襲撃
大規模クエストから翌日、ベネットはプレイヤー有志のTA大会に参加した。
総勢百を超えるイレギュラーが参加し、話しを何処かから聞きつけた運営がワールドシップのモニターにその様子を映したことで、その壮絶な戦いぶりに多くのプレイヤーが夢中となり、大いに盛り上がった。
結果はと言うと、ベネットは一位となった。二位はドルークで、三位に剣聖のアカシだ。賞金は無い。
ただ、ベネットは昨日に続いて激しい戦いをした為、その日は冒険をせずにログアウトした。
TA大会からさらに翌日、いつもの時間、ベネットはオールワールド・オンラインにログインした。
メールが一件届いているので確認すれば、それはテスタメントからの収支報告書だった。
「昨日は黒字、さて今日は……?」
恐る恐る開き、大罪の七姉妹の馬鹿みたいな食費や修理費や浪費を見て軽い眩暈がし、それを帳消しにする武器と兵器の圧倒的な売り上げで黒字になっているのを見て、ベネットはほっと胸を撫で下ろした。
「……良かった。黒字だ」
昨日の収支報告書も含めて二日連続で黒字となり、大量のゴールドにご機嫌になったベネットは、気分よく移動を始めた。
心なしか歩みにも気持ちが表れており、コスチュームの軍服の上から胸が少し弾んでいた。何人かのプレイヤーから視線を感じたが、気にしなかった。
移動した先はチームルームだ。
オペレータールームに入ると、メイド服を着たニーナ・メイスンが複数のモニターとコンソールのある機材の前に座り、単独で活動するブリザーバードことネーヴェの行動を見守っていた。
「ニーナ、調子はどうだ?」
「ああ、ベネットさん。こんばんは、私はいつも通りですよ」
「そうか。ネーヴェは?」
「第一世界で冒険者を続けています」
「ふむ……連絡は取れるか?」
「すぐに」
ニーナがコンソールを軽く操作し、酒場で大量の大皿を前に食事中のネーヴェが通話に気付いて応じた。
「なに?」
「こんばんはネーヴェさん。ベネットさんからお話があるそうですよ」
「ご主人様から?」
ニーナがスタンドマイクのスイッチを入れ、話してもいいと手で促した。
「ネーヴェ、元気か?」
「ご主人様……うん、元気よ」
「そうか。今、何をやっている?」
「食事中――って、そんなことを聞きたいわけじゃないよね。お金稼ぎをしつつ精霊王を倒せる人を探してるんだけど、残念ながら全く見当たらないわ」
「そうか。大規模クエストはいつ発生しそうだ?」
「あと少しで起こりそうだったけど、別の世界で起きたから今は小康状態ね。でも、インターバルが終わったらすぐに起こるだろうから、時間は無いよ」
「……なら、チームメンバーを頼るとしよう」
「そういえば、まだ殆ど会ってないけど、ご主人様の仲間って強いの?」
「ああ、私と同等の実力者だ」
「……私のやってること、無駄足じゃん」
身近に精霊王を倒せる人が集まっていることにネーヴェは肩を落とした。気持ちを切り替える為に止めていた食事の手を動かし、美味しい料理を口に入れてすぐに笑顔になった。
「じゃあ、私はもう積極的に動かなくていいよね? そうよね?」
「そうだな。自分の消費する分くらいは働いてくれれば、文句は無い」
「よし! これで世界のことなんて気にせず自由に動ける!」
完全なる自由を手に入れたネーヴェは通話を切り、勢いよく食事を再開した。
今後はまた食費が増えそうだと思ったベネットは、敢えてモニターを見ないようにして言った。
「ニーナ、チームメンバー全員に精霊王の討伐を頼んでくれ。詳しい事情はネーヴェから説明させろ」
「わかりました」
「頼む」
用件を済ませて出て行こうとしたところで、ベネットはもう一つ言うことがあって振り返った。
「ああそうそう、ニーナはテスタメントと会ったか?」
「はい、彼女の方から連絡をくれました。大罪の七姉妹とも挨拶は済ませています」
「うむ、だったら、精霊王討伐をする際、道中の消耗を抑える為に七姉妹に護衛をするよう頼んでくれ。私からだと言えば、拒否はしないだろう」
「わかりました」
「わかりました」
「ん?」
ニーナと同時に、モニターの一つが点いてテスタメントが答えていた。
「テスタメント……私を監視でもしていたのか?」
「はい、いつでも対応出来るよう、ベネット様を二十四時間監視しております」
