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ブリザーバード

行間とちょっとした修正

サブタイトル修正



ステータス関連のシステムについて補足。

パラメータの値は F < E < D < C < B < A < S < GF、GE、GD…… と続く。

装備やアイテムスキルに付いている値は 小 < 中 < 大 < 特 < 絶 の順で大きくなる。

熟練度が存在するスキルにはⅠ、Ⅱ、Ⅲ……Ⅹ、と数値が付く。



 翌日の夜、ベネットがログインした。ログイン時の出現位置は超巨大船型コロニー『ワールドシップ』の広大なロビーだ。


「おっ、昨日より変わってる」


 同じようにログインしたプレイヤーの多くは、昨日の時点で何かしらの装備やコスチュームを手に入れ、半分以上が新たな装いをしていた。

 騎士のような格好、魔法使いらしいローブ姿、和装、際どい水着のプレイヤーなど、段々と混沌の様相を見せ始めている。


「さて、今日は何をしようか」


 腕を組んで考えようとして、また胸を支えるように触れてしまい、ベネットは少し頬を赤くしてすぐにやめた。

 ただ、何をやるべきかは思いついた。


「……ああ、弾の補給だな」


 商業エリアへ移動し、まずはガンショップに入る。

 店の中にはラックに掛けられた銃や棚に置かれた銃が沢山あり、銃が好きそうな男や完全に機械のサイボーグ、中の人の趣味全開の美少女プレイヤーが何人かいた。

 他のプレイヤーを気にせずに沢山の弾薬が置かれている棚の前に立つ。


「えーっと、13㎜マグナム弾は……おお、安い。三十発三百ゴールドか」


 表示されている説明欄から見つけ出して弾薬箱に触れると、個数と値段、所持金額がウィンドウとして表示された。前回のクエストの報酬に加え、倒した時に手に入れたゴールドによって既に八万以上のゴールドがあった。


「とりあえず九十発あれば充分か。スピードローダーは……あったあった。へぇ、セットした状態で取り出せるのか。五発装填用は一つ二百ゴールド……十個買っておくか。次はバルカン砲の弾……は、武器というか兵器の方か?」


 探し回るが見当たらないので店を出て、兵器ショップの方へ移動する。

 兵器ショップの中にはバイクや車などの車両に加え、戦車や戦闘機、パワードスーツもあり、まるで博物館のように展示されていた。ただ、まだサービスが始まって二日目の為、資金に余裕のあるプレイヤーなどおらず、物見で来た数人のプレイヤーしかいない。

 奥の方に各種砲弾や弾薬があり、表示されている説明欄からバルカン砲の弾を見つけ出して手に触れて値段を表示する。


「千発千ゴールドか。これなら多く買ってもいいな」


 合計二万発購入し、次に戦車の主砲の砲弾に手を触れる。


「一発五千ゴールドか。高いなぁ」


 と言いつつ、中途半端が気に入らないベネットは二発購入して十発にする。


「さて、どこ行こうかな?」


 店を出て商業エリアからロビーに戻り、そのまま転送装置が置かれているワールドルームに入る。


 現在のオールワールド・オンラインは九つの世界へ行き来することができ、それぞれ特徴的な世界観を持っている。現状では数字が低い世界ほど人気が高い。特に剣と魔法のファンタジーである第一世界はプレイヤーが引っ切り無しに出入りしている。


「第一世界か……いいかもしれない」


 ベネットは転送装置に入り、第一世界へ転移した。


 第一世界の拠点は小さな村だ。中央に噴水があり地面は石畳で整備されている。周辺には木造住宅が建っていて、初期服の新規プレイヤーを含めて冒険者風のコスチュームや装備をしたプレイヤーたちが大勢いた。村の端はしっかりと柵で囲われ四方には門がある。

 この世界では目立つ迷彩服姿のベネットは人目を気にせずに北の門を抜けた。

 近くに巻き込むような人間がいないことを確認してから、ベネットはほくそ笑んだ。


「クックック……一度やってみたかったんだよな。ファンタジーで戦車動かすの。【戦車要請】」


 入り口の真ん中で戦車を出して乗り込み、砲塔を閉じてシステムを起動して動かし始める。


 道の真ん中を最高速度で移動していると何人かのプレイヤーと遭遇し、誰もが音と振動で気付いて驚愕の表情で轢かれないように道を譲った。

 道中、エネミーが出現した。ウルフが十体だ。戦車の脅威など理解できるはずも無く、突っ込んできた戦車に轢き倒される。続いてマルボアと呼ばれる丸い猪が三体現れたが、同じように轢かれて倒された。


