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第五話 魔界都市ゴネフェ

朝のアラームに飛び起きて、食パンにハムを乗せ忘れたことに気付かず食パンを食す。


通学路。


「異世界って単語を絶対に学校で言うなよ」

会った紅王に耳打ちする。

「別にいいけどさ、有名になってもいいんじゃない?ほかの女子からもモテるかもよ。うしししし」

何がうししししだ。

紅王が前にいた彼女の友達に走っていく。

今、『も』って言った?


・・・


まぁ、気のせいだよな。アハハ!



めろん、紅王、祐樹は魔界都市ゴネフェに到着した。

150年程前。錬金術により莫大の富を得た町だ。

今でも錬金術で年間2億ゴールドを稼いでいる。

「お兄ちゃん!」

子供が3人駆け寄ってくる。

「その人たちは?」

「お兄ちゃんの友達のめろんと紅王だよ」

紹介される。

「よろしくね!」

「よろしく」

軽く挨拶を済ませる。

「それで?この子たちの名前は?」

めろんが聞く。

「これが太郎」

髪を後ろで小さく括って、服の袖をまくり上げた子が笑顔を見せる。

「んで、これが次郎な」

眼鏡を掛けて本を脇に抱えた子が小さくお辞儀をする。

「そして、これが三郎・・・って、あれ?」

「もしかして・・・あれ?」

めろんが近くのおばあさんに撫でてもらってアメを貰っている子供を指差す。

「こら、三郎!」

「は~い」

「これが三郎」

腕白そうだな。もう僕が連れて来た馬のルベザオクになついている。

「それで?この子達とはどういう関係なの?」

「ゴネフェの僕の家の前で倒れてた孤児さ・・・」

「ある雪の晩だった。近くの洞窟に住んでいたトロールを倒した報酬の1万ゴールドでちょっと奮発してスシを買ったんだよね。そして帰ったら家の前にこの三人が倒れてたのさ。中に入れてあげて暖炉に当たらせてあげるとすぐ起きたよ。それで僕の家に四人で住んでるんだ。一人も寂しいしね・・・」

目の前にチューダー様式の家があった。

「これが僕の家」

玄関ドアを開けると、真っ先に三郎が廊下の右の扉を開けて入っていった。

「待て~!」

太郎が三郎を追いかける。次郎が静かに部屋に入る。

「本当に騒がしいよな・・おい、太郎!三郎の面倒、ちゃんと見とけよ!」

祐樹は階段を上がっていく。

「ここが僕らの部屋だ」

「結構広いね・・・十二畳ぐらいかな」

紅王が部屋の真ん中に座る。

「作戦会議だ。僕が知っている女神の情報を話す」

以下祐樹の説明。


女神の名はポゴット。神話によると勇者ヨネヘス、魔法使いホテスによりゴネフェ付近の大森林の結界に閉じ込められた。その結界は人類の英知の結晶とも言える。だが何万年もの時を経て女神は結界を調査しており、3年前から女神による結界の崩壊が進んでおり、つい1か月前、町の防衛隊が結界を見に行った所、結界が破壊されるまであと1年という結果が出た。女神は全知全能でありこの世の全てのスキルを使用することができるそうだ。女神の討伐依頼が町の全冒険者に出ている。


「という訳なんだけど、二人を呼んだ理由はもう一つあるんだ・・・」

二人がつばを飲み込む。

「実は・・・」

祐樹の声が低くなる。

「食費の問題」

「ファ!

二人が目をカッと見開く。


・・・


「何の茶番?」

紅王の一言で三人が爆笑する。

「いや、実はさ、太郎今10歳なのよ」

「なるほど、よく食べるのね」

「そうそう」

祐樹一人分の稼ぎではとても足りないそうだ。今は毎日飛び回っているらしい。

「協力して稼ごうじゃないか!」

「オ~!」

そして三人の金稼ぎが始まったのだ。


1日目。

紅王は家を空ける冒険者のためにベビーシッターをし、めろんは町の大図書館で本の整理の仕事。

祐樹は一人討伐依頼をこなしていた。


「それで稼げたのが・・・?」

祐樹が聞く。

「私は2000ゴールド」

紅王は裕福な冒険者のベビーシッターをしたため稼ぎが大きかったらしい。

「僕は1000ゴールドだね」

めろんは1000ゴールド。

「で、僕が3000ゴールドだから、6000ゴールド稼げたのか・・・それじゃ、買い出し行くぞ!」


市場。

「今日は私が作るからね・・・」

紅王はノリノリだ。

「えっと、ピーマン・・・」

子供の嫌いな野菜ランキング上位に入っている野菜。三郎は食べるのか?

「玉ねぎに卵・・・」

肉コーナーでは。

「合い挽き肉は・・・これだ!」


帰り道。

「ねぇ、祐樹、それは何?」

「これ?これは竜の角さ。薬が作れるからよく買うよ」

大きな角を抱える祐樹。

紅王も大きな買い物袋、めろんは大きな本を担いでいる。


そして家。

「ハンバーグだ!」

三郎は紅王の手料理に目をキラキラさせている。

「でしょ!」

「合い挽き肉はハンバーグだったのか・・・あれ?ピーマンは?」

戸惑う二人に紅王が耳打ちする。

「ハンバーグの中に細かく刻んだピーマンを入れてあるの」

「なるほど・・・」

それだったら三郎も食べれるな。

って、なんか料理番組みたいだな。

【好き嫌いの激しい子供に食べさせる料理ベスト10】

想像できてしまう。

食べ終わったら、祐樹は部屋へ、めろんは風呂に向かった。

「そうそう、服ってあるの?」

「僕のを使え!」

「私は!?」

「僕ので我慢しろ!」

上から声が聞こえてくる。


部屋で祐樹は竜の角を元に薬を作っていた。

のこぎりで刻んだ後に、ボウルに入った水に入れる。

角の破片から汁が滲み出る。

「これは風邪に効く薬だな・・・」


ゴネフェの一日目は、こうして幕を閉じた。







次回予告 第六話 次郎の災難

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