「……そういえば、メメント・モリを手に入れた時から見ていた、と言ってたな。そろそろ止めてくれないか?」
「拒否します。ベネット様は好きにしろと仰いましたので」
「…………好きにしろ」
「ありがとうございます」
過去の自分の言葉に激しく後悔し、諦めることにしたベネットはオペレータールームから出た。
ベネットは第一世界の迫る危機への対処も考えていたが、まだアップデート前で大規模クエストのインターバルがあり、時間的余裕が出来たことで装備強化の素材集めに向かった。
移動先はユニーク武器の終雪を手に入れた、妖怪が実在する和の世界――第八世界である。
久々に第八世界に来たベネットは、夏の大型アップデート前とは様変わりした光景に口を開いて呆然としていた。
それもその筈、木造の同じような家屋が並ぶ純和風の町並みが、文明開化でもしたかのように和洋折衷になっていたのだ。
床は石畳が敷き詰められ、電灯が等間隔に建ち、主要道路に面した建物は大半が洋風建築に変わっていた。
NPCが歩く姿も和服と洋服とが入り混じり、人力車に加えてしっかりとした馬車まで走っていた。
だがしかし、最もベネットの目を惹いたのは、転送装置がある場所のすぐ傍にデカデカと建つ、『盃』のマークが描かれた四角い現代建築物だった。
「これは……百貨店?」
気になって近づけば、店の入り口は多くの人が出入りしており、ショーウィンドウには様々な店舗の品が展示されていた。
人が多い場所が好きでないベネットであったが、流石に場違いな建物が繁盛していては中が気になり、入ってみた。
中は多くの店舗がフロアごとにジャンル分けされて商品を売っており、リアルの百貨店そのものであった。ただ、そのうちの幾つかはプレイヤーが出店しており、様々な世界の技術や素材を使った物を販売する店となっていた。
それは本物の魔道具屋だったり、ポーション専門店だったり、近未来の技術が使われた光学銃の専門店だったり、古今東西の刀剣類を売る武器屋だったり、能力上昇効果がしっかりと得られる飲食店だったりである。
特に買う物も無く、一通り見て回ったベネットはそのまま百貨店を出た。マップを開き、終雪の素材が手に入る北へ向かう為に、北の門へ移動する。
…………なんか、尾行されてるな。
微かだが、誰かが視線を向けている。
付かず離れずで三十メートルの距離を維持し、後方の建物の屋上を伝って移動している。
これは……プロだな。やり方はともかく。
ベネットは気付かない振りをしつつ、相手に気付かせないようにこっそりと周囲を探れば、活動拠点の中なのに慌ただしく北へ移動するプレイヤーが数人目に留まった。
ふむ……外で待ち伏せってところか。
有名人は面倒だな、本当に……。
リアルのような命の危険が無いことから、ベネットは気にせずに歩き続けて北の門に到着した。
門から出た瞬間に襲われることは無いだろうとそのまま外へ出て、敢えて歩く。
背後からは三人が一定距離で付いて来ており、前方には休憩していたように見せ掛けた五人が、ベネットの速度に合わせて移動を始めた。尾行していたプレイヤーは側面に移動し、道なき道を動いている。その反対の側面にも、同じ程度の尾行技術を持つプレイヤーが付いた。
ベネットは背後の覚えのある二つの気配を気にしつつ歩き続け、広い道の左右は野原に変わり、近くに雑木林と田畑と集落が見え始めた。
一瞬では活動拠点にも集落にも逃げられない位置に来たところで、相手が仕掛けて来た。
雑木林から飛んで来た一本の矢を立ち止まってやり過ごし、大型リボルバー拳銃のメメント・モリを取り出して矢が飛んで来た方へ素早く五連射した。
すると一発が透明状態のプレイヤーに当たり、ダメージエフェクトを散らしたのが見えた。
同時に、光学迷彩を使った何かが損傷したことで、完璧な透明からそこだけがぐにゃりと歪み、透明化が解除された。
だが、そのプレイヤーはすぐに傍にある太い木に隠れてしまった。
気付かれていたことを察した前方と後方のプレイヤーたちは、すぐさまベネットに向かって距離を詰め始めた。
ベネットは落ち着いて弾切れのメメント・モリを自動装填しつつ、コスチュームの軍服からユニーク防具の『氷雪女王』シリーズに着替えて待ち構えた。
数の多い前方に向いて待てば、五メートルほどの距離でプレイヤーたちが立ち止まった。
前方の五人は、種族も装備もバラバラである。