「楽だな、これ」


 そのまま進んでいると今度は上空から鳥の群れが十数体襲ってきた。紙のように薄い体でペーパーバードという名前だ。

 停車し、バックしながらバルカンで薙ぎ払う。まだ拠点の村に近い為、現れるエネミーはかなり弱くバルカンの弾丸が一発掠っただけで倒せていた。


「フフフ、やはり戦車はいい……!」


 高揚した気分のまま移動を再開してひたすら北を目指す。道中のエネミーを轢いたりバルカンで薙ぎ倒しながら突き進み、景色は白い雪に覆われる。

 出現するエネミーも氷雪系に変わり、行動パターンも単純なものから少し複雑なものに変わって轢き倒すことは出来ず、バルカンで倒して進み、雪山の麓にある大きな洞窟を発見した。

 幅は五メートル以上もあり戦車がそのまま突入できる。

 目の前で停車するとウィンドウが表示された。


『ダンジョン:スノーベアの巣』


「クマか……」


 ベネットはちらりとバルカンの弾数を確認する。残り六千と数十発。


「ふむ……これなら行けるか。あとは暗視装置を付けて、と」


 暗視装置のスイッチを入れることで、全周モニターの視界が緑一色になって洞窟の奥が見えるようになった。

 未知の場所に対する緊張に対し、ベネットは深呼吸をしてから戦車のペダルを踏んだ。


「突撃!」


 気合の入った声を出しながら急加速して前進を始める。まずは大きくて醜い顔のアナネズミが五体出現したが、洞窟の大部分を占める戦車に為す術もなく轢き倒された。

 今度はゴロゴロと転がる、背中が石のように硬いゴロトカゲが五体現れた。だが鉄の塊である戦車に全く対抗できず、ぐちゃりと潰れて倒された。

 次に出て来たのはネムリバタフライが三体とシビレムカデが三体だ。密閉された戦車に状態異常を及ぼす鱗粉や牙など効く筈もなく、あっさりと倒された。


 洞窟内をエネミーを轢きながら走る戦車に、ベネットの楽しいという感情がとうとう溢れた。


「クックック……フハハハハハ、ハーッハッハッハッハ!」


 次々と現れるエネミーを轢き倒し、バルカンも使用して突き進んで最奥の扉を発見し、戦車はそのまま突っ込んで扉を破壊しながら中へ侵入して停車した。

 広々とした氷の空間の先には戦車と同じ大きさの氷のクマがいた。フロストベアだ。


「死ねぇ!」


 問答無用で主砲を発射し、弱点の頭部に直撃するとHPバーが一気に減って消滅した。


「アハハハハハハ、一撃とかマジか! フフフ……」


 ダンジョンを攻略したことで、ウィンドウが表示された。


『ダンジョン:フロストベアの巣を攻略しました』


 次に脳内の音声が響く。


『パッシブスキル【侵略者】を取得しました』

『パッシブスキル【征服者】を取得しました』



「おっ、スキル」


 落ち着いたベネットはスキルを確認する。


 スキル【侵略者】

 取得経験値を上昇させる。STRとAGIを少し上昇させる。

 取得条件

 いずれかのダンジョンを二分以内に攻略する。


 スキル【征服者】

 取得経験値を上昇させる。STRとINTを少し上昇させる。

 取得条件

 いずれかのダンジョンボスを一撃で倒す。



「いいスキルだ」


 ボス部屋の中心に二つの魔法陣と宝箱が一つ出現していた。戦車から降りたベネットはまず魔法陣の方を調べた。

 ウィンドウが浮かび上がる。片方は『拠点に戻る』もう片方は『ダンジョン前に戻る』と書かれている。


「さて、宝箱は……と」


 ガチャリと開ければゴールドである沢山の金貨とボスエネミーの素材、それと指輪が一つあった。

 手に触れると光りとなって吸収され、指輪を吸収した時に脳内に音声が流れた。


『ユニーク装飾品を入手しました』


 早速確認する。


 ユニーク装飾品『スノークリスタルリング』

 【MP上昇:小】

 【INT上昇:小】

 【氷属性強化:小】

 【氷耐性:小】

 【睡眠無効】



「こいつは中々いいものだな」


