私の秘められた能力で悪魔にストーキングされてます
悪魔、とは異界に住む一種の生物であり、その世界を起点としたらあらゆる世界に移動できます
もちろん人間界も。
1:プロローグ
リズがガンガン文句を言ってくる
ガラドリアル大僧院の見習い僧兵のクセに文句が多い。うんざりしながら視線をそれとなく外す
「そもそもアンタが僧院の宝物売ったのがイケナイ!聞いてんの!?マユラ!」
いや、だから違うし
「あれは孤児院の子供たちが飢えてたじゃない、先に必要ない宝ある?とも聞いたし」
「【今】必要ないだけよ!宝物はそもそも売るもんじゃないし!それに子どもたちのあれは修行!!」
短くした金髪に青い目を燃え上がらせリズは言い募る
「いくら司祭様の遠い親戚の知人とはいえ、やっちゃイケナイことじゃない!」
ほぼ他人である(汗)
「それでも賢者なの!?」
「見習いだから知らないこともあるし未熟なのよ汗」
1週間前からこれである、そろそろキレそうなくらいうんざりしてる
師匠の広く世間を見てこいとまず派遣されたのがガラドリアル大僧院であった
極貧の南の島国で生まれ育ち、犯罪スレスレの行為で親や兄弟姉妹の手助けをしていた13才の私を
ふらりと訪れた師匠が「才能がある」と7年前に幾ばくかの金で私を買ったのだ
私に否やはなく、その金で1年は食べるに困らないであろう兄弟たちや身体を痛めつけるように仕事をしてた両親を助け、さらに1人分の生活費が浮くということで、多少淋しくはあったが喜んで師匠について行ったのだ
そして魔術の基礎を苦労して終え、今は見聞を広めるべきと師匠が判断した
決して私の不器用さで大切な水晶を一気に五個傷つけ使い物にならなくしたせいではない!………たぶん
まずは大陸に広く信仰されているガラドリアル大僧院の師匠の親戚を訪ねよ、ということで一地方支局にきたのだ
そして早々にカン違いで要らない宝物を幾つか行商人に売り飛ばし、今はそれを鋭意捜索中という訳である
リズは僧兵として、私が逃げないための監視としてついてまわるつもりらしいが
ハッキリいってうるさいし耳障りだし迷惑この上ない
…まあ私が悪いんだけど
と深くため息をついた
それが、何がどう狂ったのか、私はその才能で悪魔の人形となるのだ
それも過去での預かり知らぬ源のせいとは
その頃の私は運命に翻弄される直前、全てを知らずにたわいなく旅を楽しもうとしていた