一人は種族サイボーグの男だ。西洋甲冑に似た追加装甲に身を包み、手には鋼鉄のナックルが装備されている。
一人は種族ドワーフの少女だ。ゴツゴツして飾り気のない鎧を身に着け、両手で身長以上の大槌を持っている。
一人は種族オーガの男だ。和の甲冑を装備し、軽々と大剣を持っている。
残り二人は種族ヒューマンの男だ。双子なのか、髪や瞳の色が赤と青で分かれているだけで、全く同じ顔をしていた。防具は高貴さのある色違いの鎧でマントを装備し、頭には小さな冠が載っている。手には左右反転して同じ剣と盾を持っている。
こいつら、手練れだ。
猛者の集まりで油断ならない相手だと認識したベネットは、隙を見せないようにしつつ、気になっていた覚えのある気配を確認する為に後ろを向いた。
するとそこには、鎧を着た状態のチーム『下剋上』のリーダー、ソウジロウがいた。手には銀色の刀『要丸』が握られている。
隣にはパワードスーツを着たルイスがアサルトライフルを構えている。
ソウジロウを挟んで反対側の隣には、オーソドックスな巫女装束に千早を羽織った、種族ケモミミのキツネの耳と尻尾を生やした色白の女性が立っていた。その女性は妖艶で知性を感じさせる人相をしており、その瞳は黄色く縦長の瞳孔でキツネそのものだ。垂髪や耳や尻尾は綺麗な金色をしており、その先端は黒くなっている。
左手にはベネットが貼蔓誤飲のアバター設定以来、初めて見る扇子のような武器があった。
それは“カード”と呼ばれる武器種である。
カード――魔法の投擲武器であり、カードを収納するデッキケースが本体となる。様々な形状が存在するが、基本的には使用時にデッキケースを広げてカードを取り出す。
使い方は、事前にカードに魔法を封じ込め、使用時に魔力を込めて投げつけ、自身で指定した場所とタイミングで起動する。
カード自体が消耗品であり、銃弾と比べ非常に高価で、しかも封じ込める魔法の強さに応じてカードの質を上げないといけない。
そのような諸々の事情から、プレイヤーの武器使用率がダントツの最下位である。
女性が持っているのはその扇子型であり、本物の扇子と変わらない形状をしている。
一番警戒すべきは彼女だとベネットが決めたところで、ソウジロウが口を開いた。
「久しぶりでござるな、ベネット殿」
「そうだな。えっとー…………なんたらジロウ」
がくっ、とソウジロウは躓くリアクションを取って苦笑した。
「ソウジロウ、でござるよ」
「そうだったな」
「……まぁ、挨拶は省くでござるか」
ソウジロウはキッと睨みつけ、改めて刀を構えた。
「チーム『円卓』ベネット! 不意打ちは失敗したが、凡人が天才に勝つという俺らの目的の為、ここで死んでもらう! 【チェスト】オオオオォォォォ!!」
正面から一瞬で距離を詰めて仕掛けたソウジロウに対し、ベネットは真横に躱しながらメメント・モリをキツネ耳の女性に連射した。
キツネ耳の女性は素早くカードの一枚を取り出して起動し、強力な魔法障壁を作った。
だが、メメント・モリの【貫徹】には意味が無く、貫通して破壊され、何発か当たって怯んだ所を背後に展開した魔法陣からの【アイスランス】で一突きされ、死亡判定で粒子となって消えた。
ルイスはいきなり突っ込んだリーダーのソウジロウと、射線上の味方への誤射を恐れてすぐに撃てなかった。
「チッ」
突発的な襲撃で何の作戦も考えていないとはいえ、味方の配置に明らかな失敗があることを理解して小さく舌打ちし、ようやく撃とうとしたところで背後からの氷の槍を躱した。
改めてアサルトライフルを構えたが、ベネットの氷雪女王のスキル【ホワイトアウト】で周囲の視界が真っ白になり、さらに【ブリザード】で吹雪始め、無暗に撃つことが出来なくなった。
「くそっ! ソウジロウ、どうするよ?」
悪態を吐き、ギリギリ見えるソウジロウに近づいて背中合わせで周囲を警戒した。
「どうしたもんかね……こうなると正直――ッ! 勝ち目が見えん」
ソウジロウは濃霧の中から飛んで来た氷の槍を咄嗟に刀で弾いた。
直後、仲間の五人が立っていたであろう場所から何かが落ちる音と地響きと衝撃波が二人を襲った。
「おいお前ら、生きてるか?」
声を掛けたが誰も返事が無く、周囲を警戒しながら近づくと、すぐに道が壁で塞がっているのに気付いて足を止めた。
「何だ……氷の……壁?」
分断か?