 装備登録すると左手薬指に雪結晶の模様が刻まれた白い指輪が装着された。


「ハハッ、これでは結婚指輪だな」


 戦車に乗り込み、ベネットはダンジョン前に戻った。


「バルカンはあと五千発……もうひとダンジョンいけるな」


 方向転換し、戦車で雪山を登り始める。

 雪山のエネミーは拠点周辺とはかけ離れた強さになっており、サービス開始二日目で来ることを想定された強さではない。強力な氷雪系のエネミーが蠢くここでは流石のユニーク兵器と言えども無敵ではいられない。


 現れるエネミーをバルカンの先制攻撃で封殺しつつ雪山を登り続けていると、空中からはウィンターバードが襲い掛かり、地上からはスノーウルフが襲い掛かって来た。ウィンターバードは氷の羽を飛ばし、容易く鋼鉄の装甲を貫きダメージを与え、スノーウルフは冷気を帯びた魔力のビームは装甲を無視して戦車のHPを減らしてくる。


「強いな」


 逃げきれないと判断してウィンターバードはバルカンを数百発浴びて撃ち落とされた。スノーウルフは雪となって実体を無くしてバルカンを回避し、追い払う為に地面に主砲を撃って爆炎で吹き飛ばした。


「さて、どうするべきか……」


 ベネットは快適な車内で腕を組んで胸に触れ、照れてやめつつモニターに表示されている戦車の状態を確認する。HPバーは既に半分の黄色になっていて、主砲は残り八発、バルカンは残り三千発を切っていた。


「微妙だなぁ……いや、どうせゲームだから突き進むべきか」


 方針が決定し、ベネットは行ける所まで行くことにした。

 さらに進めばアイスゴーレムやフローズンシャークが出現した。どちらもバルカンの効きが悪く、バルカンは弾切れとなり主砲で対処して残り四発となった。


 それ以降はエネミーとは運よく遭遇せず、雪山の中腹にある祠に到着した。石で作られた古代遺跡といった趣で、戦車がすっぽり入れるほどの大きな魔法陣が展開されている。この周辺ではエネミーが出現しないように設定されており、非常に静かだ。

 近づくとウィンドウが表示された。


『ボスエリア:精霊ブリザーバードの住処』


 ベネットは深呼吸し、気合を込めて言った。


「よし、行くか!」


 戦車ごと魔法陣に入り、転送される。

 転送された先は戦車が充分に走り回れる球場並みの大きさの氷の空間で、天井は二百メートル以上あり光るクリスタルがびっしりと張り付いて空間全体を明るく照らしている。


 奥の壁の五メートルほどの高さの場所に浅い穴があり、そこに氷の巣を作っている氷の鳥がベネットの戦車に気付くと羽ばたいて飛んだ。名前はブリザーバード。


「……いや、でかくね?」


 呟くのも無理はない。

 翼開長は二十メートルを超える巨体であり、全身が氷の鳥型ボスエネミーだ。鋭く真っ赤な目と嘴と鉤爪を持ち、翼は鋭い氷の羽で出来ている。

 縄張りに入ったベネットの戦車に威嚇の鳴き声を上げると、即座に氷の翼の羽を飛ばして来る。ウィンターバードと同じ技だが、大きさと飛ばして来る量が比ではない。

 ベネットは意識を集中し戦車のペダルを踏んでジクザグに回避運動をしつつを周囲を回るように動く。側面に幾つか直撃し、衝撃と同時に警告音を発しつつHPバー減少していく。主砲の照準を動かしブリザーバードに狙いを付ける。


 だが、ベネットはまだ撃たない。


 正面から撃てば回避されると思ったからだ。攻撃が止むとすぐにブリザーバードは素早く移動し、止まるタイミングを狙って主砲が放たれた。狙い通り直撃し、HPバーの二割ほど削って煙が晴れる直前に嫌な予感を察知したベネットは急停車した。


 直後、煙を掻き分けるように青い光が一条のビームとなって戦車の前を縦に薙ぎ払われ、ビームの後に氷の棘の小さな壁が出現した。


 ベネットはブリザーバードの様子を見ながら戦車をバックさせて、ある程度のスピードが付いたところでペダルを巧みに操作して戦車を滑らせながら超信地旋回し、戦車を反転して前進した。

