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 ねこの助の所属は面接官の所属と同じであった。

 海外企業の進出自体が珍しかった当時である。加えて、その業務スーパー自体が出来たのはねこの助より少し前の1ヶ月前からであった。


 それ故に教え方もほぼスパルタに近い厳しさであった。


 多様性の遵守もこの頃から言われるようになるのであったが、ねこの助と同じ日本生まれの上司は彼の事を厳しく育てた。

 ねこの助も厳しくされる事は嫌ではあった。しかし、それ以上に当時の厳しくされる=成長する可能性があると言う風潮と教えを叩き込まれていたねこの助はただ、ひたすらにそれを信じて上司の命令に従い続けた。


 過酷だったのは業務時の補充であった。

 その業務スーパーでは補充はパレットに乗せられたままの状態でハンドリフトで運ぶのだが、オープンして間もない頃は当然とも言うべきか、人混みの混み具合も尋常ではなかった。

 当時の回転率は尋常であり、すぐに品切れになる事も多く、補充の為のハンドリフトでの移動などで神経を使うようになる。当然、クレームの大半はそのハンドリフトの移動に起きるものであった。

 これについてはねこの助以外のスタッフにも言えた事である。

 閉店後は閉店後で休む間もなく、商品の棚の総入れ替えや配置変更などが行われた。

 売れ筋を全面にアピールし、回転率を更に上げる為に日夜研究と工夫の繰り返しがされていた。


 ねこの助の勤務時間は17時から22時だったが毎回、それ以上を過ぎて遅くまで掛かり、加えて、ねこの助は帰宅時に自転車を使っていた。

 自転車もタイヤが磨り減ってパンクするまで使い、時には押して長距離を歩く事すらあった。

 ねこの助はそんな怒涛のような季節と上司の厳しい教えを耐え抜き、季節柄の短期バイト枠から一般パート枠へと出世する。

 短期バイトからパート枠へのシフト変更自体、ごく限られた者しか掴めないチャンスであったが、ねこの助は実績が認められて、そのパート枠を勝ち取るのであった。


 その前から、ねこの助の上司はある程度の予想をしていたのか、ねこの助に限られた条件でパート枠採用がある事をねこの助に教えていた。

 恐らく、ねこの助は上司の期待にくれると言う観点もあったのだろう。

 3ヶ月の短期バイト期間が終了し、改めて面接が再開された時にはねこの助もパート採用されるつもりでいた為、次への意欲を上司に示した。


「これから更に厳しく教えて行きますが、ねこの助さんには期待しているよ。これからも宜しく」


 上司は意欲的なねこの助に満足そうに最後にそう締めて面接は無事に終わりを迎えるのであった。

 ここから5年近くもの間、ねこの助はパート業務を完遂する事に力を入れて働き続けるのであった。その間にねこの助の環境も大きく変化していく事になる。

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