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19 ギルドからの呼び出し

今回も読みに来ていただき、本当にありがとうございます。

●この物語に出てくる魔法や職業に付いているルビや漢字表記は独自解釈の箇所があり、一般的なファンタジーのもの(小説やゲームなど)と異なる場合があります。

●誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

 トマとアークシュリラが海から宿屋に戻って来ると、店員にギルドからの手紙を渡された。


 トマが手紙の封を開けて、中を見てから言った。

「アークシュリラ。もう一度ギルドへ来て欲しいって書いてあるよ」

「ナンだろね」


 二人してギルドへ行ってトマが受付の人に手紙を渡すと、受付の人は断ってから手紙を確認して言って来た。

「すみません。私に付いて来て下さい」

 トマとアークシュリラは受付の人を先頭に、受付の裏に設置されている通路を通って部屋の前まで来た。

 受付の人はノックしてから、扉を開けて言った。

「ギルドマスター。トマさんとアークシュリラさん、二人をお連れしました」


 トマとアークシュリラが受付の人が扉を開けた隙間から部屋の中を覗くと、その中には一人の女性が居るのが分かった。

 その女性は、机に向かって何やら作業をしたまま『ご苦労様』とだけ言ってきた様に見えた。

 その言葉を聞くと、受付の人は二人を扉の前に残して去っていく。

 二人が通路で部屋に入っても良いのか見合わせていると、再び声がした。


「どうぞ、こちらに来て椅子に腰をかけて下さい」


 ギルドマスターと呼ばれた女性は机の脇に立っていて、二人に身振りも交えて着席を促した。

 そして二人がソファーに座ると、自分も向かいの椅子に腰を下ろした。

 そしてタイミング良く、お茶などが運ばれて来る。


「私はバルゼンと言い、当ギルドのマスターをして居ます。貴女達をお呼びしたのは、退治したゴブリンについてです。聞いた話では林に入って直ぐとのコトですが、間違いありませんか」

「私はトマと言います。はい、林に入って10メートルくらいの所です。街の方ではなくて、反対側ですけどね」

「そこで7体を退治したと」

「ボクはアークシュリラです。そう7体を倒してきちんと処置はしましたが、ボクたちは呼び出されるようなマズいことをしましたか」

「いいえ、そうではありません。あの林はたまに魔物が出現するのですが、これだけ多いのは初めてでして、本当なのかお話を伺いたく来て頂きました」


「最初に居たのは3匹ですが、道へ行かさない様にゆっくり確実に仕留めていたら、4匹が後から現れました。林の中を捜索した訳でないので、まだ居るのか、もう居ないかは判りません」

 アークシュリラが事実を語った。

「そうですか、事情は分かりました」


「では、ギルドで討伐隊を組織するとか、何かをするのですか」

 トマがバルゼンに、そう尋ねた。

「それは領主様と相談になりますね。多分ですが、まだ残りが居るのかを捜索するために、街の方から警備の人々を派遣するかと思います。そして商業ギルドかうちのギルドが、前線基地と情報をまとめる役目を負うでしょう」

「ここには冒険者と商業、ふたつのギルドがあるのですか」

「ギルドの建物はこの建物ひとつですが、別々の組織としてふたつありますよ」


 ここでバルゼンは紅茶を啜った。

 トマとアークシュリラも、出された紅茶を飲んだ。

「もし、討伐。いや捜索に協力のお願いが有ったら、お二人は協力して頂けますか」

「私たちは一日分の宿しか取ってないから、アークシュリラどうする」

「別に急ぐ旅じゃないし宿屋が延長を認めてくれれば、()()()()()()()協力しても良いかなぁ」

 困っているならの部分をアークシュリラは強調したので、ただの人工(にんく)になるのは、ごめんと言うことだとトマは思った。


「私たちが協力するってコトは、誰かの命令とか指揮を受けるコトになりますよね。それは遠慮します。あくまでも立場が対等なら、協力しても構いませんが」


 トマの発言を聞き、バルゼンは少し困った顔をしてから言った。

「そうですか、分かりました」


 バルゼンとの話は終わり、二人はギルドを後にした。

 そして宿屋へ戻って来た。


「トマ。少し言い過ぎだったんじゃない。ボクは別に命令を受けても平気だよ」

「私も指揮とかは一元化した方が良いと思っているから、アークシュリラの考えと大差はないかなぁ」

「ならばナゼなの」

「ゴブリンが居ると判ったあの時、剣を持っていた男の人が居たよね」

「うん。居たね」

「あの人から僅かだけど魔力を感じたんだよ。探索の魔法なら戻って来ても良さそうだし、戦わないなら強化魔法を使う意味はないしで、いったいあの場所でナンの魔法を使ったかと」


