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第二話 夢と黒煙

ダンジョン【黒煙の巨塔】。

1000年前。古代エルネ王朝によって建設された黒い岩石で建設された難攻不落のダンジョンである。

挑んだ者は10階層まで行かない内に命を落とす。

最上階にたどり着いた者は未だにいない為、ラスボス『黒煙の龍 ルベザオク』がどんな姿形をしているのかは不明である。


さて、そんなこともつゆ知らず、入口の目の前に立っていた日比谷めろん。

「さぁ、行こうか」

目的は見つけた馬を手なずける為のスキルを回収する為。

「黒煙だか何だか知らないけどまぁ大丈夫でしょう!」

足を踏み入れる。


1F

広い広間。床にはタイルが敷いてある。

「罠?」

「おそらくそうです!」

この床には罠が紛れているようだ。

「でもわからないし・・・」

「〔スキル〕があるじゃないですか」

「え?そんなのあったっけ?」


「スキルを五個習得した時の報酬でもらいました。【魔力探知】です」

「なるほど」

めろんは目を閉じて集中する。

「【魔力探知】・・・見える、見えるぞ!紫色に光って見えるタイルがある!」

「えへん、このスキルは魔法を使って製造された建造物及び構造物が放出する特殊な赤外線をデルバの基本原理や数学的魔法理論、さらに魔法的関数学を応用することで・・・」

「分かった分かった、紫の床を踏めばいいんでしょ?」

「違・・・」

めろんの踏んだ床がガコと音を立てて沈む。

「エ」

天井がパカッと開いて、大岩が落ちてくる。

ゴシャアァァァァァァァァァ!


「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!」

めろんがベッドから飛び起きる。

「ハァ、ハァ・・・」

荒い息で時計を見る。

5:17

「何だったんだ?夢?夢なのか?」

自分の腕にスマートウォッチがあることに気付く。

最近買ってもらったスマートウォッチだ。

「あれ?付けて寝たっけ?」

スマートウォッチは喋りだした。

「くじら!起動しました!」

「夢じゃないの・・・?」

すると喋りだす。

「いや、私も驚きました!異世界でめろんのサポートをしていたと思ったらいきなりこちら側の機械に定着・・・異世界からは戻れないはずだったんですけどね!」

「原因は?分かる?」

「恐らく、ある種のタイムリープが時空のずれにより発生したのでしょう」

「時空のずれ・・・」

映画かよ。

「これからは激レアスキル【異世界攻略は夢の中で】が使用可能になり、毎日こちら側と異世界を行き来できます!」

「なるほど、その激レアスキルっていうのが気になるんだけど・・・」

「激レアスキルは、正式名称を極超式稀有型最大火力スキルと言い、【岩石操り】、【炎激爆号】、【能力配布】、とかです!」

「なるほどレアなのね」

めろんが解釈する。

めろんが階段を降り、リビングに向かう。

タンスを開け、充電ケーブルを取り出し、コンセントに差し込む。

「コンセントって和製英語らしいよ」

「知りませんでした、というかこの世界のこと何も知りません」

「そう」

冷蔵庫を開け、牛乳が無いことに気付く。

「現実もかよ・・・」

リビングに置いてあるヴァイオリンケースを取る。

「部活の朝練あるから早く行ってくるよ」


ドアの鍵を閉める。

自転車の鍵を開けて、坂道を降りる。

「踏切は・・・」

そうだ。僕の通学路に踏切はないのだ。

「めろ~ん!」

後ろから声が聞こえてくる。

この声は・・・

「紅王か・・・」

窪田紅王。

底抜けに明るいことから男子たちからそこそこの人気を獲得し、そこそこ成績も良い女子。

よく『こうおう』と読む人がいるが、正解は『ひおう』だ。

「めろん、『イルカ』って知ってる?」

イルカ?あの哺乳類偶蹄目またはクジラ偶蹄目の中で小型の種のことか?

「いや、知らない・・・」

「そうならいいの・・・」

そう言って僕の前にいた彼女の女友達に駆け寄って行く。

(似てる・・・)

母さん・・・日比谷さくら。

10年前、不治の病で病死しためろんの母親。

「めろん、もし、もしよ、あなたが異世界に行くような事があれば、私は喜んで歓迎するわ」

はっ!なぜ今まで思いつかなかったんだ。母さんが病床で言ったあの、あの言葉を!

「でも何で・・・」

まだ謎は多い・・・



「y=a(x-p)2+qに式変形することを平方完成と・・・」

ノートにメモを取る。

「今日の授業はここまで!あと、今日の放課後、補習が1-4であるから、対象者は向かうように」

萩原がぎょっとした顔をする。

こいつは僕が小学生の頃からの友達だ。

本名を萩原祐樹という。

萩原はギャグマンガに絶対一人はいるキャラクター。


そして夜。

めろんはベッドに寝っ転がっていた。一応スマートウォッチを付けて。

彼は眠りに落ちた。

気づくと、黒煙の巨塔の前に立っていた。

「ここは・・・」

「黒煙の巨塔の前です」

くじらが喋る。

やっぱり夢が異世界なのか・・・

「どうした?くじら、妙に元気ないじゃないか」

あんなにペチャクチャ喋っていたくじらはどこに行ったのだろうか。

「この世界に、一人の人間・・・同じように夢の中で異世界に行っている人間の反応があります」

「何!」

仲間だと!?一人で攻略するより、みんなで攻略した方が楽しいに決まっているじゃぁないか!

「何か心当たりは・・・?」

「え~っとね・・・」

回想に行くめろん。

「めろ~ん!」

「『イルカ』って知ってる?」

「そうならいいの・・・」

はっ!窪田紅王!

「紅王!」

「誰ですか?その『ヒオウ』というのは」

「僕のクラスメイトで、かあ・・・」

「かあ?」

くじらが不思議そうに尋ねる。

母さんに似てるなんて言えないよな。

「いや、何でもない・・・それより、お前はなんで『くじら』なんだ?」

「名前の頭文字を繋げました」

「なんだ、そんな単純な・・・」

待てよ。もしかすると『いるか』もそのパターンなのかも・・・

「知ってる?『いるか』って」

「う~ん・・・」

考え込んでいる。

「はい!知ってます!私のライバルです!」

え~っと・・・どういうことだろう。




第三話 イルカとクジラ お楽しみに!

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