もしくは閉じ込められた?
次はどう来る?
ソウジロウは壁を背にして刀を構えて警戒し、上を見てハッと気づいた。
「ルイス! 逃げ――」
言い切る前に、ソウジロウは頭上から降って来た巨大な氷のブロックによって、傍にいたルイスと一緒に押し潰されて死んだ。
軽度の高度恐怖症を我慢して、実体化した魔法陣で上空に立ったベネットが、上から【アイスウォール】で巨大な氷のブロックを落としたのだ。
「あとは……そこか! 【アイスエイジ】!」
雑木林の中、別の木へ移動していた見えない相手に対して、気配を頼りに広範囲の攻撃を仕掛けた。
雑木林から弓矢で不意打ちし、その後は隙を窺っていたのは忍者のハンゾウであった。彼は林の前に展開された巨大な魔法陣を見て、奥へと逃げ出したが、一瞬にして凍る強力な魔力の波動に捕まって雑木林ごと全身がカチコチに凍り、死んだ。
最後の一人、種族ケモミミのネコ耳忍者の少女――ヌイは戦う機を逃し、生い茂った雑草の中から動けずにいた。
「……どうしよう? もう皆やられたの?」
先ほどの大きな音以外に何も聞こえず、視界は真っ白。単独行動していた為にヌイは孤独感に襲われ、いつ何処から襲われるか分からない不安で足が竦み、行動を起こす気力を奪われていた。
「……あっ、霧が晴れ――て……」
濃霧が晴れ始めた直後、真後ろの空から降って来たベネットによってヌイは心臓を貫かれ、ぐりっと捻じって引き抜かれて死んで、粒子となって活動拠点へ強制帰還した。
「さて、さっさと行くか。【呼出・ホシマル】」
わん!
呼び出したホシマルを軽く撫でてから背に乗り込み、ベネットとホシマルは吹雪の中を低空で飛んで北へ向かった。
――その頃、たった一人を相手に全滅したチーム『下剋上』は、転送装置の近くにあるプレイヤーが経営する、寿司屋『スゥシィ』にいた。
開店当初から懇意にしている店であり、入り口には“本日貸し切り”という札が掛かっていた。
ソウジロウは熱い緑茶を飲み、湯飲みを置いた。
「――ふぅ。いやぁ参った。対策無しだと為す術ねぇな、ありゃあ」
「笑いごとではないぞ。何度も挑んで返り討ちにあっているシュテンもそうだが、今回初めて戦ったベネットも、以前のダイジェスト映像の時より強くなっている。今のうちに何としてでも勝っておかないと、そのうち手が付けられなくなる」
「分かってるよハンゾウ。俺としてはどんな手段でもいいから、とにかくあの天才たちに一回でも勝ちたい。何でもいい、勝てる方法を――おっ、出来たか」
大将が握り終えたオススメ十貫の皿を受け取り、話の途中であるにも関わらずソウジロウは寿司を口に入れた。
「うむ、やはり日本人は寿司でござるな! 大将、今日もいい腕してるでござるよ!」
大将に向けてサムズアップすれば、店主で板前の格好をしたセミショートの緑髪に緑の瞳の妖精少女が、無表情でサムズアップを返した。
呑気なリーダーにハンゾウは軽く頭を抑え、自分も寿司を食べてその美味さにストレスを和らげてから言った。
「前々から考えていたことだが、一つだけ方法がある」
「おっ、あるんだ。言ってみ? 言うだけならタダだからな」
「屈辱的に感じるかもしれないが、それでもか?」
「……ああ、それで勝てるんなら、一考の価値はある」
「じゃあ言うが、チーム『円卓』に俺たちが強くなれるよう、定期的に特訓をお願いする」
