じゃ領主の話とゴブリンが現れた件は一切関係はないから一旦話を戻すよ。良いね」

「うん」

「ゴブリンの方はボクたちがギルドへ魔石を売って初めて知ったと思うけど……あの男が伝えたかも知れないけどね。可能性は低いと思うよ」

「でも、時間的に男が伝えたとする方が良さそうだよ」

「じゃ、第一報はそうかも知れないね。でも、ボクが言いたいのは、誰がゴブリンを倒したかを知ったってコトだよ」

「そっちか。それなら魔石を私たちが売った時だね」


 この街には強い冒険者が居ないのだから、誰がゴブリンを倒したかを知らない事には協力してもらうことができない。

 しかし衛兵たちは強そうに見えたから、街の中に戦える者が全く居ない訳でもなかった。


「で、この時に領主一族は既に生き残っていないと思ったんだ」

「ナンで」

「もし、毎回ギルドが前線基地になるだけなら、ボクたちがギルドマスターと面談をする意味はないよ。今回は領主か家来やそれらに仕えるモノと面談をやれば済むからね」

「そう言うコトね。この時に、私たちを領主の館へ呼べない理由ってコトか」

「そう。ボクたちを呼べなかったんだよ」


 トマはアークシュリラの言うクーデターとか暗殺と云う話が突拍子も無いモノでは無くて、館に呼べない理由は……朧気ながら事実では無いかと思える様になった。

●最後まで読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

●今回は、ギルドから書状が届きトマとアークシュリラが話し合うお話です。

何度も書き直しているので多少文章的におかしな所もあるかと思います。

気づき次第、内容が変化しない様に訂正していきます。


次回のお話は、3月4日0時0分に公開する予定です。

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