 主砲の照準を合わせる頃にはブリザーバードがもう一発氷のビームを撃つ態勢に入っており、停車してビームを撃ち出す直前を狙って戦車の主砲が撃たれた。

 狙った場所は頭部で、口を開けたところにすっぽりと砲弾が入り込んで爆発を起こし、HPバーが一気に減って残り四割となって黄色になった。

 反撃を警戒したベネットは再びバックを始めているとブリザーバードのいた場所で竜巻と吹雪が発生し、煙が晴れると同時に四方八方に氷の羽が飛び出し戦車に向かって飛んで来る。

 人よりずっと大きな戦車では回避は難しく、必要最小限の被弾になるよう敢えて竜巻に向かって突っ込み、追尾する氷の羽を回避するが、それでも幾つか被弾してHPバーが無くなる寸前まで減った。

 モニターにノイズが走り、車内には危険を知らせる警告音が五月蝿くない音量で鳴り続けている。

 氷の羽が飛ばなくなり竜巻が消えるが、吹雪はより一層強く吹き荒びベネットの視界を奪っていく。


 ブリザーバードも形態が変わり、氷の鎧を纏い魔法障壁を展開して冷気を放ち怒り狂う。


 残り二発の主砲の一発を撃ち込むと、砲弾が障壁に阻まれて爆発を起こしダメージを与えられなかった。

 だが、凄まじい威力によって障壁は一時的に消えた。


「勝負だ……」


 ベネット小さく呟き戦車を横に動かす。

 ブリザーバードは魔法障壁を再展開し氷をさらに纏って氷塊となり突っ込んで来る。

 さらに意識を集中したベネットはタイミングを見計らって強引にドリフトを行い履帯を破損させつつ急旋回し、壁に激突したブリザーバードの背後に回り込んだところで砲塔を開いてシートの上に立ち上がった。

 メメント・モリを取り出して片手で撃つことで、腕を真上まで跳ね上げさせながらも狙い通りに魔法障壁を貫通して破壊し、ダメージを与えた。HPバーは残り三割となった。

 すぐに戦車の中に戻って砲塔を閉じ、ブリザーバードが振り返って強固になった分厚い氷の嘴を叩きつけるところに最後の一発を撃った。

 主砲の爆発は体に纏っていた氷を砕き、ブリザーバードを仰け反らせ、爆風によってHPバーが瀕死の赤色に変わった。

 だが、至近距離の爆風によって戦車にもダメージが入り、HPが無くなった戦車は光の粒子となって強制的にインベントリへ収納された。


 床に着地したベネットはまだ態勢を立て直せていないブリザーバードにメメント・モリを向けて弾を撃ち込む。一発一発が凄まじい反動で連射は出来ないが、VIT値を無視した高威力の攻撃は確実にHPを削り、あと一発の所でカチンと撃鉄が落ちる音が鳴るだけで弾は発射されなかった。


「っ! くそっ」


 昨日の試し撃ちから装填し直していないことを思い出したベネットは装填の為にシリンダーを開こうとしたが、ブリザーバードの嘴によるつつきで襲われ、後ろへ飛び跳ねて躱した。


 装填が間に合わない、そう判断したベネットはメメント・モリを消し、アンダーリムの赤い伊達眼鏡を外して投げ捨て、刀を出して引き抜いて構えた。

 意識的に極限まで集中した状態のゾーンに入ったベネットは連続したつつきを見極めて躱しつつ、再び魔法障壁が展開される前につつきの動きを読み、嘴が床を抉って頭部が至近に迫った一瞬を狙ってギリギリを躱しつつ飛び込んで刀を目玉に突き刺した。

 ブリザーバードのHPバーが風前の灯火となり、痛みによってがむしゃらに暴れ出す前にベネットは刀を引き抜いて離れる。


 魔法障壁が再展開されたが、最早力が残っておらず魔法障壁は何もせずとも砕けた。


 大きくひと鳴きしたブリザーバードは強い冷気を放出しながら持てる力を出して羽ばたいて飛び、低空から突っ込んで来る。ベネットは懐に飛び込むように動き、限界まで屈んで巨体を躱しつつ刀で切りつけた。

