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2つの月を持つ平和な星の物語  作者: 雪女のため息
第3章 〜マックスの友情〜
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第3話 作戦会議

 3日の休みが終わった。


 色々な手続きを終え、城の各部署に挨拶周りをし、やっと一息ついた時に俺はゴードン殿下に呼び出された。


 殿下は俺と2人きりの部屋で、最近起きている変な事件の一覧を手渡した。


 マックス、どう思う?とゴードン殿下は俺を見た。


「これは…誰かが魔力を使って事件を起こしている、って事…でしょうか?」

「うん…。この星は月の姫君に護られている。基本的に凶悪な犯罪は起きないし、起きたとしても数は本当に少ない。なのに、これだけ起きている。しかも、規模が大きくなってきてるんだ。変だと思わないか?」


 それに…とゴードン殿下は少し口ごもりながら言った。


「だれにも言ってないんだが…ライラの調子がどんどん悪くなっている。」


 ゴードン殿下の恋人で婚約者のライラは魔力を持つ女性だが、その力が徐々に強くなり、暴走している、というのだ。俺が道で発見した時も自分の意思とは関係なく、あの場所に飛んでいたらしい。


 少し調べてみましょう、と俺は言い部屋を辞そうとした。するとゴードン殿下は、話はまだ終わってないよお〜とにっこり笑って俺に近づいた。


 そして、そっと俺の胸のボタンを弄りながら、上目遣いで俺に言った。


「ねぇ、マックス…僕と楽しいことしない?」


 た…楽しい事? 頭の中で色んなことが渦を巻く。

 ビビる俺にゴードン殿下は耳元で囁いた。

「最初に会った僕の屋敷に…一緒に行こう…いいでしょう?」


ーえっ?えええ〜っ?

 逆らったら、俺、どうなるのかな?

 どうしよう。言う事聞かないと…いけないのかな?

 メグ、ごめん。お、おれ…


 ゴードン殿下は爆笑した。そして、大丈夫だよ、仕事だ!と言った。


ーゴードン殿下、俺の心を読んで楽しんでますね。

 ひ、ひどいっ!そんな事すると、連れてってあげないよ!


 ゴードン殿下は笑いながらこう言った。


「連れてって!お願いマックス!

 これからは2人の時はゴードンと呼んで欲しい。皆の前ではビックリされるからダメだけどね。僕、マックスとは良い友達になれると思うんだ。だってさ、ほら、僕ってばそういうの分かるから。」


 俺はゴードンの期待に応えるべく、でかい態度で言った。


「よしっ!わかった。これからはそうする。

 行くぞ、ゴードン!

 しっかり俺に掴まってろよ!」


 ゴードンは、わぁ〜い、楽しいね、と俺に掴まって言った。


 俺達2人は一瞬でゴードンの屋敷に飛んだ。





 ゴードンの屋敷では、儚げなライラが出迎えてくれた。


「ゴードンさま…」


 と言うなり、ライラはゴードンの胸に飛び込み泣きじゃくった。


 寂しかったね。ごめんね、遅くなって…と言いながらライラを抱きしめたゴードンは、ライラに口付けをした。


「ちょっとだけ待って、ライラ。…マックスに話があるからね。…すぐに終わるよ。」


 ゴードンは俺に小さな声で言った。


「ライラの部屋に行ってくる。そしたら少し落ち着くと思うからね。ライラの事を執事のウォルターから聞いて。マックスのことは全部話してあるから、大丈夫だよ。」


「待たせてごめんね、僕だけのライラ。愛してるよ。」


 ゴードンは何度も口付けをし、ライラを抱いて屋敷の奥へと消えて行った。


 俺の後ろにいたウォルターは、こちらへどうぞ、と俺を応接室に案内した。少し飲みませんか?とウォルターは俺の返事も待たずに琥珀色のアルコールを出し、自分も一口飲んだ。


