第六話 次郎の災難
ある日の夜ご飯。
「いただきま~す!」
「いただきます」
次郎一人だけが元気がない。
「部屋行ってくる!」
自分の部屋に向かう子供たち。だが次郎一人だけ元気がない。
「ねぇ、次郎くん最近元気なくない?」
「だな・・・」
次郎はもともとおとなしい子供だったけど、今は元気がない。
顔色も悪いように見える。
「病気かな?それとも悩み事とかあるのかも」
「だな・・・」
「ちょっと、私聞いてくるね!」
紅王が席を立つ。
紅王は次郎の部屋の扉に耳を当てる。
「はぁ~~~~~~~」
大きなため息が聞こえてくる。
「なるほど・・・」
そう言いながら中に入る。
「うわっ!」
次郎がびっくりする。
「何・・・?」
「あなた、悩み事があるでしょう!」
次郎がビクッと震える。
「べ、別に無いよ!」
「その動揺が証拠よ!」
「・・・」
次郎は黙りこくる。
「ねぇ、お姉ちゃん聞いてあげるよ?」
言い方を優しくする。
「祐樹兄ちゃんには秘密だよ・・・?」
「うんうん」
紅王が次郎に耳を近づける。
「あのね、お兄ちゃん(太郎)と三郎がね、いっつも騒ぐから、僕たち捨てられたんだ。太郎の上にもう一人、一郎っていう子がいたんだけど、その子は今お母さんの元で暮らしてる。僕は祐樹兄ちゃんにまた捨てられたくないから、頑張っていい子にしてるの」
「ふんふん」
「でも、僕だってもっと明るくしたい!けど、捨てられたくない・・・」
「安心して。祐樹はそんな奴じゃないよ。だから次郎くんも素の自分を出していいよ」
「良かった・・・悩み聞いてくれて良かったよ。大きくなったら紅王さんと結婚しようかな・・・」
「それは次郎くんが大人になったら考えよう」
次郎の肩にポンと手を乗せる。
「だね。紅王さんにはめろんさんがいるし」
・・・
「な、何のことかな~?」
口笛を吹き始める紅王。
「その動揺が証拠だよ」
さっき次郎に言った言葉をそっくりそのまま返されてしまった。
「はぁ~。でも、あいつのことは嫌いではないよ。ちょっと根暗なところはアレだけど、結局頼りになるっていうの?」
「ふんふん」
「ヤダこれじゃ好きみたいじゃんアハハ!何でもないよ!」
・・・
「・・・本当に、祐樹に言わないでよ」
「分かってる」
めろんのいるところで言える訳がない。
「これは二人だけの秘密だよ」
ちょっと低い声で念を押す紅王であった。
ちょっと短いけどきりがいいんでここで一話にしました!(。-人-。) ゴメンネ
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