表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

第七話 集う者たち

女神討伐。

前代未聞の依頼を受けた冒険者たちが、魔界都市ゴネフェに集まってきた。


「女神討伐の依頼を受けた人へ。明日午前8時、ペ=ホジャムニャ広場に集まってください?」

祐樹が見せた紙を紅王が読み上げる。

「顔合わせと、お知らせがあるらしい」

「でも、女神が結界を破壊する推定の日まであと2か月はあるよ。ちょっと早すぎやしないか?」

「それは知らない・・・」

三人がゴネフェに来てから10か月が経った。

「行く?」

「そりゃ行くでしょ」

すっかりゴネフェ慣れしていた三人だった。


午前8時。

強者が広場に集まった。

「よろしくね!私【大虐殺の奇術師】ベルリよ!」

黄色の髪の少女が話しかけてくる。

(耳がとんがってる・・・)

「この耳?私エルフなのよ~」

何だこの人のテンションは。

エルフってことは僕らよりも遥かに年上なのだろうが、見た目、感じ、全てが幼く見える。

「日比谷めろんです・・・」

「紅王だよ」

祐樹だけが挨拶しない。

「おい?」

肘で小突く。

祐樹が後ずさりする。

「どうした?」

「【魔力探知】してみろ・・・」

震える声で祐樹が言う。

「!」

魔力探知で人を探知した場合、スキルパワーの満タン時の量が頭上に表示される。

スキルパワーの上限は修行をすることで増える。

祐樹の頭上には〈121〉と表示されている。

では、ベルリの頭上には何が表示されているかというと・・・

〈19856〉

「おいおい・・・」

喉で声がつっかえる。

それに、周りにピンクの板がある。

【魔力探知】をやめると消えた。

「祐樹・・・これは?」

「多分、スキルの展開準備をしてるんだ。いつ何が起きてもいいように・・・」

じ~っとベルリを見つめるめろん。

ベルリはこう解釈した。

(私の事見つめてる?もしかして、私に惚れた?よく見たらこの子イケメンじゃない!)

「若いのはいいのぉ」

後ろからおじいさんが歩いてくる。

「いや私今年で15690歳なんですけど・・・」

ベルリが言う。

「そうじゃったな。ベルリ」

「ベルリ『さん』だよ!断然私の方が年上なんだから!」

「フォッフォッフォッ。すまぬのぉ」

豪快に笑うおじいさん。

「あの、このおじいさん誰ですか?」

ベルリに聞くめろん。

「彼?彼は【轟の断頭台】アイトよ。まるで断頭台の刃のような大きな斧を振る戦士で、つい最近魔物討伐数記録を更新したわ」

「その記録更新はちなみにいつ頃・・・?」

「40年前」

ヨンジュウネン・・・全然つい最近じゃない、14610日も前じゃん。

まぁエルフだからそんなもんか、さっき5730772日生きてるって言ってたしな。

その時。

円形のペ=ホジャムニャ広場が沈んでいく。

まるでエレベーターのように下がって、地下でストップした。

地下の大きなドームと連結する。

豪華な作りで、まるで神殿のようだ。

そこにいたのは体長3mほどで角が生えており、剣を担いだ人だった。

「なぁ・・・これは試験だと思うか?」

めろんが呟く。

「我はオンヴィズィ・バーカイト。別名、不敗の魔術師なり」

人に似ている・・・

「くじら、あれは?」

「魔物の中でヒトに最も酷似した外見をしている魔物『アバーハイト』ですね!」

それに不敗・・・負けた事が無いということか?

アイトが斧を構える。

「久々じゃのう・・・斧を振るのは!」

そう言って前に飛び出すアイト。

「【断頭斬】!」

振り上げた斧が地面に刺さる。

轟音が響き、土煙が舞う。

「【憑依】・・・」

紅王がチーターを憑依させて前に飛び出す。

祐樹も飛び出していく。

「僕は後方支援と行こうかな・・・【金剣】」

黄金の剣が多数めろんの周りを浮遊する。

大図書館のバイト報酬だ。

土煙が晴れる。

黄金の剣をオンヴィズィ目掛けて飛ばす。

確かにみぞおちに直撃したはずなのにダメージは確認できない。

「え・・・?【魔力探知】・・・」

薄い光がオンヴィズィを包んでいる。

「バリアってことなの・・・?ベルリさん!」

近くにいたベルリに声をかけようとした。

「ベルリさん?」

いない。

前に飛び出して行ったのか?

オンヴィズィを見ると近くにベルリがいる。

「【骨牌散】!」

トランプカードが宙を舞う。

そしてオンヴィズィに刺さる。

「バリアを貫通した・・・!」

オンヴィズィの胸元から血がしぶく。

「面白い・・・」

そう言ってオンヴィズィは剣をベルリ目掛けて振り下ろす。

「危ない!」

そう言って金の剣を飛ばそうとした時。

オンヴィズィの振るう刀が止まった。

「私が何年生きてきたと思ってるの?」

ベルリが下からオンヴィズィを見やって言う。

「まさか・・・そんな芸当が・・・」

オンヴィズィは呆然としている。

言うなれば、スキルパワーの盾。

スキルパワーを防御したい部分に集中させることで『厚み』を作り出す。

「だがここで躊躇しては不敗の魔術師とは言えぬな・・・」

剣を振り上げる。

「この神殿ごと葬り去ってくれるわ!」

そう言って剣を力いっぱい地面に叩きつける。

神殿の床、壁、天井全体に亀裂が走る。

天井が落ちてくる。

おかしい。天井がまるでスローモーションのように落ちていく。

「【時間操作】」

ベルリが呟く。

「だが、いずれは落ちる!儂は受け止めることができるが、貴様らは人類だ!」

オンヴィズィが大声で叫ぶ。

アイトが後ろに回り、高く飛ぶ。

オンヴィズィの首に刃が当たる。

「人類なめんなクソ野郎」

笑顔でそう言うベルリ。

それはオンヴィズィが人生最後で聞いた言葉であった。

「よろしい・・・」

落ちていく天井が止まり、男性がゆっくり降りてくる。

「私は試験官のソリティア」

「やっぱり試験だったのか」

アイトが言う。

「合格おめでとう・・・君たちは女神と戦う素質がある」

次回予告 第八話 仕事探し

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