「最近のライラ様は、あの様になる事が多くて…お側で見ていてもつらいです。」


 深くため息をつき、ウォルターは話し始めた。


「私は長い間ゴードン付きの騎士でした。あぁ、私はゴードンと2人の時は呼び捨てにしてほしい、と言われておりして…つい、出てしまいました。」


 ウォルターは強い魔力を持っているので、ゴードンに請われて執事兼護衛としてこの屋敷に住んでいるという。

 ライラとゴードンは幼い頃からの許嫁だったが、心から思い思われる恋人でもあった。2年ほど前からここで2人は一緒に暮らしていて、とても幸せそうに過ごしていた。

 ところが一年程前から、ライラの様子が変わり始めた。いつも不安気で、ゴードンのそばを離れなくなった。その内、急に泣き出して、いつまでも泣き続けるという事が増えてきた。食欲もあまりなく、痩せて顔色も悪くなった。


 ライラの魔力はさほど強いものではなかったが、ゴードンを連れて、2人で海や山に飛ぶ事ぐらいはできた。それが、本人も分からない内に、知らない場所に勝手に飛ぶ…飛ばされていく…ということが始まった。そんな後は体力を消耗するのか、長い時間眠り続ける。

 ここ最近は不安が強いようでよく泣いている。今日は朝からゴードンが城に行ったので、特に不安が強くずっと泣き続けていた。


「この屋敷にいる私共は、ゴードン様とライラ様が子供の頃から存じ上げております。なぜこんな事になっているのでしょう?あんなに明るかったライラ様が…。

 マックス様、どうぞゴードン様と一緒に、ライラ様を助けていただけませんでしょうか。私共はどんな協力でもいたします。」


 深々とウォルターは頭を下げた。 



 しばらくして、待たせてすまない。ライラがなかなか落ち着かなくて、と言いながらゴードンが応接室に現れた。


 物憂げにデーブルを見つめていたゴードンはパンパンと自らの頬を叩いた。そして頭を切り替え、話し始めた。

 ゴードンは都の地図を出し、最近起きている凶悪な事件の発生地点を発生順に印をつけた。


「あ!」


と俺が言ってゴードンを見ると、ウォルターもゴードンの顔を見ていた。事件は城にどんどん近づき、規模が大きくなっている。誰かが、意図的に事件を起こしているというのがはっきりした。


ー最後には城を襲撃する気なのか?いや、城は強固な結界に護られている。

 しかし、リリウぐらいの魔力の持ち主が他にもいるなら、城の結界など容易く破れる。


 俺の心を読んだゴードンがチラリと俺を見た。


ー後で話す。今は何も言わないでくれ。


 ゴードンはわかったという様に俺の顔を見た。


 俺が犯人に仕立て上げられたあの事件はどうなっているのでしょう?と俺が聞くと、ゴードンはこう言った。


「まだ、何もわかっていない。が、一つだけ他の事件と違う所がある。作られた犯人がいる、って事だよ。マックスお前だ。お前を狙ってわざわざ事件を起こしたんだと僕は思っている。」


 ウォルターが、ライラ様の件は事件の発生と関係があるのでしょうか、と尋ねると、ゴードンは、あるとキッパリと言い切った。


「狙いは僕だ。ライラを使って、僕に何かを仕掛けてくるだろう。しかし、誰が、何のために…がわからない。」


 ウォルターが、この屋敷の護衛を増やした方が良い、と言うと、

「うん。僕もそう思って、今日はマックスに来てもらったんだ。マックスにはここで仕事をしてもらいたいんだけど…いいかな?」


「御意」 

と俺がいうとゴードンが天使のような悪魔の笑顔を作り言った。

「やったあ!じゃあ、しばらく住み込み!よろしくね。」


ーへっ? 


「大丈夫!メグは僕がみてるからね。」


ーんんん…


 とりあえず今日は解散してまた集合しよう、ということになり、俺とゴードンは城に戻った。



 俺はゴードンにリリウの事を育ての親と説明した。俺の心を読んでいるはずなので月の姫君の事もわかったと思うが、ゴードンは何も言わなかった。


「で、リリウと同レベルの魔力を持つ奴は、他にもいるのかな?」


「いない…多分。」


 ゴードンは明日、俺がリリウに会いに行く事を許可した。


 翌日、俺はリリウに会いに行った。

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