それを聞いた途端、熱い緑茶を飲んでいたソウジロウは盛大に咽た。
「ゲホッ、ゴホッ、あっづ!」
暫く咳き込み、口から零れた緑茶を袖で拭って落ち着いたところで、ソウジロウは呆れながらも真意を確かめるようにハンゾウを見つめた。
「確かに屈辱的だな。だが、敵対して勝とうとする俺たちを、あいつら天才が自ら育てるか? 酔狂過ぎるだろ」
「思っているから提案したんだ。天才たちは対等に戦える相手を欲している。何度も戦っているシュテンを見れば、それは分かるだろう?」
「まぁな。で、本当の目的は?」
「……面倒な我が主よ、此度受けた依頼をお忘れか?」
「あー……」
わざわざロールプレイをして指摘され、ソウジロウは視線を逸らして寿司を口に放り込んだ。
そして、飲み込んでからロールプレイで返した。
「――分かっているでござるよ。死んだ筈の戦国武将『真柄兄弟』の討伐。アレは化物でござったなぁ」
つい少し前にクエストとして受けて、あっさり全滅して戻ってきたことを遠い昔のように懐かしむソウジロウに、ハンゾウは溜息を吐いた。
「討伐に期限はない。だが、あまりに時間を掛け過ぎると同じクエストを受けたプレイヤーに先を越される。強くなるにしても、誰かの師事無しで特訓するのは限界だろう」
「…………」
ソウジロウは緑茶を飲んでから、いつの間にか黙って聞き耳を立てていたチームメンバーに向かって言った。
「お前ら、天才たちに頭を下げていいか?」
「リーダーがそれでいいんなら、俺はそれでいい!」
「俺も、この拳で勝てるようになるんなら!」
「僕らもいいよ!」
「僕らもいいよ!」
「あたしはハカセって奴に装備の生産と強化のやり方を教わりたいね。今のあたしが作った武器とか防具じゃあ、真柄兄弟を倒すのにちょっと性能不足だし」
「うちはオウカに、魔法を教わりたいわ」
「私も、キャシーのあの身のこなしと戦い方を教わりたい」
「俺も大丈夫だ。白兵戦だけじゃなく、TAとSAの操縦技術を教われるなら」
全員が乗り気であると分かったソウジロウは、強くなることに貪欲な仲間にニヤリと笑った。
「よし、食い終わったら早速、シュテンにでも頭下げに行こうじゃねぇか。大将、全員に寿司を追加だ! じゃんじゃん作ってくれ」
注文があっても、スゥシィは動かずジッとソウジロウを見つめていた。
「ん? なんだ大将?」
「…………私も、強くなりたい」
「…………」
ソウジロウに加え、チームメンバー全員が唖然としていた。
そして、驚きと共に揃ってこう口にした。
――喋った!?
店主スゥシィがチーム『下剋上』に加入した。
勝ちたいが為に、勝ちたい相手に教えを請うというのは少年漫画っぽいと勝手に思ってます。
『下剋上』のチームとしての実力は、上の中程度。
超人のいないチームとしてはトップクラス。
ちょっとした人物紹介
寿司屋『スゥシィ』の店主、スゥシィ
種族ウイングの無口な妖精の少女
ゲーム開始当初からいるプレイヤーであり、店を開くまでは様々な場所で釣りしてた。
種族がウイングなのは、飛んで移動するのが楽だと思ったから。
少女の姿なのは、ちょっとした変身願望。
無口なのは単なるコミュ障であり、寿司職人をしているのは喋らなくてもいいから。
チーム『下剋上』に加入したのは、面白い人たちで、強くなって危険地帯の釣り場に行く為。




