努力が水の泡
本編↓
「ご、ごめん歩美!!俺ずっと言わなかったことがあるんだ……!」
「急にどうしたの?そんな改まって…」
「俺…俺…本当は大きい子が好きなんだ!!だから別れてくれ!!」
「………は??」
28歳の誕生日、私は高校の頃から11年間付き合っていた…将来を共にしたいと思った相手に振られた。
しかもよりによって大きい子が好きなんだ…とか言われて。子供の頃から見た目にコンプレックスを抱いていて初めてできた彼氏。
太っていてブスでノロマで…友どちもろくに居ない私を愛してくれた大好きな彼が…実はデブ専だったなんて…
「なんでなのよおおぉ!!!!!」
23時だと言うのに煌びやかに輝く夜町。
こんな時間なのに行き交う人々。
あるところには残業疲れして今にも倒れそうなサラリーマン。またあるところには酒を煽り理性を失ってギャーギャー騒ぐ酒飲み達。
なんだか周りがあまりにも呑気で思わず町のど真ん中で叫んでしまった。
「どうして!なんで?本当だったらそろそろ…いや、今日にでもプロポーズされて幸せまっしぐらだなんて思ってたのに!!!」
なんで…なんで……大好きな人のため、可愛い女になろうと努力をした。
病気なんかせずに愛しい人と長く人生を歩みたいという意味も込めて3年もかけて綺麗になったのに…
全部彼のためだったのに……どうして
「ぁーあ…ばっかみたい…え?」
キキィィッッッ____!!!
目の前がけたたましく光って目を瞑った瞬間一瞬身体に激痛がはしり私の目の前は真っ白になった。
呆気なかった。
大好きな人に見合う女性になりたくて,必死に変わろうとダイエット,美容,エステ,ファッション,人間関係。デブで内気で思っていることを言えない弱虫な私。全て変えようと努力して来たつもりだった。
彼ならありのままの私を好きになってくれる。だから当然綺麗になった私をもっと愛してくれる。そう思ってた,なのにーー
まさか彼が愛してたのは綺麗になった私でも,ありのままの私でもなく,ただ太ってた私だったなんて!!!!
あんまりだ,そんなのってないじゃない神様の意地悪!!役立たず!!
なんて,神様なんているはずないのに,
でも,でももし本当に神様がいるなら,次は本当の私を愛してくれる人と幸せになりたいー。