 トマは自分が知っている魔法の中から、あの男性が使った魔法を導き出せずにいた。


「剣を持っていても、魔法を使えるの?」

「そう云う人も居るよ。でも、剣術と魔法もだから、両方が中途半端になる人が大多数だと聞いたコトがあるけどね」


 魔法も使えて、剣術も出来る人は確かにいる。それは、元々が魔法使いか剣士だった者が、途中からジョブチェンジした場合が多い。

 なので一つの職業を専門的にやっているよりかは、どうしても能力や技術が劣ってくる。

 中には人の何倍もの努力をして、両方とも一流と云う人もいるが数は数えるほどである。


「ボクも魔法を使える様になれる?」

「アークシュリラは魔法を使いたいの」

「初歩的なモノで良いから……使いたいかなぁ」

「何を使いたいの」

「少しの間だけでも火を熾せる魔法と明るくする魔法かなぁ」

「それだったら魔力があれば使えると思うよ」

「そうなの」

「そうだよ」


 アークシュリラの言った二つの魔法は、魔法使いが魔法を学ぶときに最初に覚える魔法だ。

 あと、個人の特性とか属性によっては、水や土を出す魔法などがある。

 なので難しい詠唱はないし、基本を学んでアークシュリラに魔力があれば使える。


「で、トマはその男性が気になったんだよね」

「うん、その男性がバルゼンが言っていた警備の人だったら、警備をしているのに通行人を守らない様なモノの居る組織と云うことだよ。そんなモノの命令を聞くべきではないと思ったから同等って言ったんだ」


 トマはアークシュリラがバルゼンに言った『困っていたら』と云う内容を、間違って解釈して自分が話をしたと云う事実に既に気付いているが、あえてそのコトは伏せて置いた。

 アークシュリラはただ困ってるのなら助けても良いと言っただけで、強調したのも困っているとバルゼンが言えば素直に応じるつもりだった。

 その言葉には、まったく他意はなかった。

 それをトマは変に気を使って、指揮とか命令をアークシュリラは受けたくないんだと拡大解釈したのだった。


「そうだね。自分たちだけ安全策を施して、その他の人々には危険な箇所を指示して来そうかぁ。まぁ良いかなぁ。どうせギルドマスターか他の人かも知れないけど、ボクたちに支援をお願いするコトになると思うからね」

「えっ、ナンで」

「あすこのギルドは、ナゼ領主とかから退治の依頼を受け付けていないか、また自分たちで冒険者を集めて退治に乗り出さないか判る」

「人が居ないからかなぁ」

「そう。この街には腕のたつ冒険者が、一人も居ないんだよ」

「そうだったね」


 ギルド内では時間的なモノかと思って居たが、二人が数時間街を散策しても強そうな冒険者には誰一人として会えなかった。

 しかし、トマはアークシュリラの様に強い冒険者が全く居ないとは考えては居なかったが、散策して感じたことなので一人もって部分にもあえて反論はしなかった。


「で、多分3日、長くて一週間で話が来ると思うから、その期間この街に居ても平気?」

「お金は有るから平気だけど……」

「ならお願いね」


 トマはアークシュリラから言われた通りに、宿泊を一週間延長した。

 トマが素直にアークシュリラの意見に応じたのは、あの男性のコトが気になっていたからでもある。

 しかし、あの男性が本当に警備の人だと言う証拠は持ち合わせていないから、ただの旅人と云うことも考えられる。

 そうならば、もう既にこの街には居ないかも知れない。なので、トマとしてはちょっとした博打を打ったコトになる。

●最後まで読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字はチェックしているつもりですが、多々漏れる事があります。

ご指摘下されば、どうしてもその漢字や文章を使いたい場合以外は、出来る限り反映させて頂きます。

●今回は、トマとアークシュリラが、ギルドから呼び出しを受けるお話です。

ギルドマスターも何か隠しているようですね。

まぁ、お偉いさん達は何かと隠し事多いのも事実ですが……

あの男やゴブリン退治、この街の違和感とかをどういう感じにまとめれば良いのか悩みどころです。


次回のお話は、2月26日0時0分に公開する予定です。

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