 ベネットのHPも強い冷気で一気に減ったが、それより早くブリザーバードのHPバーが完全に無くなった。

 同時に、初期装備の何の変哲もない刀は氷の硬い体を斬ることに耐え切れずボキリと折れて消滅した。

 力尽き、通り過ぎて地面をずるずると滑ったブリザーバードは光の粒子となって消滅し、脳内に音声が流れた。


『ボスエリア:精霊ブリザーバードの住処をクリアしました』

『アクティブスキル【修羅】を取得しました』



「……おえっ、気持ち悪っ」


 ゾーンから戻ったベネットは無理な極限集中による反動で顔色を悪くし吐き気を催すほどのストレスを抱き、目を伏せてその場に立ち尽くした。

 一分ほどそのまま過ごして落ち着いたベネットは目を開き、メメント・モリを出して使い切った空薬莢を捨てて一発一発弾を装填した。

 装填を終えたメメント・モリを消して取得したスキルの確認を行った。


 アクティブスキル【修羅】

 MP消費:小

 発動時、赤いオーラを身に纏い一定時間STR、VIT、INT、AGIを大きく上昇させる。

 効果時間三十秒

 クールタイム三分


 取得条件

 ソロ限定。ボスエリアにいるボスエネミーに対し、プレイヤー側が著しく低いパラメータによる圧倒的差の中で撃破する。兵器や召喚術などは使用しても取得条件に引っ掛からない。


 喜ぶ気力もないベネットは宝箱に近づいた。


「……さて、宝箱は……」


 気だるげに、ワクワク感を出すことも無く宝箱を開けた。


「おっ!」


 中に入っているものを見た瞬間、ベネットの気力が少し戻った。中にはゴールドである金貨が山のようにあり、ケープ付きの白いコルセットドレス、白いヒールのロングブーツ、煌びやかな雪結晶のティアラが入っていた。


「綺麗だ……」


 服の美しさに見惚れてぽつりと呟いたベネットは手で触れて入手した。


『ユニーク防具を入手しました』


 早速手に入れたユニーク防具を確認する。


 『氷雪女王のドレス』

  【MP上昇:大】

  【INT上昇:大】

  【氷属性強化:特】

  【氷耐性:特】

  アクティブスキル【ブリザード】

  パッシブスキル【氷雪女王】


 『氷雪女王のブーツ』

  【MP上昇:中】

  【INT上昇:中】

  【氷属性強化:大】

  【氷耐性:大】

  アクティブスキル【ミラーバーン】


 『氷雪女王のティアラ』

  【MP上昇:大】

  【INT上昇:大】

  【氷属性強化:中】

  【氷耐性:中】

  アクティブスキル【ホワイトアウト】


 アクティブスキル【ブリザード】

  一日二回使用可能。発動者を中心に半径三百メートル内の環境を強制的に猛吹雪に変える。

  効果は半日続くが、発動したプレイヤーが倒された場合即座にスキルが解除される。 


 パッシブスキル【氷雪女王】

  周囲の環境が寒いほど、雪と氷が多いほど全てのパラメータが上昇。一定基準以上の寒い環境で【MP自動回復・中】が付与される。

  周囲が暑いほど、熱や火が強いほど全てのパラメータが低下。一定基準以上の暑い環境で【MP自動減少・中】の状態となる。

  装備者は氷属性のMP消費を半減するが、火属性の全ての行動が機能しなくなる。

  寒さと状態異常の凍結を無効化し、任意で雪や氷を滑らなくなる。


 アクティブスキル【ミラーバーン】

  一日五回使用可能。発動者を中心に半径十五メートルの地面に、非常に滑る氷を円状に張る。

  空中では使用不可。


 アクティブスキル【ホワイトアウト】

  一日三回使用可能。発動者を中心に半径五十メートルを吹雪と濃霧で覆い、一瞬にしてホワイトアウト現象を引き起こす。

  発動者には効果を発揮しない。

  持続時間は一分。環境によって持続時間は変化する。



「は? ナニコレ……」


 あまりの壊れた性能にベネットは開いた口が塞がらなかった。

 十秒ほど茫然としていたが、我に返ったベネットはアイテムの装備欄を閉じた。


「……疲れてるんだな。今日はもう休もう」


 現実逃避する為に、ベネットはその場でログアウトボタンを押した。


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